ホストクラブ(デモーン)
ホストクラブ(デモーン)
こちらは甘いマスクに軽そうな言葉が軽薄に見える、魔族のホストが10数人所属する優良ホストクラブ(仮)。
優良とはいえそれなりにお高い料金を頂戴するのだから、優良でなければすぐにつぶれてしまうだろう。
「お嬢様お手をどうぞ」
「わーシャンデリアだ~」
「当店はこの町唯一の優良ホストクラブです」
「今宵は私たちがエスコートします」
「右から、マサルト カイラル クルミン キリート ダンタル マジャル モリキン シードン ムラカン そして私ユキリンと申します」
それぞれに違った特徴があるが、全員が魔族であり頭には角そして尻尾や背中に羽が生えている。
全員が色鮮やかなスーツや礼服を着こなす、ザ・ホストと言って良い。
「お嬢様こちらへおかけください」
明菜たちの他にも数人の客がいるが、そちらはかなりの入れ込みらしく。
女性客は一人のホストにかなり固執している様子。
「隣よろしいですか?」クルミン
「はい」
「お嬢様、まずは店からサービスを一つ」
「ではシャンパンを」
配られたのは薬物入りのシャンパン、飲めば気持ちよくなるばかりか催淫作用迄ある優れもの。
但し明菜たち全員、現在は毒物浄化スキル持ちとなっているため、これらの薬入りシャンパンの効果はほぼ無いと言って良い。
ちなみに薬入りシャンパン、この世界では当たり前の品物であり。
異性を落とすのに、これなしで挑むのは手ぶらで女性を落とすのと同じこと。
どこの女性もプレゼントの一つは手にもっていかないと振り向きもしない。
まあ魔族の女性もこういった薬物入りシャンパンの効果はそれほど大きくは無いと言っておこう。
「カンパーイ」
「おいしい」
「ではもう一杯」
いつの間にか彼女らの両隣にホストが座り、至れり尽くせりでおもてなしする。
「ドンペル入りまーす」
どこかの席で高いシャンパンを注文したらしい、ちなみにそのほかのお酒はあまり種類が無かったりする。
「あ~きもちいい」
「お嬢様方奥へ行ってお休みになりますか?二人っきりになれますよ」
「え~どうしよ~」
「美咲ちゃん!」明菜
「行ってくる~」美咲
「わたしも~」純
残ったのは真面目な明菜と美里そして祥子の三人。
「お嬢様、私の事気に入らないのでしょうか?」
「そういうことじゃないわ」
「では?さらに上の奴を、パンパン」
(あれを持ってきて)
「かしこまりました」
持ってきたのは大きなボトル、だがそのボトルは生き物の様だった。
「あーぶらかーだぶーら」
「シュワワワ~」
「魔王国秘伝のシャンパン、デモーンノワール これを飲むと他の酒など飲めなくなるという、魔王国最高のシャンパンでございます」
かなり大きいボトル、いやボトルのようなツボと言った方がよさそうだ。
中には様々な魔物から取れるエキスが入っており、独特な香りが鼻を突く。
「ドクドクドク」
「どうぞ」
差し出されたのは紫色の何か?香りは確かにアルコールの一種だと思われるのだが。
「イッキイッキ…」
周りの魔ホストが3人にグラスの中身を飲み干せとイッキコールの音頭を取る。
「パーフェクトガード」
「今よ」
魔法をかけておく、だがそれでもグラスの中の酒は特別だった。
「シュー」
「ゴー」
「キャー」
魔法のボトル、いわゆるボトル自体が生きており。
中の液体を飲むとボトルの中へ引きこまれてしまうという物。
要するにボトルの中へ引きこみ、出ることができなくなれば。
解放と引き換えにこの店の糧となるよう、強要されてしまうという物。
実は全員こうやって虜にされてしまうらしい。
「馬鹿な奴らだ、これで今月の売り上げトップだぜ!」
「アザース」
「ザーコザーコザーコザーコ」
「ゴチニナリマース」
奥の部屋へと連れていかれた美咲と純も別な方法で虜にされてしまうだろう。
LV80を超えても魔道具には勝てなかったと言うところか。
魔王国へ進軍 完
なにやら方向性が違ってきた女子達、だが真面目な明菜がいたおかげでこの後何とか逃げ出せはするのだが…
いやいやそれでは面白くない?
次回とうとう魔王が登場します、皆 善行LV30超えたのだろうか?
この先は来年書き溜めてお届けしようと思います。
それでは皆様、良い年をお迎えください。
令和6年12月18日




