魔王国の町(フォブス)
魔王国の町
眼下に見えた町は2つ、手前の町には魔族とみられる人影がいくつか確認できた。
それより遠い位置には小さな森が見えており、さらに向こう側には城壁を擁する大きな町が見えている。
どうやらそこが魔王の管理する居城がある町のようだが、よく見ると手前の町にはテントのような臨時宿泊施設がいくつか見える。
「あれって軍隊だよな」
「そうらしいわね」
「どうする?」
「とりあえずこのまま崖下まで降りて作戦を練ろう」
小さな町とはいえ魔王国の南に位置する最初の町であり、いくら魔の森があるとはいえ。
敵が侵入してくる可能性が無いとでも思っているのか。
信之達のような本格的な勇者候補を知っているのなら、勇者が危険な森を抜けて侵入する可能性を考えないわけがないのだが。
崖を降りる間、ハイディングの魔法を使用して全員を隠す、多少の音は出てしまうが。
魔族はこの場所に斥候を配置するなどということはしていないようだ。
多分魔族は魔の森の怖さを過信しているのか、それとも他の場所に人を取られてこの場所の守りをおざなりにしているのか。
「よし、ここでキャンプを張ろう」
日差しはまだ高いが、この先へ進めば魔族とのエンドレスな戦いが待っている。
その前に魔族の町へどうやって侵入し魔王がいる場所へとたどり着くのか、その作戦を練るのが先になってくる。
先日のようにストレージから取り出す家、よく見るとノブユキと明奈の家が少し変化していたりする。
「あれ、少し大きくなったか?」
「わたしのもです」
中に入ると若干部屋が広くなった感じがするが、部屋の数には変化が見られなかった
家を3つ設置して粉飾魔法で周りの風景と同化させる。
そして柚子の邸宅に集まり魔族討伐の作戦会議を開いた。
「私が決めるのか?」ユーリア
「一応聖教国の騎士様であり隊長でしょ」
「すでに私ではなく勇者の皆様で作戦を練った方が良いと思うのだが…」
「どうする?」
「ユーリアちゃんはノブ君の彼女になったんでしょ」
「そ そうかも」
「婚約者だって」アンナ
「この場合どっちが主導権を持つの?」明奈
「婚姻すればもちろん旦那様です」ユーリア
「じゃあノブ君が隊長でよくない?」美佳
そういわれて全員の顔を見る、どうやらここで拒否することはできなさそうだ。
「分かった、だがいうことを聞いてくれない奴が出たらすぐ降りるからな」
「じゃあその前にHしよ!」純
「却下」
「さすがに乗ってこないか…」
「真面目にやろうよ」
「はーい」
すでに善行LVは全員30を超えているから特殊クエストをクリアする必要性は無いのだが。
何人かはこの場を借りて経験してみたいと思っているのだろうか。
もちろん柚子と明奈は乗ってこないばかりではなく、恐ろしい形相で信之の方を見る。
「はー、ここからは俺の独断だ」
この状況で偵察に行こうなどという女子はいないだろう、徐々に日が暮れて夜になる。
だが明日以降、魔王国を敵の中を進むのならば、すぐそばの町を偵察しない訳にはいかない。
「ということだ、今晩 いや2・3時間で戻る」
「大丈夫なの?」
「一人の方が楽だからな、まあ付いてくるなら拒まないよ」
「分かったわ、じゃあ私たちは食料を探しに行くわ」
信之が偵察に行っている間、食料の調達をする柚子達、果たしてノブユキの部隊の行く末は…




