白色赤頭巾――狼三匹
「ちょっとそこの君。初めまして、ボクと秘密組織 を始めないかい?」
「お断りします」
白い少女とそんな話をした。
ーーーーーーーーーーーーーーー
結果から言おう。結局逃げられた。
一応会話の一部始終としては
「なんで!?かっこよくない?秘密組織とかかっこよくない?」
「ないない!いろいろない!!」
「こう、スパイ的な何かだよ?」
「そんなの現実でやる人いないよ……」
「なら、取り敢えずその髪を触らせてくれないかな……ハァハァ」
「何か危ない人だ!?」
「ところでお嬢さん。赤頭巾知ってる?赤頭巾」
「それは、突然過ぎるんじゃないかな!?」
これらの会話から一つボクが理解した事は、クールな容姿から考えられない程彼女はよく喋った。
しかも案外大きな声も出すし、話すと表情もコロコロ変わる。
だがしかし
「取り敢えず大事な話だけでも……」
と切り出した辺りで逃げられてしまった。
白い世界に消えていく彼女は、あっと言う間に見えなくなって追いかける事は出来無かった。
結局名前も聞きそびれてしまったし、今のボクの顔は昼間に叩き起された吸血鬼……というよりかは、覇気を感じられない程飢えた狼のような顔だろう。
「ううむ、何かを間違えただろうか。さっぱり理解出来ない……」
真剣な表情で悩んでみるが、我ながら冴えない顔だと思う。自分じゃ見えないけど。
まあ、今更考えても仕方が無いこと。
そう思い歩いてゆく。
ちなみに秘密組織は嘘や冗談ではなかったりする。
既にボクは秘密組織っぽいものに所属し、仲間になってくれる人を集めていたのも事実だ。
ボクのような人間を救う、そんな目的をもつ組織。
勿論入るのには条件があるから、そう簡単には入る事は出来ない。
なら何故彼女を誘ったのかというと、ボクの独断。好みだからに決まっている。
そして詳しいところはまだ謎にしてたいな。とか巫山戯たところまで考えて数分、信じられない光景を目撃する。
そこには白い髪の女性が居たのだ。
一日に二回連続で?でも今回は知らない女性(あの白髪ちゃんが知ってるに入るかは分からないが)である。
話しかけてみたいが、流石に出そうとした言葉を我慢
「すみません、そこのお姉さん」
出来ずに爽やかだけど、素が残念な酷い笑顔を浮かべる。
ちなみにけしてブサイクではない……と思う。
「あらあら、お姉さんなんてお上手ねぇ」
そう言いながらクスクスと笑うお姉さん。
あれ、案外好印象?成功するとは思わず拍子抜けするボク。
「ふふふっ、それで貴方が『悪戯灰かぶり』でいいのかしら?」
その言葉に流石に驚くボク。だが動揺せずに
「その呼び名……お金ですか地位ですか?それともボクですか?」
「……何のことでしょうかぁ?」
キョトンとしそう聞く女性。それにボクは不敵に笑い
「つまりボクが聞きたいのは……何がもくてしですか……?」噛んだ。
続く