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ウィンはギルドでストーリークエストの採取依頼を受注して、マップにマークが付けられている場所に向かっていた。この採取依頼は、依頼した人にクエスト概要を聞きに行って依頼主に直接納品するタイプのクエストだ。
ストーリークエストのはじめの採取依頼の依頼主は街の端っこの雑貨屋の娘からの依頼だが、成功報酬が少なすぎるということで誰も受けたがる人がいなかったところ、勇傑と呼ばれる人がこの町に来て依頼を受けるという導入になっている。
「こっちのほうには初めて来た。街中がどんな風になっているのか今まで見たことがなかったからな。結構店とか並んでる、掘り出し物とか見つかりそうだな~。っと、ここか依頼主の家は」
ウィンは、赤い屋根の雑貨屋の前についた。扉に、ディべロの雑貨屋と札がかけられていてそれがないと、店だとわからないような見た目をしていた。本当にここで会っているのか半信半疑でウィンは店の中に入る。扉を開けたとき、カランコロンとドアベルがウィンを歓迎するように鳴った。
「失礼しまーす」
「あら、いらっしゃいませ」
「採取依頼を受けてきたんですけど、あなたが依頼主ですか?」
店の中に入ると、中学生くらいの女の子がカウンターに立っていた。ウィンが首をかしげながらそういうと、パッと希望を見つけたような顔でウィンの目を見つめる。
「そうです。受けてくれたんですか!」
少女はカウンターの出入り口から外に出て、店の扉の看板を裏返してウィンに駆け寄る。
「あの、ありがとうございます私が出した依頼を受けてくれて。私、ディディって言います!あなたにはエピ草と、斑草をとってきてもらいたいんです」
「エピ草と、斑草?」
「はい。私の母が病気にかかってるんです。もともとここに住んでる人にはは発症しないのですが、私たちは上の層からこっちに引っ越してきたのであまり体の強くなかった母が感染してしまったんです。感染してすぐ死ぬような病気じゃないんですが、もう何日も寝込んでいるんです」
「そうなんだ」
「この街ではそもそもこの病気にかかる人がいないので、薬なんて流通してなくて。それでその薬の作り方は分かったのですがエピ草と斑草だけが手持ちにないんです」
「それはどこに生えてるの?」
「カルゴの森です。ダンジョンとは逆側にある鬱蒼とした森の中に生えてるらしいのです。取りに行ってくれますか?」
「もちろん。取りに行ってくるよ」
ウィンが笑顔でうなずくと、ディディは泣きそうな顔で「ありがとうございますっ」といった。
「誰に声をかけても取り合ってくれなかったんです、あんな草使い道がないって言われて。本当にありがとうございます」
「モンスターもいるので気を付けてください」
「ねえ、そのエピ草と斑草の見た目ってどんなの?」
「あ、言ってませんでしたね。エピ草は先っぽが赤みがかってて、斑草は濃ゆい葉に薄い緑の斑の模様をしています」
「ありがとね、すぐにとってくる」
「待ってください!これをもっていってください。HPポーションです」
「ありがとう」
ウィンはHPポーションをふたつもらって雑貨屋を後にする。そして、地図を見ながらカルゴの森に歩いて行った。
カルゴの森につくと、ウィンは地面を見ながら薬草を探す。
「なかなか見当たらない。敵は弱くて安心だけど、エピ草と斑草ってどこに生えてるんだろう」
「もうちょっと奥に潜ったら見つかるかな。さすがにストーリークエストだしわかりずらい所に生えてるなんてことはないだろう」
ウィンはそういって、森の奥まで進む。道中、モンスターが出てくることはあったが、ダンジョンでレベルを上げてきたウィンにとってそれらは難なく倒せる相手だった。
「なんか、この辺地面が湿ってきてる。この先に目的の物がありそうだ」
靴の裏にほんのりと張り付くようになった地面を見て、ウィンはつぶやく。歩いて行った先には木漏れ日に照らされた泉とそのわきには先が赤い草が群生していた。
「これがエピ草じゃないか?やっと見つけた」
ウィンは群生しているエピ草を10本ほど根元を切りインベントリにしまった。
後は斑草だけだとウィンが立ち上がろうとすると、後ろからカサカサと何かが動く音がしてウィンは突進を受ける。
「ホーンラビット?ここにもいるんだ」
ダンジョンでの強敵だったホーンラビット。ウィンは驚きながらも魔法を打つ。「群れてないホーンラビットなんて俺の敵でもないね」とホーンラビットを倒したウィンは鼻をならした。
「あとは斑草だけど、どこにあるのかな」
ウィンはホーンラビットからドロップした角を拾いつつ、きょろきょろとあたりを見渡す。すると、意味ありげなけもの道がウィンの目に留まる。
「あの先にありそうだね。行ってみよう」
そうウィンは鼻歌を歌いながらけもの道を歩き出した。




