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二手に分かれた勇者

二手に分かれた勇者


信之たちのグループから遅れること12時間、朝7時になって残りの勇者グループが砦から出発する。

彼らは3台の馬車に乗って魔族退治へと出発する、18人の男子と2人の女子。

女子は2名共に誰かの彼女ということで、何かあった時はトラブルを避けるため規則を設けた。守れなければ懲罰にするという。

このグループは川村という勇者候補が隊長として指揮を取り、馬車は自分達で操作する形になった。

だが、このグループも半分はクズに近い、我慢ができなくなったクズ勇者が言うことを聞かなくなったらどうなるのだろうか。


「しゅっぱーつ!」


ちなみにこのグループには単独で馬に乗れる人間はいない、2頭立ての馬車3台に20人が乗り込むので馬のスピードは20kも出ないだろう。

彼らは信之たちが進んだルートとは違う別のルートを進むようだ、魔王討伐に行くのならそちらの方が遠回りになるのだが、その代わり魔の森を通らない為、安全性は高いと思われている。


「ゴロゴロ…」

「パカッパカッ」

「おい、マジで魔王討伐しに行くのか?」

「そうしないとどちらにしてもクエストこなせないだろう」

「だがどうすんだ?」

「俺に聞くなよ」


馬車を操作しているのは隊長格の川村明人(38)と鈴木宏(40)、そして山田幸人(22)

女子の一人は山田の彼女という事で最後尾の馬車に乗っている。

もう一人の女子も最後の馬車に乗っている、この女子の彼氏も同様だ。


「ねえ危ないときは助けてくれるんでしょ」

「もちろんだよ」

「ありがとう」

「初音の為なら何でもするからね」


典型的な姫と下僕のカップル、一応LVは30以上あるのだが果たして敵の魔族に通用するのかは疑問だ。


「何か見えるぞ」

「人?いや魔物だ!」

【ゴブリンの群れを殲滅せよ:LV20、剣術スキルまたは魔術スキルを取得できる】

【ゴブリンリーダーを倒せ:LV40、こいつを倒した者は善行LVが10上がる】


砦があった渓谷を魔族の国側へと40数キロ侵入したころ、目の前に魔物の集団が現れた、どうやらゴブリンの群れらしい。


「ゴブリンだ、全員でかかればなんてことはない」

「よし、経験値だ、やっつけろ」


先日の襲撃と比べれば簡単にクリアできるクエストだった、確かにこのぐらいならば問題は無い。

だが簡単なクエストばかりが出るとは限らないのと、このグループにはさらなる災いが襲い掛かる。


「このやろー」

「ザシュドシュ」

「ウィンドカッター」

「バシュン」

「アイスニードル」

「ズシュブシュ」

「ザシュ」


ゴブリンが面白いように刈られていく、そしてゴブリンリーダーを倒すところでまた別のクエストが発生する。


【アークゴーストを倒せ:LV50、呪い耐性が上がるスキルが手に入る善行LV5アップ】

【高原タイガーを倒せ:LV55、アタックが10上がる、俊足スキルが手に入る】

「まじかよ!」


よく見るとゴブリンリーダーが何かを取り出し口にする、それは笛の様なもの。


「ピュイー」


さらに胸にあった飾りを手にして呪文をつぶやきだした。


「オーーー」

「なんだこの声」


アークゴーストの発する叫び声が全員の耳に入った途端、全員が体の自由を失ってしまう。


「体が動かない」

「俺もだ」

「クリアマジック!」

「だめだ、魔法が効かない」


呪いには聖魔法が必要であり、倒すにも聖属性の武具が必要となる。

そしてエクスカリバーを持つ勇者候補はこのグループには1名しかいない。

LV50の魔物2体に他の勇者候補が手も足も出なかった、そして彼らが他の勇者候補の足を引っ張る。


「なんだこいつ」

「いたい、助けてくれー」

「バシュン!」

「ゴーストって切れないのかよ!」

「こいつ動きが早すぎる」


アークゴーストにはもちろん実体がない、ゴブリンの死骸から立ち上るように黒い影が揺れ動く。

空気のように揺れながら迫ってきては勇者候補の体に触れていく。

そのたびに触れられた場所が凍り付くように動かなくなっていく。

これではゴブリンリーダーを刈ることも難しくなっていく。


「固まれ、個別で戦うとやられてしまう」


数人がやられてようやくこれではまずいと感じたリーダーの川村明人は全員に集合するように声をかける。

すでに5人が体を食いちぎられ無残な状況になっている。


「こんなのどうすんだよ」

「とりあえず隣の奴をサポートするんだ、聖剣があるやつがゴーストを狙え、他はトラを何とかしよう」

「ああ」

「それしかない」

「怖いよー」

「回復魔法を」

「うえーん」

「はやく、俺らがやられるとお前も道づれなんだぞ」


ゴーストは物理攻撃をしないようだが、その代わりゴブリンリーダーと高原タイガーが距離を取りながら、こちらのすきを狙って攻撃を仕掛ける。

頭のいい奴らだ、決して深追いはしてこない、そしてこちらが手を出そうとすればゴーストが出てきて体にタッチする。

勇者セットを着ているのは1名だけ、その1名はゴーストの攻撃に耐性があるので何とか攻撃までできるが。

そうすると他の仲間がゴーストの餌食になり、徐々に削られていくという。


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