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ロリータ縛りでも余裕だし?  作者: ペンギンの爪


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6/9

06

ウィンは教習所から出るとウィンドウからマイホームを選択してワープした。疲れている体に鞭を打って家の扉を開け、その中に入る。


「ただいまぁー、疲れたよー」


「おかえりなさいませご主人様!お待ちしておりました!」


アイビーは振り返りながらウィンにそう言うと、手に持っていた針を針山にさして椅子から立ち上がった。その手に持っているのは、フリフリなロリータというよりも、レースをふんだんに使ったクラシカルロリータと呼ばれる服であった。


「こんなロリータもあるんだ……」


ウィンはロリータについてほとんど知らなかったので、フリルの多いお姫様のようなドレスを想像していたが、アイビーが作っているものは、ウィンの予想に反してシックな印象を抱く。

アイビーは身の丈よりも長い服を床に引きずらないようにウィンのもとへもってきて手渡した。


「わ、ありがとう。これで完成?」


「いえ、まだ仮縫い状態です。大きさや色味がご主人様に合っているのか確認がしたくて帰ってくるのをお待ちしていました」


「そうだったんだ。じゃあ、鏡の前で服合わせてみてもいい?」


「ぜひ!!」


ウィンはアイビーから服を受け取って鏡の前で合わせてみる。上半身は刺繍の入った角襟にふわりとした印象を抱かせる長めの姫袖。それらがすべて白く上品にまとまっている。その中心には真紅のリボンが鮮やかに存在を主張していた。腰はきゅっと引き絞るようなデザインでそこからひざ下まで広がる黒いフレアスカートには、レースが重ねられていて上品なシルエットだ。動かすたびにレースが揺れて波うっていて、ウィンはその服に目を奪われてしまった。


「すごい、細かいね。レースとか刺繍とか大変だったでしょ」


「ええ、それはもちろん。ですが、ご主人様のためならいくらでも頑張れます」


「そ、そうなんだ、ありがと。でもちょっと俺にはかわいすぎじゃない?」


鏡に映る自身を見ながらウィンはそういった。こんなにも良い出来の服を渡されると思っていなかったからか、気が引けてしまったようだ。そんなウィンを見てアイビーは即座に首を振って否定する。


「そんなことはありません。よくお似合いです。」


ゲームでのウィンの外見はかっこいいよりも美形寄りで、このロリータの服にに合わなくもない。


「髪が、短いよなぁ」


「そうでしょうか?」


ウィンは髪先を指でつまみながらそう言った。アイビーは違和感を抱かなかったようだがウィンは長髪ではない自分がこのロリータを着ることについて強烈な違和感を覚えて顔をしかめる。


「うん、もっと長いほうが似合うと思う。ちょっと髪の毛伸ばしくるわ」


「わかりました。僕は、本縫いに取り掛かります。少々時間がかかりますがよろしいですか?」


「楽しみに待っとくね」


アイビーは自信満々に胸をはってウィンに笑いかける。そんなアイビーにウィンは「よろしく」と声をかけて髪の長さを伸ばすために鏡の中に入っていった。


ウィンが鏡の中に入ると目の前には真っ白な空間が広がる。そこにはウィンそっくりなアバターがたっていて、そのアバターで変更した外見を確認できる仕組みになっているようだ。その近くには外見の項目を調整する青のウィンドウが浮いていた。


「とりあえず腰くらいの長さで一回試してみるか」


ウィンドウに映っている項目を調節してウィンはアバターの髪の長さを伸ばしてみる。


「あ、いいんじゃない?でも、……ほぼ女子じゃん」


ウィンの目に映るのは腰までの長い髪に少し釣り目の美形のアバター。首回りや体型は男性のものだが、遠くから見るとほとんど綺麗な女の子であった。それを見てウィンは少し冷静になる。


「これであの服を着たらもう女子じゃんか……」


ウィンは普通に高校に通っている高校生男子である。それゆえどんなに素晴らしいロリータ服でもやっぱり着るのに抵抗があるのだ。


「アイビーがせっかく作ってくれたから、着たいと思っているんだけど、そしたら俺の何かがすり減る気がする」


「でも、着なかったらアイビーは絶対しょんぼりしちゃうんだろうな」


ウィンはあの服を持ったまましょんぼりと涙をこらえるアイビーの姿がありありと想像できてしまった。


「腹をくくれ、俺。もういっそこのゲームで一番かわいいプレイヤーを目指しちまえ」


深く深呼吸してウィンが決定ボタンを押すと、ウィンの髪はふわりと舞うように伸びた。ウィンはその長くなった髪を一束手に取ってじっと見つめて息を吐いた。


「とりあえず、ホームに戻ってダンジョンについて調べてみるか。次こそは5階まで攻略できるように頑張るぞ」


そういいながら、ウィンは鏡を通ってホームへ戻っていった。


「髪伸ばしてきたよー」と言いながらウィンがホームへ帰ってきても、アイビーからの返事はない。ウィンがなぜかと思ってアイビーのいるほうを見ると、アイビーは真剣に服を縫い合わせている途中だった。

ウィンはすごい集中力だと思いながら、ベッドに腰を掛けて【ダンジョンに出現するモンスターまとめ】のスレッドを開いた。



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