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どうして、こんなことに。
僕は、温泉に肩まで、どころか顎まて浸かって自問していた。
僕の両隣には、リーゼとファイゼルさんがいて同じように温泉に浸かっていた。
ダンジョンに挑戦してから入りに来ようか、という話になったのだ。
最初はリーゼもそのつもりだったのだ。
でも、ファイゼルさんがどうせなら今入ってもいいじゃんと言い出したのだ。
ダンジョンに挑戦した後で、また入ってもいいんだし、とも。
ファイゼルさん曰く、温泉は何回入っても死にはしないとのことだった。
リーゼは入る気満々ですぐに服を脱ぎ始めた。
僕は色々アレだったので、遠慮した。
そう、遠慮したというのに、リーゼが寂しそうに、
『入らないの?』
と言い。
続いてファイゼルさんも、
『えー、サツキ君も一緒に入ろうよ~。
気持ちいいよ~』
と言ってきた。
そして、断りきれなかったのが現状というわけだ。
「へぇ、食べ放題ねぇ。
リーゼも相変わらず好きだね」
「楽しいし、美味しいからねぇ」
二人は僕が逃げないようにばかりに、両隣をガッチリ固めている。
うぅ、のぼせそう。
「あ、あの、僕、もう温まったので!」
僕は意を決して、上がろうとする。
ちなみに、リーゼもファイゼルさんと同じように体へタオルを巻き付けて温泉に浸かっていた。
僕も腰から下にタオルを巻き付けていた。
ここではこうして入浴するのがマナーらしい。
温泉から出ようとする僕の腕を、リーゼが掴む。
「ダメダメ、ちゃんと百まで数えないと」
「僕、幼児じゃないのに」
リーゼへ抗議のために言い返す。
「あはは、サツキ君はちっちゃな子供じゃなくて、紳士な大人だもんねー」
ファイゼルさんが笑いながら言ってくる。
「と、とにかく、もう十分温まったから!」
僕は色々大変なことになりそうな下半身が気になってしかたなかった。
だからさっさと上がろうと、軽くリーゼの手を振り払おうとした。
その時、リーゼも何を考えたのか立ち上がっていたらしく、
「うぁっ!」
僕が手を振り払おうとした瞬間に、リーゼがバランスを崩した。
それに釣られて、僕も滑ってしまう。
リーゼが咄嗟に僕の頭を抱えるように腕で包み込んだ。
それを見ていたファイゼルさんも慌てて、そんな僕たちへ手を伸ばしてきた。
けれど、巻き込んでしまった。
バシャっという音ともに、僕たちは絡み合って温泉の中へ倒れ込んでしまった。
「ぷはっ!げほげほ」
僕は温泉から顔を出す。
そんな、僕の目の前に現れたのは四つの膨らみ。
タオルも何も無い状態の、生まれたままの姿のリーゼとファイゼルさんの肢体だった。
「おい、大丈夫かサツキ??」
「滑っちゃった~。
サツキ君、頭打ってない?大丈夫??」
「あ、あああ、うぁぁぁ」
僕は、顔がさらに熱くなった。
そして、二人の言葉に満足に返すことが出来ず、そんな声しか出なかった。
何か言おうとしたけれど、それより先に真っ赤な色が僕の視界を染めた。
途端に、意識が遠くなる。
「あや、鼻血だ」
ファイゼルさんのそんな声が聞こえた直後、僕の意識は完全に落ちたのだった。




