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デスアプリ(帰還できるのか…悪事を裁くのは誰だ!)  作者: 夢未太士
デスアプリシーズン1 エピソード1 行方不明
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始まりの村

始まりの村


まさかAIアプリのせいでゲームの世界へ強制的に連れて来られるとは思ってもみなかった。

そういえばスクリーン画面では自分の姿が今どういう感じなのかわからなかったが、後で鏡でも見てみようと思う。


「それでは転送します」

「あ …」


少し待ってと言おうとしたが、無情にも目の前の景色は光に包まれ。

次の景色はどこかの村の中、吹く風は冷たく肌寒い。

(しまった!温度や痛覚を緩和するスキルも選択しておけばよかった…)

こんな時に浮かんだのは、たいしたことでは無かったが俺にはこれがそれほど悲惨な状況だとは感じていなかった。

村にある家は木や石積できているのか、どの家もみすぼらしく今にも壊れてしまいそう。


「おぬし旅の者か?」


どうやら村人の様だが、髭は白く杖を突きながら歩いているようだ。


「そ そうかもしれない…」

「この村は初めての様じゃな」

「はい」

「大変な時に来なすったな」

「大変な時?」

「この村は呪われておる、毎晩魔物が襲ってくるのじゃ」

「毎晩!」

「早くこの村から離れた方が良いぞ」

【ピロリン】

【クエスト発生・魔物を退治せよ!始まりの村の魔物退治】


ここでクエスト発生、そういえばマッピングでの情報には村の中に赤い点と青い点がいくつか浮かびあがっている。

そこをタップするとクエストが表示され、さらに難易度が表示された。

(爺さん村長なのか…なるほど難易度LV3か)

クエスト難度・LV1は当然、初心者向けになる。

だが今表示している魔物退治はLV3、今ここから立ち去ると次にクエストが表示された時は受けられないことも有る。


【クエストは断ることも可能ですが、2度と同じクエストは受けられなくなることもございます】


自動生成でしかもランダム生成と言う事なのかもしれない。

とりあえずLV3のクエストがどういう物なのか内容を見てみよう。


【クエストを受けますか?】

【YES/NO】

【YES】

「物好きな方もいる者じゃ、どうなっても知らぬが、これを持っていきなさい」


そう言うとポーションらしきものを渡される。


「あ ありがとう」

「せめてもの礼じゃ、おぬしの遺体はちゃんと葬っておくから安心してよいぞ」


死ぬこと確定かよ…


えぐかった


その晩、空いている民家に身を寄せ俺は魔物が襲ってくるのを待った。

この村にいるNPCは全部で15人、殆どがやせ細り食べ物もほとんどない状態。

一応村のはずれに畑らしきものが有り、農耕をしているのは分かるが。

どう考えても半分は廃棄されている村だと言うのは一目でわかった。


「ワウ~ウ~」


狼の遠吠え、と言う事は魔物は狼か、それとも別な生き物か?

恐る恐る民家の戸を開け、隙間から外を覗くと、そこには1匹だけではなく最低10匹の魔物と思しき狼の姿。


「鑑定!」

魔狼LV3(魔素を浴びた動物、通常の武器では歯が立たない・人肉を好み特に女性の肉は好物)

(うわー なんだよLV3でこのスペックないだろ!)


HPは400ATは70DFは100もある、しかも1匹ではなく全部で20匹。

問題なのはそこではなく普通の武器って…

俺が特典で手に入れたのは一応魔法の武器だが、この刀で太刀打ちできるのだろうか。

DF100はどう考えても1匹をやっつけるのに相当苦労しそうだ。

(作戦 作戦を考えないといけない訳か…)

現状、この家の中までは襲ってこないのは分かっている。

外では魔狼達が一軒ずつクンクンと臭いをかいで回り、家の中に人がいるかどうかを確認しているみたいだ。

そしてとうとう1軒の家の前に数匹が集まり出す、それは向かいの家であり。

地図マップの上にはその家に2名のNPCがいると出ている。


【ポーン クエスト発生NPC2名を助けてお宝を貰おう!】

(なんだと!)


