Cグループに危機が迫る
Cグループに危機が迫る
魔剣士ロモコ隊長を先頭に馬車2台に乗り込んだ勇者候補のCチーム。
砦の橋を渡ったところで、魔王国側の見張り台にいた兵士が警鐘を鳴らす。
「カンカンカン…」
「何だ?」
「魔族が攻めてきたぞ!」
「戦闘態勢を取れ!」
「おいおいマジかよ」
馬車から降りるクズ勇者達、一応LV40近くまで修行したのだが。
ミツル以外は非戦闘職の為、剣や杖よりボウガンや魔法銃を手に入れていた。
もちろんその武器には毒や麻酔といった薬を塗ってある、そうしなければ敵を倒すことはできない。
「弓兵は柵の上から攻撃、残りは門の前で待機」
「ドドドドドド…」
徐々に大きくなっていく地響き、そう魔族の前に走って来るのは魔牛の群れ。
いったい何処からやってきたのかと思ってしまうが、これこそが今回魔王が考えた作戦だったようだ。
そして聖教国の補給線である寒村にも他の魔将軍が同時に攻撃をかけるという作戦。
要するに砦は挟撃されてしまうことになる。
「勇者の出番だよ、ただ飯食らってんだからちゃんと働きな!」ロモコ
「マジかよ、でもやるしかないか…」
クズ勇者の内4人は工作士、ジョブをLV40近くまで上げて作成したのはボウガンや魔法銃、
それらを手に魔牛を仕留めようと必死になるが。
魔牛はそう簡単には死なないし、群れると狂暴になって柵へと突撃してくる。
「ガン」
「ドズン」
「ダン」
「バキッ」
「バキバキ」
「ダメだ、止まらない」
「柵が壊れる!」
たまらず柵から飛び降り狭い壁際に逃れようと必死になって逃げるクズ勇者。
「た 助けて~」
「こら、逃げるな!」
本当ならば彼らを盾にして時間を稼ごうと思った魔剣士ロモコだったが、そううまくはいかないようだ。
「逃げたら従者抜きだぞ!」
「死ぬのは嫌だ!」
だが逃げると言っても後ろの橋は上がってしまうと谷底に飛び降りるしか方法は無い。
だがこの騒動で逃げる決心をした兵士の誰かが橋の装置を動かしたらしい。
「召喚、ビッグバード」
「あ、お前ずるいぞ」
「俺も乗せて」
「こいつは一人乗りだ」
「ちょい待ち、私を乗せていきな」ロモコ
「バサッバサッ」
「はなせ あ!」
「うわー」
クズ勇者の一人、召喚士のジョブで手に入れた大鷲を使い自分だけ逃げようとしたのだが。
いち早くそれを見つけてクズ勇者の足首を掴むロモコ、もちろん勇者の倍近い体重では大鷲が飛び上がれない。
あわれ、勇者もろとも魔牛の群れに飲み込まれてしまった。
かろうじて建物の陰に逃げたミツルと数人はなんとか魔牛をやり過ごす。
砦の柵は前後共に無残な姿をさらし、魔牛はほとんどが谷底へと落下してしまったようだ。
「ありえねー」
「もしかして隊長もやられたのか?」
「多分な」
「あたしらどうすんだよ~」マリア
「戦うか逃げるか、どちらにしても無事じゃ済みそうもないな」
あたり一面に立ち込める砂埃、風が吹き抜けると共に、ようやく惨状が目の前に見えて来る。
「兵隊は?」
「あいつら全員逃げた!」
いつの間にか後方の門が開き橋が下りている、その先を聖教国の兵士が数人走っているのが見えた。
跳ね橋も半分が壊れているようだが一人ずつなら何とか通れそうだ。
「ずりー」
「俺達も逃げよう!」
「ガウ~」
「やば!」
魔牛の後からやってきたのは魔狼、さらに続いて現れたのはゴブリン。
「嘘だろ」
魔狼もゴブリンもダンジョン魔物であるが、そこに現れたのは数倍大きな魔狼とゴブリン。
鑑定してみるとそのLVは40前後、クズ勇者よりわずかに高い。
「鑑定、おいおいマジかよ、俺らより戦闘力高いじゃねーか」
工作士の葛生薬男が鑑定魔法を使うと、どう考えても無事に攻略できそうもないことが判明する。
【魔将軍ガミランを倒せ:LV90、各パラメーター+10、職種LV+20、追加スキルカウンター】
【魔将軍グレイトを倒せ:LV95、各パラメーター+10、スキル10秒間無敵を獲得】
「無茶苦茶だ」
「目の前の雑魚でも難しいのに魔将軍なんて無理だろ」
「おい」
「なんだよ、もう逃げようぜ」
「む 無理だ!」
「ガウ ガウ」
「ギャー」
最後まで隠れていた2人は魔狼とゴブリンに見つかり、その体を食いちぎられてしまう。
既に残るクズ勇者は5人。
クズ勇者がやられている一瞬のスキを狙って俊足スキルで橋を渡ることにしたミツル他数名。
「勇者様…」
「大丈夫俺が守るから」
女の子に擬態しているローラ、戦えばソコソコ強いのだがもちろん猫をかぶっている。
姉であるロモコは既に魔牛につぶされてしまいその肉片すら見当たらない。
「はっはっはっ…」
「勇者様どこまで逃げるのですか?」
「逃げられるところまでだよ」
「無理だと思いますけど」
砦からすでに10kほど走ってきたが、その先にうっすらと見えているのは聖教国のキャンプ。
だがそのキャンプでもすでに戦闘が始まっていた。
「マジか」
魔牛の立てた土埃が風で流されると目の前に広がっているのは戦場という修羅場だった。




