マッケンロー中隊
マッケンロー中隊
聖王都への魔物侵攻から一日が経ち、急遽国境線へと行軍することになった聖国軍。
見習い勇者30名と聖騎士隊100人、そして聖国貴族兵300人と民兵500人強。
運動能力にアシスト魔法をかけて約500kの道程を北へと進む。
勇者候補は馬車に乗れるが民兵は殆ど走って移動する。
「ハッハッ…」
「ドドドド…」
騎馬隊が先頭を走りその後を幌馬車が続く、やや離れて貴族お抱えの私兵と各町から集まった民兵が駆け足で付いてくる。
現在の魔王国との国境線にはいくつかの関所があるが、一番奥に接しているのが信之がいるノルザン砦であり。
増員した兵士たちはいったん手前の村に分散してキャンプを張り駐留する形になる。
「パカッパカッ…」
「ドドドド…」
馬車は10台前後、半分は荷物や食料そして飼葉などが積んである、もちろん魔法による収納システムもあるのだが。
勇者候補が手に入れたような魔法の収納カバンはかなり高額なお宝である。
従って商人のような商売を生業とする者や、今回の行軍に従事する時に運搬を主に職業にする者でなければ所有していない。
「まじか、聞いていたより酷い」
「ケツが真っ赤になりそうだぜ」
「それは痔か」
「んなわけねーし」
「それよりおまえら聞いたか?」
「なんだよ」
「民兵の中には女のNPCもいるだろ」
「そうらしいな」
「やってもいいらしいぞ」
「マジ」
一応、馬車は勇者候補が女性と男性で分けて乗車している、なのでいかがわしい話はし放題だ。
「かわいいのいるぞ」
「良いのか?」
「どうせ魔獣にやられるかもしれないんだ、そのぐらいの旨味が無けりゃやってられないだろ」
「確かにそうだが、聞いたところによると成績順だと言う話だぞ」
「なんだよそれ」
「最初にいち抜けした信之ってやついただろ」
「先に偵察部隊に参加したやつな」
「あいつにはすでにNPCの癒術士が目を付けたって話だ」
「え?NPCが選ぶのか?」
「当たり前だろ、俺達は見習いだ、選択権は向こうにある」
「くそーうまくやりやがったな」
「そのうち俺達にも回ってくるはずだが、早く美味しい思いをしたければ早くLV上げて強くならないとな」
若い男が数人集まると話す内容はスケベな話ばかり、特にいかがわしいライブに参加するぐらいの男達なのだから、普通よりモラルが無くて当たり前。
それでも一応彼らは善行LVが10以上あったので現在のLVも30近い。
「明奈、大丈夫?」
「コンフェ判定なんて…ウエッ」
「エスナ、リカバリー」
「有難う」
馬車は確かに揺れるし跳ねるし、乗り心地は最悪だと言える。
普段お嬢様として高級車の後ろにしか乗った事が無い明奈、お尻には多分痣が出来てしまうだろう。
「魔族ってなんで攻めてくるのかなー」女子
「そう言う設定なんでしょ」女子2
「えー」
「何あんた、まだそんなことでごねてんの?」
「だっておかしいでしょ」
「お気楽なやつね」
「そう言うあなたはおかしいと思わない分け?」
「元の世界の方が理不尽でしょ」
「そう言えば貴女だったよね、あの時バンドに大きな声で文句言ってたの」
「あいつら私と友人を襲いやがって、ミナヨは子供を身ごもって自殺したんだよ」
どうやらこの女性の復讐に巻き込まれたと言う事なのだろう。
それにしても誰がこの女にアプリのコピーを渡したのかが気になる所。
「あなた、何処でアプリを手に入れたの?」柚子
この馬車にはユズと明奈、そしてこの女と他に2名が乗り込んでいる、全員女性だ。




