敵の魔将軍×2
敵の魔将軍×2
勇者Bチームは堅実に魔王の元まで進もうとしていたのだが、翌日になりこの世界ではよくある事が発生する。
それはクエスト、それも同時に5つのクエストが発生する。
しかもそのクエスト自体が避けて通れないクエストだった。
「そろそろ朝だ、見回りの交代頼む」
廃墟はそれほど広くはないが、勇者Bチームは全員で9人しかおらず。
そして女子に見回りを任せることなどできなかった、まあその女子の彼氏とペアならば喜んで見回りをすることは分かっていたが。
その他の男子は一人で見回りに出ていた。
「ふあ~もう朝なんだから見回りなんてしなくてもよさそうなものなんだがな~」
「ドドドドド」
「なんだ?」
その音はかなり遠くから聞こえる、まるで複数の動物が走っているような。
「あれは…」
「緊急!」
「なんだこの音は!」
「まずいぞこちらに何か向かってくる」
「全員起床!」
まるで何かが暴走しているようにしか見えない、かなり距離は離れているが、そのスピードはかなり速そうだ。
「すぐに出る、用意を急げ」
「はやく!」
急いで馬車に乗り込む9人、だがどう考えても間に合わない。
村から少し進んだ丘の陰で、やり過ごそうと決めた勇者Bチーム。
「ドドドドドド」
「なんだあれ」
「魔牛?」
10頭20頭ではない数百を超える魔牛の群れが土埃を立てながら、こちらに向かってくる。
「うそだろ」
「ドドドドド」
「伏せろ!」
丘の斜面を転がり落ちていく魔牛、何かから逃げているようだ。
そして魔牛の後ろから現れたものはいったい。
【魔将軍ガミランを倒せ:LV90、各パラメーター+10、職種LV+20】
【魔将軍グレイトを倒せ:LV95、各パラメーター+10、スキル10秒間無敵を獲得】
【洞窟へ逃げ込めLV20:お宝発見、スキル宝物サーチ取得】
【将軍を倒さないと善行LVはく奪:ペナルティー善行LV―30※10日以内】
【洞窟の中を調査せよLV60:職種LV10、スキル瞬間移動LV1】
Bチーム全員にクエストのナレーションが表示される、一番面倒なのが善行LVの剥奪だ。
このまま死んでも全員生きて戻れるはずだった、だがクエストが出たことにより将軍2体を倒さないと結局死んで戻ることになってしまう。
さすがにこの状況で逃げるなんてことはできない。
だが正面から魔族の将軍にぶつかって勝てる自信も無い9人。
「洞窟へ行こう!」
「先にそっちを攻略するってことか?」
「そうすれば将軍をやらなくても洞窟攻略で+30だから何とかなるだろう」
「行くぞ!」
全員が速足もしくは俊足魔法をかけて洞窟迄一目散に逃げだした。
その場所から洞窟迄は約30k、魔将軍の部隊がやってくるのを回避しつつ。
やや西寄りに山の方へ向かって9人は走り出した。
馬車では20kも出すことができない、もったいないが馬も馬車もその場に放棄して進むことを決意した。




