騙す
騙す
まさに彼は人を騙す天才と言って良い、曇りのない目でまっすぐに見ながら愛をささやく。
そんな気などさらさらないのに、その場限りの言い訳もまるで悪気が無い。
嘘をついてばれても、それが何か?といった具合に、謝まりもせずにいられる男だった。
まさかそんな二人と一緒に行動する羽目になるとは、そして極めつけは自分が売られてしまうとは思わなかったことだ。
「さあ、食おうぜ」
「やった、おいしそー」ミリ
目の前にはたくさんの料理が出され、それが食べ放題というのだから驚きだった。
一体魔王国のどこにこれだけの食材があるのだろう、いやここはゲームのような世界だ。
目の前にある食べ物は全て架空の食材、だがこの設定は本当に大丈夫なのだろうか。
今までのクエストもいくつかこなしてはきたが、今回は別にクエストなどは出ていない。
「はいこれで全部だよ、たらふく食べな」
魔族のおかみが最後の料理を持って来る。
「もう無理」
「おれもだ」
「じゃあ、お休み」
(これでアンナは奴隷落ちだな、その前にお宝ゲットだぜ)
「バタン」
「うまくいったぜ」
まさか初めから全て仕組まれていたのだとは思っても見なかった。
食べ物ではない、多分飲み物に薬を盛られていたのだろう。
目が覚めるとそこにはにんまりとほほ笑むマー君とその隣にはミリちゃん。
そしてもう一人、大きな体をした魔族の一人がこちらを見て笑っている。
「何!」
手足は鎖で繋がれ、着る物は全て脱がされていた。
そしてなぜかお腹には何かの印が。
次の瞬間下腹部に激痛が走る。
まさかこの世界で初めてを無理やり魔族なんかにやられてしまうとは。
「イッ」
(痛い)
「お前は今日から性奴隷だ、初物だったとはな」
(なんで血が)
「何、どうして嘘でしょ」
「馬鹿な奴、お前は高く売れたぜ、ミリを裏切ろうとした罰だ」マー君
「あんたなんか魔族に一生性奴隷としてこき使われればいいのよ!」
何があったのかも分からない、多分マー君はミリちゃんに嘘をついて私を陥れようとしたのだろう。
もしかしたらミリちゃんから自分を横取りする相談を持ち掛けてきたとか、私と二人でミリちゃんを売ろうした、とかいう風に彼女に嘘を吹き込んだのだろう。
そういえばミリちゃんは人の言うことをすぐに信じるタイプだった。
「嘘よ、騙されないで!」
「そうやって今まで私を騙してきたんでしょ」
憎悪の目が私の心を射抜く、すでに奴隷として売られてしまった私には今更どうすることもできなかった。
残っていたストレージ内の武器や防具も奴隷にされたことで強制的に没収されてしまった。
奴隷市場で売られていくことになったアンナだが、たまたま彼女には魔法の才能があったことから、魔王の元へと献上された。
もちろん性奴隷として毎晩のように相手をさせられ次第に身も心も壊れかけていた。
魔王城で性奴隷の生活が数日続いたが、アンナをよほど気に入ったのか毎日のように魔王に抱かれる日々。
魔王の行動を不思議に思った王妃達、とうとう彼女らから苦情が出た。
魔王は王妃達がいくら言っても聞かなかったが、女帝となった未来にまでその行いがばれた。
女帝が魔王に対して文句を言ったおかげで、性奴隷だったアンナは強制的に斥候部隊の召喚魔術師として前線へと送られることになる。
アンナはその頃にはすでにH無しでは生きていけない体にされていた。
魔王討伐編 完
魔王討伐編はここでいったん終わり.
次は現世へと戻り、新たな事件へと信之達は巻き込まれることになります。
いや巻き込まれるというより進んで介入するような感じかな。
予定としては2・3か月後に公開しようと思っておりますのでご期待ください。
全くモテモテのノブユキはどうするんでしょうかね~




