12話. あの時、何が起きたのか
ソフィアはリリシア先生のご自宅まで俺たちを案内してくれる。そして歩くこと10分、俺たちはリリシア先生のご自宅に着いた。
「コン、コン」
「はーい」
俺は扉を2回ほどノックした。数秒後、中からリリシア先生の声が聞こえ、扉が開いた。
「あら、カズマくんにソフィア。そして、エリナちゃん。どうぞ、中に入って」
俺たちはリリシア先生に勧誘された。俺たちが家の中に入ると、リリシア先生は俺たちをソファの方へと案内した。
「カズマくん、ソフィア、エリナちゃん、そこのソファに腰を掛けて良いよ。今、紅茶を入れてくるから」
「どうぞ、お構いなく」
俺たちはリリシア先生に言われるままにソファに腰を下ろした。リリシア先生がキッチンの方へ行くと、俺は家の中を見回した。
食器が入ってる棚の近くには、本棚が一つあった。その本棚には約1000冊ほど入っていた。また本棚の上には、幾つかのトロフィーや賞状が飾られていた。そして、本棚の上にある額縁の中には笑顔で幼いソフィアと写ってるリリシア先生の姿があった。
リリシア先生は紅茶のカップ4つと紅茶が入ったポットを盆の上に乗せながらキッチンから戻ってきた。そして、ソファの前にあったテーブルの上に盆を置き、一枚の写真を見ていた俺に一言教えてくれた。
「その写真はね、ソフィアがまだ8歳の時の写真なのよ。この時は確か、ローランド村でパーティーが開催された時だったわ」
「そうですね、リリシア先生。懐かしい写真ですね。このあと私、確か、ご馳走を食べ過ぎてお腹を壊しまいました(笑)」
すると、リリシア先生の言葉にソフィアはコメントし、笑い話を一つ持ちかけた。
「そうなんですね」
俺は一言言って、テーブルの上にある紅茶が入ったポットをカップに注いだ。
「良いですよ、カズマくん。私がやりますよ」
「いえ、大丈夫です。これぐらいはやらせて下さい」
「そうですか。では、お願いします」
俺がカップに紅茶を注いでる間に、リリシア先生とソフィアは一枚の写真について熱く語ってくれた。
「...そんなことも合ったわね。少し熱く語り過ぎてしまいました。それでは、そろそろ本題に入りましょうか?」
そろそろ本題に入るところだった。しかし、側にはエリナが居たので中々本題に入れなかった。そんな時、ソフィアは今の空気を読んでくれた。
「エリナちゃん、二階で一緒に私と遊ばない??」
「うん。良いよ」
エリナはすんなりとソフィアの誘いに乗ってくれた。
「リリシア先生、二階の部屋を少し借りても宜しいでしょうか?」
「ええ、良いわよ」
エリナがソファから立ち上がった時、ソファの上の何かを置いていったような気がした。しかし、俺はそれに気付くことは無かった。
エリナとソフィアが二階に上がって行く時、ソフィアは一度俺の方を向き、軽く頷いた。
多分、任されたんだろう。
俺もソフィアの方を向きながら一度軽く頷いた。そして、ソフィアとエリナが二階へと上がって行くと、いよいよ本題に入って行った。
「それでは、本題に入るわね。何故、今カズマくんとソフィアが生きているのか。そして、エリナとは誰なのか。あとで、ソフィアにも伝えておいてあげてね」
「分かりました」
「では、始めましょうか?」
「はい。では、よろしくお願いします」
「実は...私も何が起きたかは把握し切れて無いのですが、私が現場で見ていた限りのことを話します」
「分かりました」
「では、カズマくんが最後に意識を失ったところから話しましょうか」
そしてこの時、俺はあの時何が起きたのかを全て知ることができた。