女子から驚きの提案
女子から驚きの提案
柚子の手に入れた別荘に17人が集合し夕食を摂ることとなった。
メインのリビングは20畳近くある、1階はまるでおしゃれなレストランにしか見えない。
「はーい切り分けて食べてね~」
出てきたのは豚の丸焼きのような何か、この世界だとイノシシかもしくは小型の牛のように見えるが。
丸焼きの頭はストレージへ保管する時に除去されているらしい、まあ漫画で見た骨付き肉になって保存されるよりは実物に近い。
「ところで魔族に襲われたりしないの?」
「あ~、この周辺に結界魔法を張っておいたから大丈夫だ」
「そうなんだ」
「さあ冷めないうちに食べましょう」
「いっただっきま~す」
「いただきます」
「天にまします我らが神よ、今日の糧を与えてくださりありがとうございます」
「ナームー」
この世界のNPCはアルカナ聖教という宗教を信仰している、朝晩に必ず神に感謝することで一日を過ごす。
それ以外は自由なのでH関係はさほど面倒な取り決めはないようだ。
まあ俺から見ればこの世界はゲームの中なわけだし、世界観の設定は現実に近い物で構成されていればさほど問題は無い。
「ね~今更だけどあのクエストどうする?」
「え?やらないでしょ」
「私はやってみたいかも…」
女子の数人、特に勇者候補の数人だ。
彼女らは善行LV+40をあきらめきれないようだ、但し現在処女を守っているのは5人で、彼女らもこの世界で最初のHをすれば善行LVがプレゼントされる。
「どうする」
「頼んでみる?」
「何話してるの?」
「Hなクエストの件よ」
「諦めたんじゃなかったの?」
「善行LV40よ、この先魔族と戦って死んでもLV30あれば生きて戻れるんでしょ」
そう、善行LV30を使用して現世に生き戻る、ナビゲーター(解説者)にそう言われたのだ。
それが嘘か本当かは実際の話、断言できないが。
ノブユキや柚子は一度、善行LV30前後を使用して現世へと生きて戻っている。
だが二人はクエストを100回完了して生きたまま現世へと帰還したのだ、死んで戻った場合の条件が本当かどうかは実際に死んでみなければわからない。
ならばナビゲーターが話した条件を確実にクリアするため、善行LV+40はできれば手に入れておきたい。
「それ、ノブユキ君が了承するのかな~」
「それとなく聞いてもらえない?」
「う~ん」
はっきりと言っておこう、俺にも選ぶ権利がある。
「やっぱりだめか~」
「でもさ、催淫魔法が解き放たれた時ならワンチャンあるんじゃない?」
そうアンチマジックやコンフェガードという魔法を使用しても、この世界の運営が介入した魔法は半減ぐらいにしか制御できない。
テントの中でノブユキも催淫魔法によって性欲に抗えずに、しっかりやることは済ませているのだ。
要するに意識はそのまま保てるが下半身の高まりは抑えられない。
そして男というのはそういった場合、据え膳食わぬは男の恥という勝手な倫理観で動くのが通例である。
「じゃあ夜になったら決行しましょ」
だがその試みは肩透かしを食うこととなる。
まあ毎日酒池肉林などというバカげたイベントを発生されたなら、女子は全員自殺を図ってしまうこともあり得る。
それに、いくら勇者を篩にかけるとしても、こういうイベントは男どもを減らすことが目的なようだ。
女子は全体的に善行LVが高い、これ以上の男性主導イベントは必要ないだろう。




