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「それじゃあ、準備はいい?」
「大丈夫です」
「行きましょう」
戦闘の準備ができた一同はボス部屋への扉を押した。扉の向こうにいたのは、身の丈の3倍ほどの大きなボスのウサギと、それを取り囲んでいる数匹のホーンラビット。
「来るよ!」
ルージュが大剣を構えながら言うと同時にウサギたちが襲い掛かってきた。ルージュは近くに来たホーンラビットを体の周りを一周させるように大剣をぐるりと振り回して追い払った。
「バ火力じゃん」
「一騎当千も夢じゃありませんね、これ。僕も頑張ります」
アイビーはそういって魔法を放ちながボスへ駆けてゆく。小さなウサギたちを器用に足止めしながらボスに切りかかった。
「ダメージが全然入ってねぇ。半端な火力じゃ倒せないな」
「ッ、僕は召喚されるホーンラビットを倒します!ボスはルージュさんに任せました」
「わかった!ウィンちゃん私の防御任せた!」
「任せてください!」
ルージュの言葉に自信たっぷりの笑みを返し、ウィンは杖を構えた。
「オラオラァッ!どんなもんじゃい!」
「目に見えてボスのHPが削れていってる、っちょっとルージュさん!今の避けれたでしょ!」
「サンキューウィンちゃん!」
「このままだとMP足りなくなりますよ!」
「そん時は私があげたポーション飲みなよ」
「節約のために避けれる攻撃は避けましょうよ~!」
そういっているうちにボスのHPが半分を切りボス第二段階に移行する。
「さっきよりも素早くなってる!」
「第二段階は第一段階よりも攻撃力と俊敏が早くなるけど、耐久力は低くなるから一気に片付けるよ!」
「今から大剣のスキル使うからウィンちゃん、アイビーくん時間稼げる?」
「「いけます」」
「よっし、はぁぁッ」
ルージュが低く大剣を構えてための動作に入る。アイビーはボスの攻撃を受け流しながら逃げ回り、ウィンは避けられない攻撃をマジックガードですべて防御する。生半可な魔力しか込めないでいるとボスの攻撃で割れてしまうのでウィンはMPポーションを飲みながらマジックガードを展開していた。
「溜まった!アイビー君後ろに下がって!」
「お願いします!!」
アイビーが後方へ走って下がったのを確認した後、ルージュは青い光の様に走り出して大剣をボスの脳天に叩きつけた。
「4分の1にまで削れた!」
「筋力って正義なのでしょうか」
「爽快感えぐ!もっかいやるから時間稼ぎお願いー!」
「了解でーす」
アイビーはルージュと入れ替わるようにボスに向かってゆく。ウィンも集中力を切らさないまま攻撃を防ぎきってルージュの二発目のため技がボスの残っているHPを削り切った。
「ご主人様、やりましたね!ダンジョンにリベンジ達成です」
「だいたいルージュさんのおかげだと思うけどね~」
「何言ってんの?!ウィンちゃんのマジックガードすごかったよ。あれがなければとっくに全滅しちゃってるよ!ありがとね!」
「役に立ってたならよかったっす」
ルージュからまっすぐ褒められたウィンは、自身がお荷物になっていないことにほっとしながら照れ隠しに「ボスのドロップアイテムを見に行きましょうよ」と歩き出した。
「このボスのドロップアイテムはほとんどホーンラビットのから出るアイテムの強化版みたいなやつが多いんだけど、大事なのが一個!ウィンちゃんスキル1枠増やす宝玉ドロップしてない?」
「してます!」
「これね、ダンジョンのボスを倒したときに1回しか落とさない超貴重なアイテムなんだよ。考えて使ってね」
「わかりました」
「それじゃあギルドでいらないアイテム売ってカフェ行こうよ!打ち上げっぽくさ」
「カフェで打ち上げですか」
「あそこのティーセットがめっちゃウィンちゃんに似合いそうなんだよね!」
「目的それじゃないですか」
カフェに行こうというルージュの話に珍しくアイビーが手をあげた。
「行きたいです」
「あれ?珍しいね」
「僕、ルージュさんをみてご主人様の召喚獣たるものなんでも完璧にこなしたいと思ったんです。戦闘もですけど、紅茶の入れ方を学びたいです」
「なるほど、決まりだね!とりあえず転移陣踏んでダンジョンから出ようか。それとも、10階まで行っちゃう?」
「無理です!ここまで頑張ったのが全部パーになるのは勘弁してください」
「そうだね。……にしてもほんとに5階まで攻略できちゃうとは思ってなかった」
ルージュがボソッと言った言葉にウィンは首を傾げた。「思ってなかったんですか?」とウィンがルージュの言葉に反応するとルージュは、「聞こえちゃってた?」と恥ずかしそうに笑う。
「実は初めに来た時6人パーティーだったから、いくら私のレベルが高くても攻略できないだろうなって思ってたんだよね」
「君ら強かったよ。次ダンジョン行くときも呼んでほしいな!」
「それはもちろん。ルージュさんいないと火力が全く足りませんから」




