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銀河のかなたより  作者: 羽月蒔ノ零
銀河のかなたより
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その7

 「あとね、昨日ディズニーランドというところにも行ってきたの。私たち3人とも、どうしてもまた遊園地に行ってみたくて。同じ遊園地でも、リードセルワールドとはだいぶ雰囲気が違うのね。アトラクションはもちろんだけど、花火もパレードもとても楽しかった。けど、不思議だなと思ったこともあって、たくさんの人が手を振ったり、写真を撮ろうと行列を作ってたの。一体どんな人がいるんだろうと思って見てみたら、どう見てもただの着ぐる――自主規制――」


「それと、ヒナタの言っていた『マンガ』というものも買って読んでみたのだ。まず『ドラえもん』を読んでみたのだが、とてもおもしろかった」


「私は『ONE PIECE』というマンガを読んでみたの。地球で一番売れてるマンガらしいね。まだ途中までしか読んでないけど、何度も感動して泣いたり、気分が高揚したりしたわ。マンガって凄いね。ルフィがアーロンを建物ごと叩き潰すところは本当に胸がスカッとしちゃった」


「わたしはマンガだけじゃなくて、小説も読んでみたんです。今は『罪と罰』という小説にハマっています」


「ドラえもんとONE PIECEは、僕も大好きな漫画だよ。マーリはドストエフスキーを読んでるんだねえ。罪と罰は僕もいずれ読んでみたいと思ってたんだ」


 その後も引き続き街を歩いてみたものの、日奈太の記憶が戻ることはなかった。


「ちょっと喉が渇いてきちゃったな。あれ? そういえば、みんなって食事はするの?」


「ああ。地球の食事とは少し違うが、我々は主に恒星の光エネルギーを目から吸収することによって、生命活動に必要な栄養などを作り出しているんだ。我々の目が緑色をしているのはそのためなのだ」


「そうなんだ! それって、地球の植物の光合成と似てるのかな?」


「ああ。そのとおりだ。しかしそれだけでは少し足りないので、水を飲んだり、石を食べたり、石を水に溶かした飲み物を飲んだりもしているんだ」


「え……? 石を……食べるの?」


「石といっても、地球の石ほど硬くはないの。柔らかいわけじゃないけど、噛んで食べられるくらいの硬さ。甘い石とか、酸っぱい石とか、苦い石とか、いろいろあるんだよ」


「へえー。そうなんだあ。僕も食べてみたいなあ。それなら、地球の食べ物や飲み物を食べたり飲んだりすることもできるのかな?」


「食べることはできないが、飲み物ならば飲むことができるぞ」


「そうなんだあ。ちなみに地球で何か飲んだ?」


「いや、まだ水だけしか飲んでないなあ」


「じゃあ、喫茶店にでも行ってみる? 色々な地球の飲み物があるよ」


「ほお。ぜひ行ってみたい。ユイカリアとマーリはどうだ?」

「いいね。私も喉が渇いてきたし。地球の飲み物にも興味あるわ」

「わたしも。ぜひ行ってみましょう」


 ということで、4人は近くにあった喫茶店へと入った。


「これがメニューなんだけど、みんなに合う飲み物はどれかなあ?」


「私は甘い飲み物が好きなのだが、そんなのはあるかな?」

「甘い飲み物かあ。じゃあアップルジュースがいいかも」


「私は炭酸が好きなんだけど、地球にもあるのかな?」

「へえ、みんなの星にも炭酸があるのかあ。じゃあこの二ツ矢(ふたつや)カバダーがおすすめかも」


「わたしは、甘いけど少し酸味もある飲み物が好きなんですが、そんなのはありますか?」

「なるほど~。それなら、オレンジジュースがいいかも」


 ということで、日奈太とフィーモがアップルジュースを、ユイカリアが二ツ矢カバダーを、マーリがオレンジジュースを注文した。


「あ、運ばれてきたよ」

「ほお。これがアップルジュースというものか。おいしそうだ」

「うわあ。私たちの星の『ゾウダー』っていう飲み物に似てる!」

「わあ。すごい鮮やかな色ですね」


「あれ? それは何?」

「この機械をかざすことで、我々が飲んで大丈夫なものかどうかチェックできるのだ。お、全部大丈夫だ。よし、それでは、地球の飲み物を飲んでみよう!」


 4人は一斉に、渇いた喉を潤した。


「うまい! 地球にもこんなにおいしい飲み物があるのかあ~!」

「おいしい! 味も『ゾウダー』に似てる! やっぱり炭酸は爽快ね~!」

「おいしい! 甘味と酸味がちょうどいいバランス! 星に帰っても飲みたいなあ~!」


 地球の飲み物にとても興味を持っているようで、フィーモがメニューをじっくりと眺めている。


「このミックスジュースとはどんな飲み物なのだ?」

「ミックスジュースは、色々な果物のジュースがミックスされてるジュースだよ。フィーモが飲んだアップルも、マーリが飲んだオレンジも入ってる。その他にも色々なジュースがミックスされてるんだ。甘くておいしいよ」


「ほお! とても興味深い飲み物だ! ぜひミックスジュースも飲んでみよう!」

「あ、私も飲んでみたい!」

「わたしもお願いします!」

「じゃあ、僕も頼もうかな」


ということで、4人分のミックスジュースが運ばれてきた。


「ほう。これがミックスジュースか。アップルやオレンジに似ているが少し違うなあ。よし、飲んでみよう。……!!! う、うまい!! なんだこりゃ! めっちゃうまいぞ!!」


「うん! おいしい!」

「ちょうどいい甘味でとてもおいしいです!」



「気に入ってもらえたみたいで嬉しいよ。……あれ? マーリ、どうしたの?」

「……今、地面が沈んだような……」

「なに? 本当か?」

「嘘? なに? 地盤沈下?」


「あれ? 元に戻ってる……。おかしいな。今たしかに地面が沈んだように見えたんですけど……。あるいはこのお店が浮かんだのか……」

「なんと、このお店は実は宇宙船か何かなのか?」

「え、そうなの!?」

「いやあ~、多分、ただの喫茶店だと思うけど……」


「今のは一体なんだったんだろう。地球は不思議な星ですねえ~」


「(ゴゴサンジヨンジュウゴフン)」


「お? なんだ今の? 何か聞こえたような……」

「私も何か聞こえた! けど、何て言ったのかまではわからなかった」

「わたしも聞こえました! 地球の言葉かな?」


「僕も、午後3時45分て聞こえた! これは今の日本の時刻だ。けどなんでそれが聞こえたんだろう? 僕にもわからないや」


「なんと。やはり地球は不思議でいっぱいだ」

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