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貴族からの依頼 02

タシラーと一緒に飲んだ翌日、ゆっくりと昼頃に目を覚ました。

シザーは吐くまで飲むしタシラーは潰れるしで大変だった。

やはり失言とは怖いものだと改めて痛感した。


一階に降りて昼食を食べているとシザーとワドがやって来た。


「よお!昨日は頑張ったな!」


タシラーを撃沈した仲間を労うと、当の本人が頭を押さえる。


「少し静かに頼む…。昨日の酒がまだ残ってるんだ…。」


顔をしかめながらゆっくりと話す。

軽くスープを飲んだらまた横になるそうだ。


「またアンタ達は遊んでいたの?元気ねぇ。」


少し疲れた感じでワドがぼやく。

帰ったばかりですぐに動いていたのだろうか。


「今夜は宿に居て頂戴。次の依頼の事で話し合いが有るのよ。」


真剣な表情で続けてくる。

依頼と言えばタシラーが気を付けろと言ってたやつか、ワドの雰囲気からするとやはり何か有るらしい。


「分かった。それなら今日は一日寝てるとするかな。」


久しぶりの快適なベッドでゆっくり過ごす。

なんて怠惰な生活だ。だがそれがまた堪らないというものだろう。

オレの返事に呆れた感じでワドが頷いている。


「…僕も、部屋にいるよ…。」


シザーも小さく返事をする。

スープを無気力に飲んでおり、普段の様子からは程遠い。

よくある事だし夜には戻っているだろう。



昼食の後はベッドで横になっていた。

皆からは余り理解されないが、久しぶりのベッドというのは最高のモノだ。

高級宿特有の質の良いベッドに包まれた時の安心感と、何故かワクワクしてしまうような微かな高揚感。

野営の時の環境と比べると天と地ほども違い、毎回素晴らしさを実感させてくれる。



「あー、よく寝た。」


ずっと寝ていたから体が固まっている。

体をほぐしながら食堂へと移動する。


「酒場に居ないと思ったら寝ていたのか!村長が会いたがっていたぞ!」


ドーズはずっと飲んでたようで、酒の匂いが漂ってくる。

酒に酔ってる所を見た事が無いので話し合いの前だろうと問題無いだろう。

ワドが気を使って匂い消しを使っている。


「皆、集まって貰ってすまないな。」


部屋に入るとゲインが既に待っていた。

今日は依頼関係の話なので食堂の個室を利用している。

高級宿なのでセキュリティもしっかりしており、度々利用している便利な場所だ。


「貴族からの指名依頼何だが…、きな臭い所も多いし本来なら断るべき話だ。だが、私とちょっとした因縁が有る話でな…。個人的には受けたいと思っている。」


早速本題を話していく。

本来はチームとして断って個人で受けようとしたのだが、ワドから止められて一旦皆に話すことにしたらしい。

ゲインは元騎士で、仕えてきた貴族がある貴族を調べていた所、罠にハメられてお取り潰しとなったとの話だ。


「ゲインが受けるならワシも受けよう!」

「オレも同じだな。」


ドーズが一番に了解し、オレも後に続いた。

ゲインには命を救われた事がある。命の借りは命で返すべきだろう。


「ちょっと待ちなよ!受けるのは問題無いけどもう少し話を聞くべきじゃ無いか?!」


シザーが慌てたように話してくる。

問題が無いと言うのにこれ以上何を聞くんだろうか。


「そうね…。私はある程度事情を知っているから、質問はシザーに任せるわ。」


ワドはホッとした表情で頷いている。

ゲインが1人で依頼を受ける事にならなくて安心しているのだろう。


「分かった。ゲイン、答えにくいかも知れないから可能な範囲で教えてくれ。」


どう言った因縁か、昔に調べていた貴族やその内容についても聞いていた。

ゲインもたまに話し辛そうにしながらもしっかり説明してくれた。


「私兵を強化しようと非道な研究に手を染めていた、か。」


ゲインの話をまとめるとそんな所だろう。


相手の貴族とか過去の因縁については気にする事は無いだろう。

ゲインも復讐は望んで無いとの事だし、その研究自体が過去の物だ。

今回の依頼は貴族屋敷が魔物に占拠されているので解放して欲しいとの内容だ。

その屋敷で過去に非道な研究をしていたというのは伏せられている。自ら作った原因だというのに舐めた話だ。


「死霊系が多いからツェートの居る『鉄と酒』に頼んだみたいね。」


オレの光魔法は結構有名だからな。

光魔法を使えば建物も傷が少ない状態で回収出来ると考えてるのかも知れない。


「分かった。僕も問題無いよ。元々反対するつもりも無かったけど、気になる事も全部聞けた。」


「ワタシも勿論参加するわよ。」


シザーとワドがそれぞれ述べると、ゲインが頭を下げてきた。


「皆、ありがとう。」


その後はいつもより静かに食事をして休んだ。

動くのは数日後との事で、それまでは自由に過ごしてくれとの事だ。


いつものようにマリアを誘いに行くと何故かマスターと訓練する事になってしまい、結局いつもと同じ日々を過ごしてしまった。

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