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デスアプリ(帰還できるのか…悪事を裁くのは誰だ!)  作者: 夢未太士
シーズン2 エピソード4 魔王討伐
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魔王子バスク

魔王子バスク


魔王と比べればもちろんスリムでイケメンな魔王子。

筋骨隆々な上半身、おでこからは2本の角が生えており、その角は結構長く太い。

彼の戦闘スタイルはどうやら武器は使わずその肉体のみでの戦いに特化しているようだ。

確かにそのパワーはかなりのものだが、DEFがすでに2万を超えているノブユキにとって何のデメリットにもなりはしない。

だがここでまた少し甘い考えが…


「バシンバシン」

「お前も格闘希望か?」

「いや、武器でも飛び道具でも使っていいぞ、負けたら悔しいだろ」

「いいや、さっきも相手に合わせて勝ったからな、後で卑怯だとか言われると心外だし」

「そうか?フフフ」


何か嫌な予感がするのだが、ここで武器を手にしてしまうとまた何かカチンとくることを言ってくるのだろう。

先ほどの突貫は確かにすごい威力だ、それは素直に認めよう。

だが、脳筋魔族に果たして策略などあるのだろうか?


「クイクイ」

(誘っていやがる)

「仕方ない」

「トスットスッ」


昔見た映画の主人公、それはカンフー映画だった。

脳筋に対処するならばフットワーク、この図式は定番だったりする。

しかも相手は角をはやした牛のような奴。

攻撃をひらひらかわし。カウンターを叩き込む。

信之はそんな戦闘シーンを頭に浮かびあがらせていた。


「いくぞ!」

「カモン」

「ドドン!」


床にひびが入るほどの脚力、その威力で踏み出せばほとんどの標的は逃げられず一瞬で粉々になる、そんなシーンをバスクは想定していたはず。

だが信之はまるで蝶のように突撃を躱す。


「ガシュン!」

(おっと)

「ちょこまかと…だがこれでお前は終わりだ!」


確かに躱したはず、だが魔王子バスクの腕がほんの少しノブユキの体をかすっていた。


「にがさん」

「おっと」

「パシンガシン」

「これでもう逃げられない」

(なんだ、体が…)


攻撃が入るたびにSPDスピードAGIアジリティを削っていく。

魔王子バスクの常とう手段、それは魔法具のバフ外し。

素手での拳闘試合と見せかけて、実はいくつもの魔法具を装着している彼。

首にはネックレスが2種、腕輪に足環、さらに下着や上着にもいくつかの魔法具が装着されており。

ぱっと見はそんな魔法がいくつもかけられているなどとは思えない、この戦法で敵を欺き自分の得意な戦い方へと引きずり込むのがバスクの戦い方だ。


「ドンバン」

「どうしたどうした!」

「ウッ」

(マジかよ)


鑑定スキルで自分を見てみるとバッドステータスがいくつか表示された。

バスクの攻撃が当たるたびに速さと素早さがどんどん下がっていく。

現在着ているのは勇者セットではあるが、一番の武器であるエクスカリバーは未装着状態。

さらにイージスの盾もストレージの中にある。

相手が素手なのに自分が盾や剣を装着するのは、いまさらできない話。

どうやらノブユキの小さなプライドに火が付いた。


「そういうことかよ!」

「いまさら遅い」

「バギャンドガン!」

「ドン!」


またもや壁際迄飛ばされた信之、さすがに何度も攻撃を食らうといくつかのバフが解かれてしまい。

口から少し流血してきた。


「まだ終わんないの?」柚子

「…今楽しんでるところだよ」

(魔法具貸そうか?)

(いや俺も持ってるから)


そう言って取り出したのはいくつかの指輪と腕輪、そして一度も使ったことが無いマントと靴。

素手という縛りで戦うのだから武器や盾以外に絞って、魔道具を選択して敵の攻撃を防ぐしかない。

脳筋だとばかり思っていたが、そうではないことを認めよう、魔王よりかはバスクの方が頭は回るようだ。


「なんだ、その装備は?」

「さーなんだろ~な~」

「馬鹿にするな!」

「馬鹿にしてないから装着すんだろ」

「うぐぐ」


新たに装着したのは特急魔術士のマントと疾風の靴そして賢者の指輪と自動迎撃システム。

自動迎撃システム:要するにカウンターを自動的に繰り出すことのできる魔法具だ。

それを着ている服に装着するだけでカウンターを発生させることが可能になる。

但し物理攻撃に対してのみ有効であり魔法攻撃に対しては対応不可能。

相手が物理攻撃のみだからこそ使える魔道具と言える。


「さー反撃と行こうか」

「トン」

「シュン」

「バキン」

「グッ」

「なんだと!」


確かにバスクの左がノブユキの顔面をとらえたはず、だがその前にノブユキの右ストレートがわずかに早くバスクの顔面へとカウンターを放つ。


「うそだ、こんなはずはない」

「バキン」

「バシン」


何度となく繰り返し両者が足を止めて殴り合う、だがそのすべてがカウンターでバスクの体へと跳ね返っていくようだ。

見る見るうちにその顔が赤く腫れあがり、バスクの息が上がっていく。


「フーフークソ」

「降参するか?」

「誰がするか!」

「そっか」

「バゴン!」

「ドズン」


スピードとアジリティを削られていたノブユキだが、アタック自体は変化していない。

いや逆に後から装着した魔道具によりATは倍以上に上がっていたりするのだ、しかも全ての攻撃でカウンターが決まれば魔王子バスクが勝てる要素など無くなってしまう。


「ズズン」

「これで終わりだな」

「ぐぐぐ、くそ 他には誰かいないのか!」魔王


魔王の息子や娘は確かに他にもいるのだが、現在彼らは聖教国へと手柄を立てるため将軍と一緒に行動していたりする。

残っているのは年端も行かない子供のみ。


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