再び異世界へ
再び異世界へ
まさか壇上に上がった女子がデスアプリを使用したとは思ってもみなかった。
どうやってデスアプリを手に入れたのだろう、そんな事よりまた目の前にはいつぞやの荒野が広がっている。
確か前回の時は三日後だった、だが今回この世界へと来るのは即日だった。
「ピロリン」
「あーら あらら、いらっしゃ~い」
「…」
「あら、反応がないわね」
「あんたナビゲーターだよな」
「そうなのよー って え?」
「ああ 俺2回目だから」
「あー そうなの 物好きね~」
「それでまた説明する?」
「2回目なら知ってるわよね」
「大体はね」
「えーと善行は?」
「60!」
本来ならば帰還した後の善行LVは50以下になるらしい、だが俺はその後カリンとマリカにデータを渡すと言う行為、それが善行と取られたらしい。
本来ならばLv40いやLv30ぐらいが妥当だろう、別にやましい事はしていないのだがこれと言って良いこともしていないはず。
それなのに善行Lvが60と言う事は、少なくとも元の世界で何か良いことをしたと言う事だ。
「前回LV20でここに来たからね」
「そうなの?」
「LV60だと今度は何をくれるんだ?」
「あーら あなた戦士LV80もあるじゃない」
スマホからは声しか聞こえない、この声質は男性の様だが話し言葉はいわゆるオカマちゃん。
ゲイバーなどで聞く話し方だ、別にそれはどうでも構わないが。
「この場合何処から始めるんだ?」
「この世界へ来た場合最初の選択肢は5つよ」
「じゃあ魔術士でも構わないって事か?」
「ええそうよ、ストレージも前回獲得したところから始められちゃうのよ~」
「そこもか…」
「あらやっぱり、勇者セットがあるわね」
「善行LV20だとそれ以外ないだろ」
「えーとそうなると前回と違う部分の説明からだわね…」
戦士LV80そして善行LV60の設定はどうなっているのだろうか?
まさかチートばかり貰うと言う事もあり得るのだろうか?
それにしても今回この世界にやって来たのは最低50人近くはいるのではないだろうか。
「LV20から上になると善行LV10プラスでプレゼント2個増えるんですって」
「という事は28個?」
「でも重複しているプレゼントもしくはインベントリー内にある同じものは選択できないみたいよ~」
「確かに同じものもらっても金にするしかないな」
「今回はお金ももらえるわよ」
「そうなんだ」
「だって選択肢が増えるもの」
プレゼントの項目を見ると確かに100種ぐらい増えている。
「またSクラスから選ぶか…」
俺は当然のことながら今回魔術士を選択した、LV80まで上げた戦士だったが。
それをさらに19LV上げて転職すると言う手段もあったが。
それより先に魔術士のLVを上げて魔法を沢山覚える、その方が面白そうだと言う理由からだ。
「わかったわ~」
「あとは…」
「そう言えば今回イベントだとかやるって話だったわね~」
「イベント?」
面倒くさい話になってきた、前回来たときには最後の数日に魔族の侵攻とやらが始まっていたのを覚えている。
それから現実時間でひと月が経とうとしている。
時系列はあまりあてにならないが、あの事件から先を考えて見ればおのずと魔王討伐と言うクエストが始まっていてもおかしくはない。
「魔王グラシスの野望って言ってたけど~、これイベントの名称ね」
「ヤッパそうなるのか…」
「初めての人も増えたから、初心者は参加できるか微妙だけど、貴方達はちょっと難しいクエストこなさないと でしょ~」
「マジかよ!」
確かこの世界のクエストは面倒くさい物ばかりだった筈、クエストがいきなり始まるし途中でどんどん増えるし。
まあその代わり褒章は結構おいしいのだが、休む暇も無くなるのは勘弁してほしい。
「じゃあ後はプレゼント選んで頂戴!」
2度目の召喚(という事になるのか)で選んだプレゼント28個の内訳がこれだ。
1・魔術師の指輪R(MP+100、攻撃魔法の威力×5:魔術師のみ装備可能)
2・天陽樹の杖(魔法の威力を増加させる、威力は2倍だが範囲が10倍になる、闇系魔法に耐性+50:魔術士及び癒術士のみ装備可能)
3・特級魔術士のマント(MP+300魔法防御耐性+100:装備可能MP500以上)
4・隠蔽のマスク(息を止めている間は姿を消すことができる)
5・真実の眼鏡(嘘を見抜く眼鏡、鑑定のLVに×3)
6・疾風の靴(時速200kまで出せる靴、SPD+200)
7・空飛ぶ船S(小型高速飛行船、乗車定員5名、消費MP1時間200MP)
8・金縛りのムチ(どんな奴でもあたるとその場で固まってしまう、魔法耐性のある生き物はその限りではない、耐性破壊効果有り)
9・ケミカルセット上級(各種の研究道具一式:50点)
10・転移門(取り出して使う転送システム、一度訪れた場所に限る、使用した後は自動でインベントリーへ収納する、1回MP100+金貨1枚)
11・天使の衣(空を飛ぶことが可能になる、闇系の魔法に対して耐性がある)
12・商売の本(持っているだけで買い物が半額になり売るときは倍の値段で売ることができる)
13・賢者の指輪(スペックが全て倍になる、装着にはHP200以上MP200以上必要)
14・自動迎撃システム(戦士及び魔術士のみ装備可能、各能力100以上無いと使用不可)
ここからはスキルや魔法
15・火属性魔法の極級スキル(最初は初級、成長可能・限界無し)
16・水属性魔法の極級スキル(最初は初級、成長可能・限界無し)
17・土属性魔法の極級スキル(最初は初級、成長可能・限界無し)
18・風属性魔法の極級スキル(最初は初級、成長可能・限界無し)
19・無属性魔法の極級スキル(最初は初級、成長可能・限界無し)
20・聖属性魔法の極級スキル(最初は初級、成長可能・限界無し)
21・闇属性魔法の極級スキル(最初は初級、成長可能・限界無し)
22・回復魔法の極級スキル(最初は初級、成長可能・限界無し)
23・他言語理解のスキル(最初は初級、視覚および聴覚由来・LV10で全生物対応)
24・上級防御スキル(ほぼどんな攻撃も受け止める、受けた時の敵攻撃力は10分の1になる)
25・善行LvアップスキルS(通常の3倍善行を貯められる)
26・以心伝心のスキル上級(テレパシー、特定の人物と連絡ができる、ダンジョン内や魔法制御のある場所では不可)
27・魅了スキル上級(人から動物まで好かれる、耐性魔法がかけられている場合は破壊する)
28・予測スキル上級(近い未来わかる、成長可能・最大10日先まで)
前回訪れた時にもらったスキルと合わせれば48個と言う数は、ネットゲームに100万円近くつぎ込んだ廃プレイヤーのようなものだ。
しかも最初に手に入れたプレゼントとは別に、冒険で手に入れたスキルや魔法具もあるので、現在の状況はかなり有利にイベントを勧められると言って良い。
「それじゃ~がんばってね~」
「え・」
「シュン」
「あの子、生還できるかしら?まあ今回は団体様だから遊ぶ暇はないかもしれないわね~」
またもや聞きたいことを言い忘れてしまった。
前回の時もナビゲーターはプレゼントの選択が終わると、さっさと俺をこの世界に放り込んだ。
沢山プレゼントを貰ったとしても、目の前に立ちはだかるクエストが最悪だと言う予感がするのは、先ほどもらった予知スキルのせいなのかもしれない。




