打倒魔王まで近くて遠い
打倒魔王まで近くて遠い
NPCではなく流魂者だった未来、スキル魔の女王という唯一のSクラスプレゼントを手に入れた彼女。
だがそれを手に入れると魔族側に転移するのが決まっているらしい。
そのスキルは人側に対しての効力がほとんどない、だが彼女の初期ジョブは戦士であり上級職もすでにいくつか取得している。
中でもAランクジョブの宰相と上級策士そして賢者は魔王国でも所持している者はいない。
そして圧巻なのは魔の女王スキルによって入手した上級ジョブの魔天女。
これらのジョブを手に入れていれば戦いで死ぬことなどありえない。
「行くわよ」
「ああ」
「…」
女の園である奥の院から魔王がいる魔王の間へと歩いて行くと、魔族の女性たちが止めるのかと思いきや。
全員が膝をついて首を下げる。
「これもあなたのスキル?」
「スキルもあるけどジョブも関係していると思うわ」
「なんか光ってるし」
「この方が楽に魔王の元へ行けるでしょう」
「そうだけど…」
行く先々で魔族は全員膝を付き、頭を垂れて俺達3人が通り過ぎるのを待っている。
魔将軍は頭を下げなかったが、一般の魔族は彼女に対して絶対服従となるようだ。
「確かにこの状態で魔族を殺す事は出来ないな」
「攻撃されないって、ある意味設定殺しよね」
「そうだね、これじゃ戦闘系クエストは全然進まない」
魔族の女中たちが並んで頭を下げる中、3人はどんどん魔王の間へと進んでいく。
大きな扉を開け放つと、そこには巨大な水晶玉に向かって魔法の呪文を唱える人物(魔族)が。
「55oukokuhe1919Ukaikougek1」魔法の詠唱中
「こいつが魔王?」
どう見ても中年の魔族でありぱっと見ただけで、その巨体がファットだということは誰の目にもわかる。
「なんだ、おまえらは!」
「俺達勇者?」
「だから、それ止めなよ」柚子
三度目の首をかしげる信之、柚子は少しイラっと来たらしい。
「おお魔天女様、まさか魔天女様迄 勇者だと?」
「いいえ私は手を出しません、この2人が戦います」
「そうですか、そうですか、ではこちらは我が息子と娘がお相手しましょう」
「その腹では戦えないと?」
「うるさい、この体は魔王の威厳を保つためなのですよ…ぶつぶつ」
「そういう物?」
魔王の間はかなり広く、この部屋自体は通常の謁見の場として使用されているようだ。
そこになかなかハンサムな魔族とかなり美麗な魔族がやって来る。
【魔王子と魔王女を倒せLV100:究極のスキルが手に入る】
「マジ?」
「ノブ君、魔王女は私がやるわ」
「分かった」
魔王と比べたら子供たちの方がスタイルはもちろんのこと顔まで優れているようだ。
「わが父に代わって勇者を葬る、逃げ出すなら今の内だぞ」
「その言葉はそっくり返してやるぜ!」
(ノブ君なんか雑魚っぽいよ)
(いいじゃん)
「そこの醜女、私の相手が務まるかしら?」
「は~~~~!」
(落ち着けって)
今にも頭から煙が出て来そうな柚子、確かに魔王の娘とは言えないぐらい美麗な容姿をしている。
鑑定眼で見てみると2人共に上級職を2つ以上手に入れている。
要するにノブユキと柚子、2人と同じく3つ以上のジョブを持っているということになる。
ならば少なくともジョブLVは合計すると200近いのではないだろうか?
「おい小僧!」
「ん?俺の事?」
「お前以外にだれがいる」
「おまえもだろ」
「ほう、私が小僧に見えるとは、頭と顔だけでなく目も悪いようだな」
「いいやこれがスタンダードだぞ、それよりその角は本物か?」
総じて魔族のおでこには2つの角が生えている、そして魔族は角が大きければ大きいほど位が高いという初期設定があるらしい。
「魔族の貴族は殆ど角の大きさで位が決まっている」
「邪魔じゃねーの?」
「ふふふ、この角はな こうやって使うのだよ!」
次の瞬間、魔王子がノブユキめがけて突っ込んできた、しかもその2本の角を使って。
まるで闘牛のような突進だった。
「ズガン!」
「ドン!」
「パラパラパラ」
魔王子の突貫をくらい壁まで弾き飛ばされた信之、壁に大きな穴が開くと共に辺り一面が破砕紛に覆われる。
「ほう 私の攻撃を受けても立ち上がるか」
「別に、何ともないが」
「パンパン」
(まったくいきなりかよ)
「強がるな、俺の攻撃を浴びて立ち上がったやつは久しぶりだ、我が名は魔王子バスク我が力にひれ伏せ!」
いきなり向かってきた魔王子の力、確かにLV100以上は有りそうだった。
だが勇者セットに守りの腕輪、さらに身体能力アップの指輪などを身に着けた信之には傷一つついてはいない。




