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2分の1を外す男の春

作者: めみあ

 

 俺は2分の1を外す男。


 逆に役に立つと秘密警察に雇われた。

  

 

 犯人がどちらに逃げたか。

 犯人は嘘をついているか。

 爆弾の線は赤か青か。


     

 そう。俺の予想と真逆を選択すれば正解するらしい。だから俺の手柄にはならない。その分給料を多めにもらえてる。俺の存在、宇宙人並みにシークレットだけれど。



 そんな俺に初めて春が来た。


 同じ職場の女の子。

 落ち込んでいる俺を慰めてくれたり、食事に誘ってくれたりする。 

 

 最近は仕事中もよく目が合う。 

 何か言いたげな様子で気になっている。


 そして昨日。

 「小池さんは特別な人ですから」と言われた。

 

 これは期待するなという方がおかしい。

 決定打と言ってもいい。

 いけるのか、いけないのか。

 

 いや、いくら2分の1を外す男でも、心は迷わない。


 彼女は俺を好いているし、

 俺も彼女が好きだ。



 俺は初めて女性を食事に誘い、勇気を出して告白することにした。


「俺、君のことが……」


「あの、聞いていいですか。私、課長とお付き合いしているんです。課長が奥さんと別れて、私と結婚する気があるか知りたくて。どう思います?」


「……ないんじゃない?」


「やった! 私、課長と結婚できるんだ!」

 

 



 俺ははじめて、2分の1を当てた。

 そうしたら秘密警察をやめることになった。

 退職金はたくさんもらえたが、あらゆるところに監視装置をつけられて開放された。

   

 私欲で俺を利用した彼女はどうなったかわからない。

 そんな人間は初めからいなかったかのように彼女の痕跡がなくなっていたから。



 

 

 


 俺は競馬の予想屋を始めた。

 一番人気が勝つか勝たないかだけ。

 逆張りで当たると噂になり、大盛況だ。

 この馬に勝ってほしいとか、この子が当たればいいとか、私欲が混ざると外れるときもあるが、外れても皆は優しい。

 心も懐も温かくなった。


 でもなぜか寂しい。

 俺にまた春は来るのか来ないのか。


 予想では来る、なのだけれど……









読んでいただきありがとうございました。

爆弾の赤と青を間違えた夢を見ました。

爆発して目が覚めたのですが、朝からくだらないと笑ってしまい、それをもとに話を書きました。



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