流魂者の一人
流魂者の一人
城と言ってもかなりの大きさがある、現代でいえばショッピングモールほどの広さだ。
その中には数百の兵士が巡回しているし、魔族のメイドも百人近くがうろうろしている。
そして後宮と言われる場所にはなぜか緑色の点が。
【なあ、後宮になぜか一般人がいるのはなんでだ?】
【どこに?】
そう言って柚子もマップを開いてみる。
【NPCの人間?】
【魔族の兵士は全員オレンジだろ、将軍はレッド、魔王もだよな】
【捕まったNPCかもしくは私たちと同じ召喚者?】
【未来を救え:LV100、魔王によって捕らわれた者を救出せよ、すべてのLVが10アップ、スキルリジェネを習得】
【なんだよこれ】
【新しいクエスト?】
召喚者として捕らわれている流魂者かもしくは鎮魂者か、どちらにしても魔王につかまっているということはかなり弱いということになるのだが。
【ねえ足かせにならない?】
【じゃあ先に魔王から倒す?】
【うーん、でもそうすると捕まっている子は助けられないのよね】
先に魔王を倒す=要救助者は二の次、もし要救助者に魔王討伐のクエストが表示されておらず。
現世へと帰れない場合は、この世界に置き去りにするという事。
助ける方を優先すれば当然のことながら自分たちの善行LVは爆上がりするだろう。
ここまでの流れを精査すると、ノブユキと柚子の勇者Aチーム全員魔王討伐で現世へ帰ることができる、それは決定事項。
そしてなぜだか勇者Bチームも、そして新たに出発した勇者Cチームも魔王討伐完了と同時に現世へと復帰できるのだが。
問題はその時に他のチームの全員が善行LVを30まで貯めてあるのかどうかがカギになる。
もちろんAチームは全員がすでに善行LVを40以上取得済みなので楽勝なのだが。
Bチームと問題なのはCチームだろう。
もしLV30無い状態で討伐完了して現世への復帰シークエンスが流れた場合。
クズ勇者たちはそれを見て現世へと戻ろうとするのだろうか、それとも善行LVなどという面倒な設定など気にせず復帰することを望むのだろうか。
勇者チームが3つに分かれてしまった今になっては、いくらノブユキが強くなろうともどうすることもできない。
【とりあえず助けてみよう、それから順番を決めても遅くはない】
【そうね】
とは言っても後宮という場所は魔王の玉座に近く、俺たち二人が後宮に侵入すれば魔王かもしくは将軍達がやってくると思われる。
そして後宮にも警備兵が十数人、もちろんメイドと思われる魔族もいるのだから簡単に連れ出すことができるとは思えない。




