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序章 ~起きたら、ここは、何処だろう?~

土の香りが鼻鼻孔をくすぐる。ゆっくりと体を起こし背伸びをした。

周りは木ばかりで地面は苔で覆われ人のての届かぬ原生林のようだ…

頭は霧の掛かった様にはっきりとせず、何処で打ったのか後頭部のほうが鈍痛がする。


次第に視界が鮮明となり、状況を確認しようと辺りを見渡すと少年が寝そべっていた。


(起こすべきか起こさざるべきか…)


グルアァ


突然の獣の叫びにビクッと体を震わせる。心成しか大きな物音が近づいている気がする。


「おい、アンタ。」


「ん~~」


自分の声が思ったよりも高い事に気がつく。


(てか俺ってなんでこんな変な所に居るんだ?)


少年はさっき俺がしたように背伸びを始めた。

再度声を掛けようとするとさっき雄叫びがしたほうからドスンと言う音と、メキメキと木の悲鳴が聞こえてきた。


とっさに音のしたほうを見ると大きな獣が見えた。

木に頭をぶつけ、少なからず痛かったようで頭をブンブン振っている。

鼻息は荒く、獣の息づかいがここまで伝わってくる。


足音を殺しながら後退りする。ふと少年のほうを見るとまだ寝ぼけているようで呑気に欠伸をしている。


木の後ろに隠れながらじっと観察を始める。


少年もやっと気が付いたようで、体を震わせた。

しかしなにもせず呆然と自分より巨大な生物を眺めている。


その「巨大な生物」は三本の立派な牙と左右と中央に大きな血走った目を持ちそのおおきな体躯は剛毛で覆われ、猪に似ていた。


猪は少年を見つけ又雄叫びをあげた。血走った目は少年しか映していないように見える。


(恐らくこのまま逃げれば俺は気づかれずに済むだろうな…)


そう思うと不思議と高鳴っていた胸の鼓動が鎮まりあるひとつの決意が芽生える。


(俺ってお人好しなのかもな。)

薄ら笑いを浮かべゆっくりと腰のほうに手を動かす。

すると太い棒状の物に触れた。


滑らせる様に端に手を持っていく。

すぐに棒状の物は細くなりそれを掴み、引き抜く。


ギラリと輝く刃渡り60cm程の諸刃の剣の確かな重みが心地よい。


猪は少年に向かい突進を始める。


俺も少年のほうに始める。


すんでのところで少年を拾い上げ、紙一重で牙を免れた。


そして言葉の通じぬ筈の獣に向かい高らかに宣言した。


「俺は絶対に逃げない。 かかってこい!!」


ニヤリと笑う彼の姿は美しい女の姿をしていた。






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