龍を殺すと国が建つ
何百もの人が動員され、古の時代から生きていた一匹の強大な龍が、住処にしていた草原のただ中で殺された。
何百年もの長い期間にわたり人々を苦しめてきた龍の死はすぐに広まり、その肉、その皮、その爪、その牙、その他あらゆる素材を回収するため、大陸中から様々な人々が集まる。
それらの人々を相手に食料を売る者や道具の手入れを請け負う者が現れ、龍の死骸の周りには人がどんどん集まっていった。龍の死骸は、宿った魔力のためなのかいつまでも腐ることなく横たわり続けた。
人が増えるにつれ、仮住まいだけではなく本格的な建物が造られ、いつの間にか近くに畑や牧場もできていた。
気が付けば龍の死骸を中心に村ができ、気が付けばそれは街になっていた。
そこまで時が経ってもまだ龍の死骸からは素材が取れ、街を潤し続けた。
やがて龍の死骸が巨大な骨だけになる頃、街はもはや龍に最後の一撃を与えた英雄の血筋を王として戴いた、龍王国と称する一つの国となっていた。
龍王国の民は自らを龍の子孫と名乗り、他の国の人とは違うと、それを誇りにしていた。
討たれてからそこまで、ずっと経緯を眺めていた強大な龍の魂はそんな民を見て首を傾げる。
「なんで私を討った人間であることを誇らず、討たれた負け犬である私の子孫などと名乗るのだろう?」




