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毎晩はあり得ない

毎晩はあり得ない


魔族の国へ入った初日、結界魔法と粉飾魔法で守られた3軒の家には何の変化も攻撃も無かった。

そして先日のような催淫魔法の夜も無く、ワンチャンスを狙っていた女子数人は行き場を失う。


「もう12時過ぎたわ」

「もしかして昨日だけだったの?」

「良かったじゃない、失わなくて」

「でもこのままだと死ねないのよ」

「何とかしないと」


ノブユキがOKしたとしてもこのままでは魔族にやられてしまう確率の方が高い。

柚子と一緒に魔族討伐に飛び出した4人はLVを10近く上げることができたが、残りの5人はそれほど活躍していない。


そして朝が訪れる。


「おはよ~」

「朝食の準備を始めるわよ」

「はーい」


朝食はストレージに保存されていた固焼きパンと言われているこの世界のパンとシチューだ。

朝にシチューは少し違うような気がするが、このシチューで固焼きパンを柔らかくすると食べやすい。

この世界のパンはかなり固くそして味もしないのでこの組み合わせが推奨されていたりする。


「すくな…」

「我慢しないと食料がすぐなくなるからね」

「まあ今日から魔族の国の探索だから食料確保も頑張ろうね」


天候はやや曇りだが雨が降る様子は無い、地図によるとこの国境から40k以上進んでも町や村は無いのだそうだ。

一面の荒野が続くが馬車には粉飾魔法をかけてあり、見つかっても魔法を使用しない限り見破ることができない。

馬車を引く音や匂い迄は隠すことが難しいので、極力それらを避けて進むことになる。

馬や動物にはそれぞれ特有のにおいがするので、安心するにはいかに早く敵を探し出し殲滅できるかに尽きる。


「カポッカポッ」


馬車や馬はそれほどスピードを出していない、それは道の状況が悪く荒れているためだ。

歩くよりは早いのだが、飼葉やNPCの荷物迄は一部しかストレージに入れることができない。

所有権とか、専用品とかいう形になっており、俺達召喚者がストレージに入れられる物とは別扱いらしい。

それさえなければ荷物はすべて俺たちが預かっておいても良いのだが、ゲーム内の決まりなのか一応馬車や馬で進むことを推奨しているらしい。

そして3時間ほど進んだところで、森のような樹木の塊が遠くの方にうっすら見えてくる。


「ねえノブ君って優しい?」

「それを聞きますか?」


昨晩の事も含めてだが夜の営みを恥ずかしげもなく勇者候補の女性がNPCのフェシルに聞いている。


「優しいですよ、私はノブユキ様に一生ついていくことにしています」

「それはお世辞でしょ」

「いいえ、すでに私はノブユキ様のお手付きです、第二夫人候補になっていますので、聖教国での地位も男爵かそれとも伯爵の妻という地位になります」

「第二夫人でも?」

「爵位持ちは家名を存続させるため子供を、特に男子を生むことが求められます」

「そうなんだ」

「もし第一夫人のユーリア様に男の子ができない場合、すぐに廃爵されてしまいます」

「へ~大変なんだね」

「普通の兵士や聖国の爵位持ちと比べたら勇者様の妻になった方が100倍いいのですよ」

「どうして?」

「勇者の子を産めば、さらに地位を上昇させることもできます、もちろん暮らしも保証されます」

「それじゃ私たちは?」

「女性の勇者様の場合、公爵位以上の身分を持つ方との婚姻が一番良いとされています」

「教皇様とか?」

「はい、ですが教皇様は現在10人の皇妃がおりますので、そこに加わるのは難しいでしょう、それより教皇様のお子様達と婚姻した方が無難だと思います、教皇様には男子のお子様が20人いると聞きます」

「20人兄弟?」

「いいえ女性のお子様も入れると40人は下らないと聞きます」


要するに一夫多妻が推奨されているという事、しかも最低3人の妻を持つことが当たり前であり。

相手は奴隷だろうが魔族だろうが、改宗さえしていれば大丈夫だという。


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