面倒な…
面倒な…
フォロス伯爵、彼はあまり勇者の事を快く思っていない人物、そういう脚色をなされているNPC。
俺がユーリアと一緒に仲間を連れて行くと、そこで見たものは。
「何をしているさっさと出立しろ、それからこの地区はシカが取れるはずだ、必ず5頭は捕まえて来い、いいな」
「はい」
「おーよく来てくれた」
「ただいま報告に出頭しました」
「聞いていると思うが帰還するのは難しくなったようだ、追加の指令が出ている」
彼の手にある指令書には勇者隊を率いて先陣を切るよう書かれていた。
「私に魔王国へ打って出よと?」
「勇者隊を率いていけばさほど問題はないと思うが?」
「これは卿の考えですか?」
「いいや教皇様から直々の命令だ」
そう言いながら顔は二ヤついている。
多分こいつかそれとも他の対魔族強硬派が入れ知恵をして、勇者を早く投入して魔族を退治しようと画策しているのだろう。
まだ全員の勇者が使い物になるかどうか分からないのに、この場所へ連れられてきた勇者は30人、彼らを全員投入して魔族を蹴散らす、そんな戦法でうまくいくとは思えない。
「そういえば勇者殿、夜の方はお盛んだと伺っているが?」
「何のことでしょう」
「いやいやユーリア卿がようやく女になったと聞きましてな、どうやったらものにできるのか一度伝授していただきたいなと思いましてな」
「そういうスケベな考えを持たなければ自然と寄ってきますよ」
「フォロス卿!」
「ああそれとこちらが奴隷ですな、なるほど召喚勇者の性奴隷ですか、飽きたら私に売ってくださいませんか?」
そういいながら口角を広げ舌なめずりをする。
「いいえ売りませんしあげません、私の部下です」
「もしお売りになられるならぜひ、勇者候補の性奴隷は希少ですからな」
奴隷売買、そういう設定もこの世界特有のものなのか、前回訪れたときには話には聞いていたが直接奴隷を手に入れたりしたことはなかった。
アンナの話だと弱いものは簡単に罠にはまり、いつの間にか奴隷として働かされるという話。
それは魔王国でも聖教国でも同じらしい。
それを防ごうと思うのならばひたすら強くなって早くこの世界から脱出することだろう。
指令を賜るとすぐに伯爵のテントを後にする、長居すると聞きたくない言葉を沢山浴びせかけられそうだ。
「あの男!」
「何か前にあったのか?」
「私は何度もあの男の妾にならないかと誘われていました」
「そういえばそんなこと言っていたね」
「わたくしの家はこの国に12家ある聖教公爵家の一つポラリス公爵家です、私はそこの3女ではっきり言えばお家のために政略結婚をさせるための駒でしかないのです」
「夢のない話だね」
「今は違いますよ勇者様、一度勇者様のお手付きにさえなれば最低男爵位の妻としての位を授かることができます」
「そうなの?」
「この出兵が終われば正式に勇者様の妻となることができますので」
「は?」
いつの間にか俺は結婚しなければならないことにされている。
いやいやここはゲームのような世界の中、まだ18歳で結婚はないだろう。
「じゃあ私が妾ということになりますね」フェシル
「ということは~私は3号ですね♡」アンナ
《じゃあアタイは4号にゃ》
「楽しそうな話ね、ちょっといい?」柚子
話しかけてきたのは柚子、どうやら問題ごとが発生したらしい。




