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とりあえず、スキル関連はリーゼのとこに戻ってから相談しよう。
体感としては、そんな負担がかかっているのは全く感じていない。
最上階層へは、マリーさんの転移魔法で移動する。
僕は再度、リーゼから渡された持ち帰る食材リストを確認した。
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ボーンラプトルの骨 たくさん
炎邪龍の肉 たくさん
オオアナコンダの肉(胴体) たくさん
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倒せるだけ倒して、持ち帰れるだけ持ち帰ってきてほしいらしい。
ボーンラプトルの骨は出汁に使う。
炎邪龍は、カレーうどんのルーに入れる肉として使い、オオアナコンダは丸焼き&蒲焼きにするらしい。
メモを見て、さらに事情を聞いたゴードンさんが、
「どんだけ食べるんだ、お前のパーティ仲間は」
そう言って呆れていた。
「でも、驚いたなぁ。
昨日の唐揚げが、まさかモンスターの肉だったなんて」
マリーさんもそんな事を言った。
「…………お、おおお、おいし、かった、よね」
ラネイさんもそう言ってくれた。
リップサービスかもしれないが、不味いと言われなかっただけ良しとしておこう。
「俺のお陰だな!」
ルートさんが、胸を張っていた。
「たしかにリーダーの散歩も、たまには役に立つのね」
マリーさんの言葉に、皆が笑った。
それから僕は、ルートさん達の指示に従って、まずは彼らが素材目的で討伐しているモンスターを倒す手伝いをした。
邪魔にならないよう、リーゼに教えてもらった通りに立ち回った。
そうして、彼らの今日の討伐目標数のモンスターを倒し終わる。
「いやぁ、周りをよく見てるねぇ。
私たちも動きやすいよ」
「ありがとうございます」
マリーさんにそう言われた。
良かった、とりあえず邪魔になってはいないようだ。
「ラネイ並にヒョロいのに、まさかステゴロ使いとはな」
ゴードンさんの邪魔にもなっていないようだ。
その事にホッとする。
「……【回復】」
ラネイさんが、回復魔法を掛けてくれた。
とくにダメージは負っていないんだけどな。
「あ、あああ、あんな、たたかいかた、ダメ」
「へ?」
「さ、さささ、さっきも、僕、いった。
ききき、きみは、ただでさえ、スキルで、体への負担が、ふつうの人達と、ちちち、ちがう、から」
「あ」
言われて、思い出した。
たしか、体に負担がかかり過ぎてるとかなんとか。
「すみません、ありがとうございます」
でも、リーゼの戦い方なんだよなぁ。
え、でもだとすると……。
僕はある事に気づいて、ラネイさんに聞いてみた。
「あの、このステゴロの戦い方って、体が出来上がってなかったり、筋肉が付いていなかったりすると、とても負担がかかるんですよね?」
「そ、そそそ、そうだけど……」
「もしも、男性と比べて筋肉のつきが劣る女性がこんな戦い方してたら、どうなりますか?」
「……ひ、ひひひ、ひと、によるかな……?
体質で、じ、女性も、ひとそれぞれ、筋肉が、付きやすい付きにくい、ある、から。
で、ででで、でも、身体強化とか、しないと、身体が壊れて、寝たきりになる、可能性、が、たかい、かな??」
身体が壊れて、寝たきり。
その言葉を受けて思い出したのは、やっぱりリーゼだった。
今のところ、物凄く元気に動き回っている彼女。
あの強さにもしも、代償があるのなら……。
それを考えた途端、肝が冷えた。
この事を、リーゼは知っているのだろうか?




