魔物の解剖
魔物の解剖
大きな魔猿、体長は17メートル以上あるがすでに足と腕を切り落とした状態、胴体だけならば7メートルぐらいだろうか。
「これをどうするの?」
「えーと、ケミカルセットかな」
善行LV19以上であれば、最初に選択できる各種の実験や薬の作成などができるレアプレゼント。
だが、それを選択する女子は少ない。
「ナイフか短剣を持ってないか?」
「あたし、持ってる」
「じゃあ俺と一緒に皮を剝いでみよう」
「え~」
この申し出に全員凍り付く、確かに残酷ではあるがそうしなければクエストは完了しない。
「おいおい、まじか…」
「私もやるわ」柚子
どこまで解剖するのか、肉や骨も切り分けるのか。
前回の時はNPCが勝手に捌いていたので実際に解剖するのは初めてだ。
「血が多いわね」
「ああ、魔法で水を流しながらやった方がいいかもな」
「あなた、たまに頭いいこと言うわね」
「たまに?」
「ほめてるのよ」
「そうは聞こえなかったけど…」
「良いじゃない、女子からの人気爆上がりなんだから」
本来ならば獲物は木に吊るして血抜きというものをするのだが。
5トンはありそうな巨体を持ち上げて木に吊るすとなると浮遊魔法かそれとも強化魔法を使用して持ち上げることになる。
そして巨体を吊るしても折れない木を探さないといけないということになる。
木はあっても枝はそれほど太くない、それに巨体を吊るすロープなどは所持していないということで。
このまま切り刻むしか方法が無かった。
「皆一回は手を加えたな」
「はい」
「やりました」
【クエスト、魔物解剖が完了しました】
【INT30上がりますMP30上がります、ボーナスとして調理スキルおよび自然の心スキルを入手しました】
多分ボーナスは全員ではなくそれぞれに違うものを手にしている可能性がある。
一応皆に頼んでナイフで一回は切り込みを入れてもらったのだが、中には目を背けてほんの少し切った子もいた。
まあそれをいちいち確認することはしないので、取り敢えずクエストさえクリアしておけば。
何らかのスキルを得る糧にはなるだろう。
魔物の肉体はいくつかに切り分けられ、皮と肉、そして内臓と骨という具合に。
ナイフを入れるたびに少しずつ形が変化していった。
これはゲームの中でできる表現の限界なのだろう、内臓は多くて5+6つに分類され生々しく目に焼き付いた。
「俺が一時預かっておくから、素材として売れたらみんなで分けるってことでOK?」
「それでいいわ」
「ノブ君に任せる」
「うんうん」
女子は全員こちらを見て首を首肯する、まあストレージにかなりの空きがあるのは柚子も同じなのだが。
魔物の内臓や骨などいくら仮想世界のストレージといえども、少し考えてしまうのは仕方がないことだ。




