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デスアプリ(帰還できるのか…悪事を裁くのは誰だ!)  作者: 夢未太士
シーズン2 エピソード4 魔王討伐
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ミツルは逃げなかった

ミツルは逃げなかった


魔将軍の討伐クエストが出ると同時に巨大な魔族がミツルたちの方へと近寄ってきた。

もちろんミツルはすぐに逃げる選択をした、だがこんな時になって彼の頭の中では天使と悪魔が戦いを始める。

(あんなあほな女子放って置けよ)悪魔

(いやミツル、お前は戦うって決めたんだろ)天使

(いやいやあんなでかい魔族の女は無理だって)悪魔

(助けるんじゃなかったのか、にげないって決めたんじゃなかったのか?)天使

どっちつかずな気持ちがミツルの逃げ足を鈍らせる、1kほど走ってみたもののどうしても気になって振り返る。


「なんだよ、逃げないのか?」

「どのみち殺されるなら一回ぐらい戦ってやる」

「おー勇者様いうね~」

「お前らもだろ」

「ミツル様素敵です」ローラ

「あーあまじかよ、知らねーぞ」


そしてミツルは来た道を引き返す、どうやら魔族と女子2人は何か話し合っているようだ。

瓦礫の陰迄戻ってきて聞き耳を立てていたが、話し声は小さすぎてよく聞こえない。

そこへ魔将軍の一人が音もたてずに近寄ってきた。


「きこえねーな」

「ほほう、気になるか?」

「当たり前だ」

「ゲッ!」

「人族の勇者だな、俺は魔将軍ドレイクだ」魔将軍ドレイク

「将軍!」

「聖教国の兵士は殲滅したぞ、おぬしらはどうするのだ?」

「くっそー、やってやる」

「にげ…」

「グオー」

「逃げんのは無理そうだぞ」葛生薬男

「くーグレイトだぜ」板間盛夫


4対1、いや実質的には1対1と変わらない。

工作士の二人はクロスボウやスリングショットを構えたが、魔族の将軍と聞いて徐々に後づさっていく。

癒術士のローラもミツルを置いて一言。


「勇者様 がんばってね~」

(うそだろ!)


手に持ったのはAクラスの直剣、ダンジョン攻略で手に入れた武器ではあるが。

LV40と少しで使用できる武器の中では唯一ATが70を超える。

相手のDFは1000以上、こちらのATは500あるなないか。

相手のHPは推定1万以上、この状況で果たして勝負になるのだろうか?


「チャーム」

「おいおいなんでそれなんだよ」


今までも女子に対して使ってきた魅了の魔法、ほぼ効果が無かったはず。

だがとっさに出た言葉はなぜかチャーム、ミツルが最初のプレゼントでもらったスキル。

魔術士ならばもっと効果があるはずだった。

だがスキルで取得した場合魔法とは違い初期設定でかなり威力が弱かった。

もしも彼が善行LV20であったなら魅了スキルの最上級を取得できただろう。

だが彼は初期善行値が6であり、武器も最高Bクラスどまり。

それでも経験値アップの腕輪や守りの指輪は彼を戦士として成長させる為かなり役に立った。

そして魅惑のスキル(チャーム)はようやく初級から中級へとアップグレードしたところだった。


「シュワーン」

「わしのことを魅了するとは…」

「キモ!」


いかつい顔をした魔族の顔がほころぶ、そしてくねくねと腰を振り始めた。


「あなたのお好きなようにして」

「キモいから死ね!」

「ザシュ!」

「いやーん」

「今の内だ!」

「チャンス!」

「ビシュ」

「バシュ」

「ガシュン ズシュン」


力に任せて目の前のいかつい魔族に直剣を何度もたたきつける。

減っていくHPは一度に100前後、まるで素振りの練習のようにたたきつけるが。

数分後になってようやく剣の半分が魔族の体に埋まり、血しぶきが上がり始める。


「なんだこれは、私に何をした」

「気が付きやがったぞ」

「チャーム」

「グォー」

「まずい、だが今は止められない」

「バシュン ズシュン」

「パシュン」

「ドシュ…」


今攻撃を止めれば復活してしまう、何度となく振り下ろす武器。

だがそうしなければ魔族は小さな傷ぐらい数秒で直ってしまうのが分かっていた。

同時に攻撃しているからこそ徐々に傷が深くなっているのだ、チャームもその効果が薄れてしまったが。

重ね掛けすることにより魔将軍の動きだけはかろうじて封じることに成功する。

そしてとうとう討伐のナレーションがスマホから直接頭の中に響き渡る。


「ズズン!」

【魔将軍ドレイクの討伐を完了しました:魔法の鏡またはどこでもドアを選択可能です、いくつかのスキルとLVが上がります善行値を20取得しました】

「バサッ」

「終わった」

「やりやがったぜ」

「おー俺達にも褒章が出たな」

「勇者様さすがです」

「ヒール」


ローラの治癒魔法を受けながら、その場にへたり込むミツル。

何とか魔将軍をやっつけることができたが、まさか次の敵がすぐそこまで迫っているとは思っても見なかった。


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