魔族のホスト
魔族のホスト
町を回って見分を深める、信之達の女子達に発生したクエストは夜の繁華街それも魔族の国の中を散策するという物。
本来の人族の姿では出歩くことさえできないはずの場所である魔王国。
だが変身魔法のおかげかばれることも無く10人は二手に分かれて町を散策することになった。
5人はホストクラブへと消え、残る5人は奴隷商へと足を運ぶことに。
「よく眠ってるみたいだな」
「ちょっとみてみるか」
魔族のホスト3人はツボの中を覗き込む。
「お!まだ少し早そうだな」
「まあまだ10分程度だからな、明日になればかなり出来上がっているさ」
魔法のツボは中身を飲んだ生き物を自らのツボの中へと引きずりこむことができる。
この中に入るとほとんどの生き物は眠気に耐え切れずその場で眠らされた後、身包みをはがされてしまう。
ツボの中で泣き叫ぶスッポンポンの女性達、そうなれば彼らの言うことを聞かなければ解放されることもない。
だがその中に一人だけ勇者セットを身に着けた人族がいるとは思わなかったのは彼らの誤算だった。
勇者セットをフルで着こむと様々な恩恵が与えられる、まずこのツボの中で衣服を溶かされることは無い。
それに寝込んでしまうようなことも無い、明菜は眠ったふりをして他の2人に合わせてみた。
「ウェイクアップアラーム!」
「チリリリリ!」
「ねえ、みんな起きてよ」明菜
「う~ん」美里
「ここはどこ?」祥子
「私達、騙されたみたい」
「え~」
「もしかしてあのお酒飲んだから?」
「多分そうだわ」
「どうするの?」
「えーと」
【魔法のツボから脱出:LV30、脱出できればスキル薬の知識が手に入る】
ツボにとらわれた3人、だがこのままではホスト達の餌食になってしまう。
「クエスト出たわ」
「どこかの物語にあったようなシチュエーションね」
「ここから出るにはその方法を考えないと」
「かなり高さがあるわね」
ツボの中は異次元空間、小型の池と言っても良い。
よじ登るには壁面がぬめぬめしていて難しい様子、そして時折雨のような雫が垂れて来る。
かろうじて池の周りに残る岸辺に3人は留まることができたようだが。
「あいつらなら何か知っているんじゃないかな~」
「それはそうね、教えてもらえば確実だけど」
「どうやって聞き出すのよ」
「私に考えがあるわ」
「ねえ靴が溶け始めたんだけど」
「ほんとだ、服も穴が開き始めた…」
「多分ここにいたら私たち溶かされてしまうわ、だから何とかしてあいつらに交渉を申し込むのよ」
作戦はこうだ、彼らの内の一人がツボを覗き込んだ時に交渉を持ちかける。
早い話がだますわけだが、交渉材料としてホストが好きそうなお宝か何かが必要だろう。
今まで魔の森で手に入れた各種のドロップ品がストレージにいくつか入っていたことを思い出した。
それを交渉材料にして時間を稼ぎ、その間に強力な魅了魔法を放てばうまくいくかもしれない。
魅了で懐柔しここから出る方法を聞き出す、すでにLV80近い魔術士の明菜が魅了の魔法を使えば、抗うことなどできないだろう。
「どちらにしても早くしないとまずいわ」
「じゃあ、3人で騒ぐわよ!」
作戦は決まった、この中で騒げば必ず中を覗きに来ることは確かだ、その時に魔法をお見舞いする。
今はそれを実行するしかここから逃げ出す方法が無い、意を決して叫び声をあげる3人。
果たして作戦はうまくいくのだろうか?




