その13
「異星人って、つまり、地球外からやって来た人たちってことだよね? てことは地球外生命体だ。え? 宇宙人? どこの星からやってきたんだ? お?」
優莉がだいぶ混乱しているようだ。
「皆さんと出会ってから、たくさんの不思議な体験をしてきましたが、まさか異星人に会える日が来るとは思ってもみなかったです」
「これはとんでもない出来事になるねえ。記事にしたいけど、これはさすがにわたしたちだけの秘密かな~」
「今夜でよかった~。明日は夜まで研究室にいる予定だったから。私もみんなと一緒に宇宙へ行けるんだね!」
「異星人さんとは、どこで会うの? 病院の屋上とか?」
優莉がだいぶ落ち着きを取り戻してきたようだ。
「いや、屋上は屋上なんだけど、病院じゃない。俺のアパートの屋上だ」
「え、咲翔の家? なんでまた?」
「なんか、未来ではそうなってた。多分病院だと他の人に見られちゃう可能性があるからかな」
「ほお。なるほど」
俺たち5人は、今夜の外出に備え、病院から外出許可を貰った。
未知のウイルスに感染している俺たちだが、ヒトからヒトへの感染はしないことが判明しているため、比較的容易に外出許可を貰える。
「けどあれだね。小惑星が地球に衝突しそうなんて、完全に世界の危機なのに、みんなの能力に何らよどみが生じてない。死の薔薇のときと、何が違うんだろう?」
言われてみると確かにそうだ。死の薔薇がもたらす動物たちの大量死が俺たちの能力によどみを生じさせていたはずのに、今回はまったくそのようなことがない。
「もしかしてさ、『もう大丈夫だな!』ってところまで来たら、よどみが消えるのかな? いや、違うかな」
「いや、もしかしたらそうなのかもしれない。優莉の直観は鋭いから。現に、俺たちの能力に生じたよどみが、『これからこの世界に起ころうとしている何か』によって引き起こされてるんじゃないかと予測したのも優莉だし、俺たち5人がこうして出会えたのも、死の薔薇を事前に回収できたのも、全部優莉が原点だから。もしかしたら、本当にそうなのかもしれないね」
「ええ~!? ちょっと適当に言ってみただけなんだけど、そうかなあ!?」
にこにこルンルンの優莉であった。
「咲翔の家って、たしか江の急線沿いだったよね。リードセルワールド前だっけ?」
「うん。そうだよ」
ミューがネットの乗換案内を使って、病院の最寄り駅から俺のアパートの最寄り駅までの行き方を調べてくれた。
「えっと、まずはモノレールだね」
「わあ。モノレール! わくわくするね」
「そのあと、京王江頭線に乗り換えて……」
「江頭線……! なんか2時50分に電車が来そうな路線だねえ」
「最後に江の急線に乗り換えて、10分くらいでリードセルワールド前駅に到着だ」
「よ~し! なんか、5人で出掛けるの久しぶりだからさ、なんか楽しみになってきちゃった! 今日も世界を救うぞ~!」
優莉がとても楽しそうである。




