ソラが生まれる日
はじめて、声をあげた日。
こかげが教えてくれた。
君は今日が生まれた日だね。
そして、大きな花を
僕にくれたんだ。
それは僕とおんなじ大きさで
ちょっと“ぶさいく”な花だった。
小さな子供の落書きでも、もっと素敵な花を描くだろう。
その花には悪いけど僕はそう思った。
「どうして僕にこの花をくれたの?」
こかげは眠たげな声で機嫌良くこう言った。
「君たち、きっと良い友達になれるよ。」
7日族に友達。。。?
こかげは一体、何を考えているのだろう。
僕に友達なんて必要ないよ。
一人で十分さ。
だって、やりたいことはたくさんあるんだ。
友達なんて邪魔なだけ。
「せっかくだけど、この花返すよ。」
「その花の名前、メウっていうんだ。仲良くしてあげてね。」
「ちょっと、僕の言葉聞こえてる?」
太陽の光を大きな葉っぱで遮って、何事もなかったように
そうしてこかげは眠りについた。
遠くから街時計の音が聞こえる。
「一体何だってんだい、もう。。。」
ソラは眉を寄せて自分とおんなじ大きさの花を、
メウをじっと眺めた。
ぷすー、ぷすー、ぷすー…
「たくさん水を吸ったスポンジみたいにぶよぶよしてる、
やっぱりちょっとぶさいくな花だな。。。」
そのまま放置するのも後味が悪いので、ソラは
仕方なく自分のこれからの7日の旅にメウを連れて行くことにした。
「ぼくには友達なんて必要ないのにー」
ぷりぷり文句を言いながら、旅に出るソラの様子に、
こかげは目を閉じたまま、静かに笑うのでした。
※※※
ねぇ、こかげちゃん。
おいらは、すぐ忘れちゃうけど、
ソラがね、生まれる日は覚えてるんだ。
だからね、
その日だけはどうしても側にいたいんだ。
おいらは眠ってるかもしれないけど、
おめでとうって言うんだ。
おはようって。言うんだ。
きっと、ソラがぷりぷり怒りながら起こしてくれるからさ。
ふふふ、だから、こかげちゃん。。。
おいらのお願い聞いてくれる?