合コンという名の女子会?(男子は3名)
合コンという名の女子会?(男子は3名)
俺が誘ったのは花梨だけ、多分ミツルは柚子と明菜そして夏生を誘うのだろう。
明菜ちゃんは別にミツルが好きという感じではなく、誘われると断れない性格ということ。
その半面早く大人になりたいとも思っていたようだ、このことは後日柚子から聞いている。
もちろんあの世界での出来事は全く覚えていないらしい、これも柚子から聞いた話である。
「ねえ、あーしに話って?」
「合コンいや、夏休み前の飲み会かな」
「もしかしてまたミツル君のやつ?」
「あーでも今度は違うかな」
「そういえば例のアプリの話、まだ聞いてないんだけど」
そうだった、新聞にも出た火災事件。
そこにいたという話をした段階で、彼女の勘は又アプリが絡んでいるのではと思ったらしい。
すぐにその話を俺に振ってきた、もちろん話さない訳にはいかないことである。
だが2回目の召喚は話が長くなりそうなので電話での説明は後日ということにしていたのだ。
「わかったその話もしよう」
「よろしい」
まるで検察長にでもなったかのような口調。
出来れば取り調べはできるだけやんわりとしてほしいところだが。
いつものファーストフードの店に入ると、毎回決まった注文をオーダーする。
そしていつもの窓際の席へと2人で座ると、俺は今回の話を花梨に話し始めた。
「マジ?」
「ああ、でも全員は救えなかったよ」
「それはあたしでも無理っぽいね」
「人数が多いのと、人の足を引っ張るやつまではあの場で改心させられないからな」
「そんで柚子ちゃんは?」
「多分もうすぐデータを渡す相手の居場所が判明するって」
「フーン」
「ねえ」
「ん?」
「なんでもない」
そういえばかりんとは恋人契約をしているのだった。
何だろう、顔色からは分からないが。
俺のスキルが彼女の言わんとしている言葉を探り当てる。
(別に契約じゃなくて本物でもいいんだけど、ノブ君どう思ってるんだろう)
(もしかしてスキル以心伝心か)
そうなのだ、職種スキルの中にそういうスキルがある。
これはテイマー(獣使役士)の職を手に入れてLVを50まで上げた時に手に入れた。
魔法とは違うので対象のことを知りたいと思うだけで相手の考えが分かってしまうという物。
そしてしばらく見つめていると。
「何見てんのよ!」
「かわいいなと思って」
この言葉は言ってしまってから、マズったと思ったが後の祭りだった。
「プイッ」
速攻だった、急に顔を背ける花梨。
ポニーテールが横に振られ、それと同時に耳が真っ赤に染まっていく。
たぶん顔も真っ赤になっているのだろう、片手で飲み物を飲みながらもう片方の手が団扇のごとく真っ赤な顔に微風を送っている。
「そ そう?」
(なんでそっぽを向いた?)
(う わー、ノブ君の顔見らんないよ~)
俺の方はというと、今の一言がすんなり出てしまったと同時に、一気に心が冷っとなった。
いや別に彼女のことが怖いというのは無い、いやあるのかな もしかしたらまだ彼女の武勇伝が頭から離れないからなのだろう。
心と体、いやスキルかな、それらがまだしっくりとこない。
信之は別にモテモテの若者ではない、恋愛も最近になっていくつか経験したが。
それもアプリの中だけの話であり、目の前にいる女の子一人口説けずにいたりする。
「ノブ君」
「どうした?」
「あのさ」
「あたしら本気で付き合わない?」
「マジで?」
「質問に質問で返さないの、返事は!」
「OK、いつまでも仮じゃ友人に紹介しづらいもんね」
「いいの?」
(やったー)
花梨の顔がまるで花束をもらったかのように変化する。
良くある話だ、バイト先の女子と仲良くなってそしてお付き合いを始める。
まあ少し変則的な出来事が原因なのは否めないが、そういうことでもなければ俺は花梨と付き合おうなどという恐れ多いことを口にはしていなかっただろう。
これもアプリのおかげと言うことならアプリ様々なのだが、外見の変化に次いでスキルや魔法迄使用できるようになるなんて思っても見なかった。




