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「え、僕の取り分は、この舌でいいですよ?」
【闇夜の悪竜】を倒したので、解体と共に取り分の話になったので、僕は自分の取り分を主張した。
「イヤイヤイヤ、1人で倒して取り分がそれだけってのは、さすがに」
ルートさんが、とても困った顔をする。
続いてマリーさんが、
「というか、なんなのその強さ?」
顔を引き攣らせて聞いてきた。
「あ、このナイフですか?
仲間にもらったんです。
なんでも、これをくれた仲間はお父さんから貰ったって言ってました」
僕は、今やBBQには欠かせない相方となったナイフを見ながら返す。
これをくれたリーゼ曰く、彼女のお父さんのお手製らしい。
リーゼのお父さんの職業は鍛冶師かなにかなのだろう。
ラネイさんがナイフを見る。
これでもか、と物凄い眼力で見てくる。
やがて、ラネイさんは顔を真っ青にし、ガタガタと震え出した。
「……――だ」
なにか言った。
しかし、僕は聞き取れなかった。
「おい、どうした?」
「そんなに珍しい素材でも使われてたか?」
ルートさんとゴードンさんがラネイさんへ訊ねる。
「そ、そそそ、その、ナナナ、ナイ、ナイフ!!」
ラネイさんは僕の持っているナイフを指さす。
かなり動揺しているようだ。
「つか、つかわれ、てるの!!
ヒヒイロカネだ!!」
ルートさん、ゴードンさん、マリーさんの表情が凍った。
「え、うそ?」
「ちょっとラネイ、それ本当?!」
「実在したのか?!」
ルートさん達の反応からして、とても珍しい素材が使われているらしい。
【ヒヒイロカネ】という素材は聞いたことすらないけど。
「ヒヒイロカネ、ってなんですか??」
僕がきょとんとしていると、ルートさん達がまるで化け物でも見たかのような顔になった。
そして、
「「「「しらないの?!」」」」
異口同音で叫んだ。
ごめんなさい。
知らないんです。
ルートさん達の会話から、珍しい素材であり、金属っぽいなぁくらいしかわからない。
そんな僕にルートさん達が説明してくれた。
とはいえ、ほぼ想像した通りのレア金属らしい。
けれど同じレア金属であるオリハルコンやアダマンタイトなどと違い、その存在は完全なる伝説上のものということだ。
そう、未だ見つかっていないはずの幻の金属なのである。
それが加工され、ナイフという形で目の前にあるわけだ。
そりゃ驚くよ。
ましてや、ラネイさんは【神眼】のギフトホルダーだ。
そのラネイさんが、これは幻の金属【ヒヒイロカネ】だと認めたわけだ。
この世で一番信頼出来る鑑定結果が出たわけだ。
「ヒヒイロカネのナイフをくれるって、お前さんの仲間っていったい……?」
ゴードンさんが僕を見ながら言ってきた。
マリーさんが、それに続く。
「そういえば、君の仲間についてまだ聞いてなかったね」
マリーさんの指摘に、僕はルートさんを見た。
ルートさん曰く、リーゼが【無能】のギフトホルダーを育てていることは一部では有名らしい。
ここで正直にリーゼの事を話したら、僕の本来のギフトが【無能】であることがバレてしまうかもしれない。
ルートさんはしばし、考えたあと口を開いた。
「それは、俺から話そう」
ナイフのこともあり、変に誤魔化すよりは本当のことを話そうと決めたらしい。
「サツキ君、構わないね」
「………」
ゴードンさんとマリーさんに総攻撃仕掛けられそうになったら、すぐ逃げよう。
僕は、そう決めてルートさんへ頷いてみせた。




