柚子の見解
柚子の見解
夜、と言ってもこの世界の夜はさほど暗くはない。
その理由は月が2つも空に浮かんでいるからだ、どこかのゲームをパクったのか。
それともわざと明るくするためかはわからない。
「ちょっと話さない」
「それは猫を触りたいからか?」
「ち 違うわよ」
そういいながらクロを抱き込み触りまくっている。
《主 ヘルプにゃ!》
《少し我慢してくれ》
《やめるのにゃ~》
「ボム!」
「キャ」
「ウー」
「変身が解けたか」
「魔獣」
「今は俺の手下だよ」
「どういうこと?」
手に入れたきっかけを柚子に話して聞かせた、そしていつの間にかテイマーの職業を手に入れたことも。
「そうなの?」
「ああ敵を弱らせて、こいつが命乞いをしたらテイマーの職業を取得してたんだ」
「へー」
召喚士という職は本来魔方陣の勉強から始めなければならない。
魔法を使用してどこからか生き物や物体を召喚する職業をさす、だが俺が手に入れたのは魔獣使役士。
召喚士という職に就きLVを挙げて転職しなければ本来はテイマーになれないと思っていたのだが。
「なにそれ?」
「要は運と経験で職も身につくってことかな」
「めちゃくちゃじゃない」
「そうでもないぞ、別に魔方陣は書いていないし、テイマーには別に勉強してなるわけじゃなさそうだから」
「なんか真面目にやっていると損をするような気がする」
「そういう事じゃないよ、まじめにやっていれば新たな技術やスキルが身につくって感じだ」
「まあ、確かにいくつかスキルは手に入れたけど、職種まで手に入る可能性があるのね」
「それよりそっちの隊長は明日からどうするって?」
「主、私も詳しく聞きたいにゃ」
「ああ、俺たちはいわゆる召喚者であり勇者ということだ」
「そうなのにゃ、道理で敵わないと思ったのにゃ」
「変身できるんだ」
「種族特性ってやつにゃ」
一応、猫系や狐系 そして蛇系の魔獣はテイマーすると従魔として変身することができる。
「変なところで期待させるのね」
「ゴロゴロゴロ」
そういいながらクロの顎をウニウニと指で撫でている柚子。
「そこ気持ちいいにゃ」
「明日から本格的に警備と近辺の捜索をするそうよ」
「そうなると砦は交代要員が来るのか」
「そうなるわね」
とりあえず今日の山は越えたが、明日以降どうなるのかはこのゲーム内の設定次第。
「それじゃまた明日」
「またね」
俺は一度砦へと戻る、すでに夜12時は回っており。
兵士たちは移動の疲れからか先ほどの騒動が収まると見張りの交代以外は深い眠りについている。