追加のクエストが発生した、うまく行けばお宝ゲット。

だが目の前の敵はLV5に匹敵する、1匹だけならLV3。

無理をすればやっつける事も出来なくはないのだが20匹は無理だろう。

最初の村でこの難易度、死ぬこと限定のフラグばかり出て来るなんて…

だが俺は既に作戦を練っていた、それはここで声を出し向かいの家から奴らの注意をそらす、奴らがやってきたところで戸を少し開け刀を突きだす。

要するに隠れながらの攻撃だ、そこから先はLVアップ次第となるだろう。

上手く1匹だけでもそれで殺す事が出来たならLVは必ず上がるはず。

そうすれば魔狼LV3でも数匹ぐらいなら相手をしても、何とか切り抜けることができるのではないだろうか。

俺はその考えに達すると戸を開けて声を出す。


「くら!犬どもかかってこいや!」

「グルルル」

「やば!」


魔狼全部がこちらを向き唸り声をあげながらこちらへやって来る。

(まだ まだだ もっと近寄るまで待つんだ!)

その中の1匹が戸の前まで来て臭いを嗅ぎだした。

(今だ!)


「ズシュ!」

「キャンキャン!」

(やったか?)


目の前には俺の刀で突かれた魔狼が、ヒューヒューと鼻を啜りながら数秒してから地面に倒れた、するとあの聞きなれた音が頭の中で響く。


【ポーン、LVが上がりました戦士LV2になりました】

【経験値倍加の腕輪でATが40DFが50HPが50上がります】


基礎経験値

HP10→60

AT5→45

DF5→55

SPD1→31

AGI1→11

IT2→22

【スキル嗅覚を取得しました、鑑定に+バフがかかります】

【スキル索敵を取得しました、マップに敵の位置が表示されます】


何と1匹倒しただけでこの上昇率、だが1匹うまく行ったことで敵は全てこちらを向いており。

闘争心むき出しのその口からは怒りとよだれとそして臭い息を吐きだしている。

(やべ!)

次の瞬間、本来ならば木の扉へ体当たりなどするはずのない魔狼達が、まるで家ごと破壊するがごとくとびかかって来た。

俺はとっさに扉から離れ横に逃れる、扉どころか壁までも壊しながら10匹近くが家の中へ。


「バキン!ドン!ガガガガン!」


とっさに取った俺の行動は逃げる事、一応この家には横にも戸が有りそこから外へと逃げる事は可能だ。

だがそこにも当然、魔狼は待ち構えているだろう。

(むり~)

1匹目はうまく行ったそれは良い、だがそこから先を甘く見ていた。

本来の予定ならばさらに2匹目を刀で突いてやっつければLV3になりLV3の魔狼を相手にしてもなんとか生き残るぐらいの数値まで各種パラメーターを上げることができるはずだと。

そう、2匹までやっつけるそれがノルマだった。

だがその作戦は既に変更、次はもう一つの扉から出る、外に魔狼がいればやっつける。

うまく行けば2匹目を倒しさらにLVアップできるかもしれない。


「バタン」


外には案の定3匹の魔狼。

俺はイージスの盾をインベントリーから取り出すと前に構える、そこへまず1匹目が襲い掛かって来る。

扉の脇に立ち背後に家を背負う事で後ろからは襲われないように、目の前の魔狼を1匹ずつやっつけて行く。

1匹目の魔狼とは違い今度の奴らは周りを取り囲みながらこちらのスキを伺い攻撃を仕掛けて来るので、長引かせると表から突っ込んだ奴らもこちらに合流してきてしまう。

(やるしかない!)

意を決した俺は盾をインベントリーにしまうと先ずは、大きく目の前の魔狼に切りかかった。


「ドン!ザシュ!」

「キャウーン」

「ドサ」

「2匹目」

【戦士LVが3に上がりました…】


そこからはあまり覚えていない、確か襲ってくる魔狼めがけてこちらから突っ込んで行ったような気がする。

待っていると他の魔狼が集まってきてしまう、そいつらに取り囲まれる前にやっつけなければと言う思いだけで剣を振るっていたような気がする。

5匹目以降からはLVアップの声もほぼ聞いちゃいなかった、次々に襲い掛かる魔狼達。

最後の魔狼で何匹倒したのか?分からなくなっていた。


【サブクエスト発生・魔狼のボスLV10をやっつけろ!】

(ノー)


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