橋を下ろす
橋を下ろす
この砦の下は崖になっており、まるでクレパスのように断崖絶壁になっている。
反対側は斜度45%の急な坂になっていて、そちらも登って来るのは一苦労。
「ガラガラガラガラ」
「開いたぞ」
木製の橋を下ろすと馬車を先に砦の中へと進める。
「遺体をかたづけろ」
「むごいな」
「この数の魔物にやられたら20人程度では防げないだろう」
砦に常駐していたのは約20人、交代は一月に一度であり。
半分は地元の村から借り出される。
「ノブユキ様その猫は?」
「誰かが飼っていたらしい」
「へーかわいいですね」フェシル
「ナーオ」
とりあえずこの猫、いや魔獣の出どころは内緒にしておく。
まさかテイマーになって敵の魔獣をテイムしたとかいう話を信じてくれるだろうか。
多分危険だから殺してしまおうとか、安全な事が分かるまで檻の中に放り込むとか。
どちらにしても面倒な事は避けておくことにした。
「ひどいな…」
食い散らかされたNPCの兵士達は顔の半分がグチャグチャだったり、手足がもぎ取られていたり。
魔獣の方は俺が屠った状態のまま、魔法を使用して殲滅したので割ときれいだが、一面に広がる風景は無残としか言い表せない。
「かたづけが終わったら馬に餌を頼む」
「へい」
「それと物見櫓の上に見張りを置くように」
橋の側と崖の側にそれぞれ見張りを置く、残りは城内の清掃。
兵士の遺体と魔獣の死骸は一応分ける、魔法を使用しながらでなければ片付けも一晩中かかるだろう。
魔法を使用すればそれほど大変ではないが、それでもなれないと自分の吐いた汚物を処理する羽目になる。
この世界は埋めるかそれとも燃やすかしない限り遺体が朽ちて行く様を見なければならない。
「建物の中は割ときれいだな」
「生存者はいないか?」
「隊長、生存者は見当たりません」
「やはり全滅か…」
その晩は交代で見張りを立て、朝方になってから遺体を荼毘に伏す事となった。
血の匂いは若干薄れたが、肉の腐った臭いは3日以上漂っていた。
「交代で水を汲みに行ってくれ」
この場所は山間部であり、水は汲んでくるか魔法で出すしかない。
ほとんどの兵士は簡単な魔法しか使えないし、使えたとしても大量に水を出すことは難しい。
そのため湧水が出ているところまで山を下り、ついでに水浴びも済ませると言う形だ。




