アプリの森
アプリの森
広い園内にはアプリ版のアニメで見たことがある建物や乗り物が、俺とマリカは彼女らのはしゃぐ姿を見てベンチに座り一休み。
「ノブ君、ごめんね」
「仕方ないよ、でもマリカはそれでよかったの?」
「僕も息抜きしたかったからね、病院生活長かったからさ」
半年間、記憶喪失で入院していたマリカ。
データとして記憶を現世へと持ち帰り、ノブユキが彼女へと渡したことでお鍋の世界へと進む決心がついたらしい。
夜のバイトをしながら今は受験勉強をしている。
「そういえば未来も同じだったよね」
「ああ彼女も僕と同じだけど僕は公務員の方」
「そうなんだ」
「家族は?」
「もう少しで勘当されるところだったけど、後継者になるという約束をしたからね」
「由緒正しい家柄って大変だよな」
「そうなんだよ、この状態になるのもなかなか許してもらえなくてさ」
マリカの家は公務員の家系、まさか性転換して男になりたいとは言えない、しかも両親はかなり厳格な人達だった。
身長178センチ髪型をバッサリ切ったことで、外見的には綺麗な男子に見えなくはない。
但し、まだお胸は素のままなので、誰の目にも性的には女子にしか見えないはずだ。
「僕は第三の道を行くつもりなんだ」
「第三の道?」
「心は男の子で体は女の子、それは変えない」
「そうなんだ」
「この体もったいないだろ」
「確かにスタイルとしては抜群だよな」
「だから公務員の上級職を目指しながら格闘技とかスポーツの選手になってみようかなと思う」
「そうなんだ、確かにそれは向いている気がするな」
「警察官を目指すなら肉体の鍛錬も必要だからね」
「そうなんだ」
「それにあの世界で得たスキルもあるからね」
聖女の前は戦士だった、要するに体力系のスキルや回復系のスキルがある。
そのノウハウを利用すれば公務員の上級職への夢もさほど難しくはない。
マリカと話していると3人が戻ってきた。
「何、話してたの?」
「将来の話とかね」
「あーつかれた~」有希
「どこかで休もうか」柚子
俺とマリカは既に休んでいたが、心が女子な三人はこれからどこかで休むらしい。
広い園内を端から端まで歩いて回るのはスキルを所持していてもかなりハードだったが。
若いという事は何よりも今を優先する、そしてかなり離れた場所から見守っている女性もこの場所を満喫しているようだ。




