俺のステータスを見たお姫様
血しぶきをあげておっさんは俺の目の前で倒れた。
突然のグロシーンを見せられて、混乱に拍車がかかった。
「いや、え、意味がわからん……」などと独り言が漏れていると、先程の「パン!」という破裂音を聞きつけたのか、おっさんの仲間らしき連中が廊下の奥からドタドタと向かってくるのが見えた。
やばい。逃げねば。
何が起こったのか全くわからないが、このままでは間違いなく殺される。ここがどこだかわからないが、ともかく逃げよう。
すかさず俺は走り出し、がむしゃらに出口を探した。
が、全く見当たらない。
窓から逃げようにもやけに高い階層らしく、飛び降りたら死ぬ。では階段で下の階に、と思ったが、既に情報は行き渡っているのか、下の階でもドタドタと足音が響いている。
どこかに隠れようにも隠れられそうなとこはないし、部屋はどこも鍵がかかっている。
逃げ場がない。 絶望感で身体の奥がぞわぞわしてきた。
「こっちきて」
不意に腕を捕まれ、さっきまで鍵がかかっていて入れなかった部屋に連れ込まれた。
バタン、と扉が締まり、背後で扉越しにおっさんの仲間たちが走り回る音が聞こえる。
「どこいった!?」「見つけ次第殺せ!」
「よくも隊長を!」「絶対に許さん!!」
危ないところだった。
落ち着いたところで、今も腕を誰かに掴まれていることに気づいた。
そうだ、この人に助けてもらったのだ。お礼を言わねば。
「あ、ありがとう、助かったよ」
「あなた、本当に困ってらしたもの。
兵士のみなさんが騒いでいるのも何かの間違いでしょう。わたくしには、あなたが悪い人のようには見えませんわ」
薄紅色をしたドレスに身を包み、美しい金の髪を靡かせながら、俺を助けてくれた人は言った。
「わたくしはレイン。この国の王女。
そんなことは誰でも知っていそうだけど、
あなたは本当に何も知らなさそうだから」
「助かるよ。本当に。
この国って、日本じゃないのかい」
「あら、本当に知りませんのね。あなた面白いわ。
一体何者なのかしら!」
そう言って、レインはあのおっさんがしていた動きと同じ動きをした。まずい。
こめかみの近く、目のすぐ横をトントンと。まずいまずい。
叩いた。
パァン!!!
破裂音。
また、だ。
さっきのおっさんと同じことが起きた。
ついさっきまで元気に話していたレインの頭が。
金の髪が似合う、大きな青く美しい瞳を持っていた頭が、破裂音とともに吹き飛んだ。




