勇者候補のB班
勇者候補のB班
信之や柚子のグループから遅れて別ルートを進軍する勇者部隊のBグループ。
川村明人隊長と副隊長は鈴木宏が任命された、最初の人数からかなり減ってしまったが。
それでも先へと進まなければ現世へ帰ることもできない。
いつの間にか全員にクエストが発生しており、それをこなしながら一行はやや西寄りのコースで魔王がいる町を目指す。
「地図は?」
「多分この道だろう」
魔の森を大きく迂回するように進んでいくのだが、そこには途中に山があり、
険しい道を進まなければならなかった。
「おい、この道途中で崩れているぞ」
「でかい岩で塞いじゃってるな」山田
「どうする?」徳平
「強化魔法は使えるか?」鈴木
「皆で岩をどかして進むしかない」川村
馬車を止めて強化魔法を使って数人で押し出そうと考えた、だがその岩は押しても引いても全く動くことなど無かった。
【大岩を道から排除しよう:ATが10上がる】
【オークが現れたLV50:オーク10匹以上退治しよう、善行LV+5、各パラメーター+5】
「クエスト出た!」
「グオー」
「なんでこんな時に!」
オーク、豚のような顔に大きな体、口からはキバが2本突き出しており、吐く息は臭くそして片手にはそれぞれ武器を持っていた。
「防御戦闘!」
「プロテクション」
「リジェネレーション」
ここまでくる間どうやって身を守るのかを話し合った、すでに味方は半分がやられてしまい。
どう考えてもこのままでは全滅する可能性が高いと知った時。
ようやく全員がまとまらなければこのゲームで生き残れないと思った。
戦士を前面に魔術士や癒術士は後方に配置して背後に馬車を背負う。
男の戦士は5人魔術師は2人、女子は魔術士と癒術士が一人ずつ。
迫ってくる巨体を前に隊長が声をかける。
「いくぞ!」
「おお!」
「バシュ」
「ズシュ」
「ウィンドカッター」
「アイスバインド」
「ストーンアロー」
勇者候補達にはもう迷いも甘えも無くなっていた、女子も最初の頃とは違い怖がることも徐々に無くなって行く。
目の前で10人以上が命を落とした、そんな現場を目の当たりにして変わらざるを得なくなったのだ。
オーク13匹を殲滅するのに、そう時間はかからなかった。
「けがは!」
「大丈夫です!」
「あ AT上がった…」
「おれも」
【オーク討伐完了しました各パラメーターが上昇します、スキルを習得しました…】
全員がそれぞれの戦闘スタイルに合わせたスキルがステータス表に記されている。
もちろんLVも5以上アップし、隊長と副隊長のLVは70を超えるところまで上昇する。
「あとは岩だ」
「その前に、こいつら食えないのか?」
【魔物の解体をしてみよう:調理スキル取得、解体スキル取得、生活スキル全般ポイント加算】
「あ、またクエスト出た」
どちらにしても食料は手に入れないといけない、勇者部隊は2人ずつに分かれオークの解体をすることになった。
この部隊で解体用のナイフを持つのは3人、2人はショートソードをうまく使いオークの体を切り刻んでいく。
うまく解体できると肉の部位や骨、そして皮や内臓に分かれて売り買い可能な物資へと変化する。
辺りには解体した魔物の血の匂いが立ち込めるが、それさえ我慢すれば解体された肉は一塊になってストレージへと収納することができる。
「あとは岩だな」
「LVも上がったし、これなら動かせるんじゃ」
20トン以上はありそうな、現世なら大きなショベルカ―やクレーンを使用しても動かすのが難しそうな岩だが。
それぞれが各種パラメーターを上げることができた、今ならば巨大な岩も全員で押せば動かすことができるはず。
勇者候補が5人がかりで再チャレンジすると、先ほどとは違い道を塞いでいた岩はゆっくりと転がり出した。
「今度はいけそうだ!」
「ゴゴゴ」
「ふー」
この先勇者候補のBグループは何とか順調にう回路を進んでいく。
当然のことながら先はまだ長く険しい、いくらLVが上がろうとも簡単な道のりではないはず。
だがこのグループはもう脱落者を出すこともないだろう、LV70を超える勇者が2名。
他の勇者候補もすでにLV40を超えて、善行もいつの間にか40近くまで上がってきているのだから。




