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13

リーゼは気にした様子もなく、ただの肉塊になったヒトクイヘビへ用意しておいた塩をふりかけた。

下味だ

それから、その辺に落ちていた棒に刺して焼き始めた。


やがて、ヒトクイヘビが焼きあがった。


「ほら」


こんがりキツネ色に焼きあがった、串刺しされているヒトクイヘビの肉を渡してくる。

僕はそれを受け取る。


「どうした?」


「いや、まさかリーゼも無能だったなんて知らなくて」


「あぁ、そのことか気にすんな。

俺だってお前のステータス見てるんだからおあいこだろ」


そうだけど、そうじゃない。

どう言ったものかと言葉を選んでいると、


「それに、俺スキル無くても強いし」


リーゼは軽くそんなことを口にした。

続けて、


「不便もしてないしなー」


そう言ってくる。

たしかにその通りだ。

神様から嫌われた存在なのに、彼女はとても強い。


「だから気にしてないぞ」


「…………リーゼは凄いなぁ」


これ以上、僕が彼女のステータスについてアレコレ気にするのは逆に失礼なのかもしれない。

だから、つぶやくだけに留めた。

リーゼはなにも言ってこなかった。

ガツガツと豪快にヒトクイヘビを頬張っていた。

そうして腹を満たした後。

ふたたびステータスを表示させる。


おお、増えてる。


■■■


○名前:サツキ・アルドール

○状態:普通

○ギフト:無能

技能(スキル):[邪炎][落雷][土穿][暴風][飛翔][毒牙][猛毒][噛みつき][丸呑み]

特殊(エクストラ・スキル):[邪眼]


■■■


[毒牙][噛みつき][丸呑み]の三つのスキルが増えていた。


「[丸呑み]があると、今後食べるのが楽になるな」


リーゼが僕のステータスを見ながら言ってきた。


「そうなの?」


「知り合いの【無能】が、[丸呑み]のスキル取得してから一々調理しなくてよくなったって言ってたぞ。

〆たり、捌いたりしなくてもスキルを得られるんだとさ」


なるほど、そうなんだ。

たしかに、調理するのは手間だ。

でもお腹壊しそうだし、僕自身は調理作業は嫌いじゃないから、このスキルはそんなに使わなさそうだ。

リーゼは続いて、掲示板を表示させた。

そして、スレ民へ報告をする。

お腹も膨れて心の余裕が出来たからか、ヒトクイヘビに噛まれたこと、怖かったことを書きこんだ。

そして、攻撃を受けることでスキルを得られるという情報は、もっとはやく教えて欲しかったことも書き込んだ。


すると、妙な流れになった。

【無能】のギフトホルダーの歴史。

その始まりから今まで。


それらを教えられたのだ。

ついでに僕の抱いていた疑問も解決した。

人を食べる云々の、アレだ。

簡単に言うと【無能】のギフトホルダーというのは、レアスキルを保存しておくための、倉庫のような存在だった。

主に勇者に関するスキルを次世代へ遺すための(はこ)らしい。

それも予備として遺し、繋いでいく存在なのだと言う。


まぁ、びっくりした。

とてもびっくりした。


「なんでそんなことまで、知ってんの??」


秘められた事実にも驚いた。

けれどそれ以上に、ほんとなんでそんなことまで知ってんの、この人たち。


「書いてあるだろ?

調べたやつがいるんだよ」


いやそうじゃなくて……。

うん、ま、いいや。

気にしたら、なんていうか負けみたいな、アレだと思う。


それから、討伐依頼数をこなして僕たちはこの日を終えた。


「明日以降はスキル取得と、練度上げしてこうな」


冒険者ギルドへ報告へ行く道すがら、リーゼが今後の予定を言ってきた。


「練度上げはいいんだけど、次はなに食べるの?」


一番気になるのは、そこだ。


「そうだなぁ。安価で決めてもいいけど、ゴブリンいっとくか?」


ここでゴブリンすすめてくるか、この人。


「…………まだ、ハードル高いかなぁ」


人型は、やっぱりハードル高い。

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― 新着の感想 ―
[一言] 次はいよいよゴブリンかぁ 猿とどっちが抵抗感あるだろうか
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