3.2人の放課後ルーティン
第3話
俺は中等部2年の時に初めて生徒会選挙に出馬した。そして見事当選することができた俺は桜蘭学院大学中等部生徒会長というエリートの称号を手に入れた。
それからしばらくして蝉の鳴き声がうるさくなってきた時だった。俺は1つ年上の幼馴染である嶋崎マリアと交際を始めた。中等部3年だったマリアだがエスカレーターでそのまま高等部に進学するつもりだったため受験勉強はしていなかった。だからこそ交際できたわけだ。
だが両家ともに名家であるため普通ならば許されないのだが親同士仲が良く幼い頃からの知り合いということでどうせ交際しているなら婚約してしまおう! という軽いノリで俺の高等部への進学と同時に同棲を始めることになった。
流石にこのことを大っぴらに口外することは憚られるということで俺の高校卒業までは公表しないという方向で話はついている。
だからこそ2人は登下校の車をずらし、学校内での会話はあくまで生徒会長と副会長としての会話に抑えている。
この学校の生徒会運営は珍しく選挙で選ばれるのは生徒会長と副会長のみ。他の役職には会長、副会長が相談して直接任命する形となっている。そして1年生の時に副会長を務めていた者が翌年の会長になるという暗黙の了解があるため例年会長戦は信任投票が行われる。今年も例に漏れず会長に立候補したのは昨年度副会長を勤めていたマリアだけだった。もちろん俺も今のところ来年は会長に立候補するつもりだ。
俺は昼休みにマリアから頼まれていた食材を購入して家に帰った。
「ただいま〜」
「お帰りなさい蒼くん。お使いありがとうね。お風呂沸かしておいたから先に入ってくれるかしら。」
「ありがとうマリア。でもこんなに至れり尽くせりしなくてもいいんだよ?」
「ううん。全部私がしたいからしているのよ。だから蒼くんは私に甘えてちょうだい? それが1番のご褒美だから……。」
「っ……! わ、わかった……。」
俺は恥ずかしいのか赤面しながら可愛いことを言う年上の彼女にドキドキしながら誤魔化すようにお風呂場に直行した。
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「おぉ〜! やっぱりマリアの肉じゃが美味しい! いつも美味しい料理をありがとう!」
お風呂から上がった俺はマリアお手製の肉じゃがに舌鼓を打っていた。
「ありがとう。蒼くんは本当に美味しそうに食べてくれるからつくりがいがあるわ。こちらこそ私のお料理を美味しそうに食べてくれてありがとう。」
2人はこの後一緒に仲良く映画鑑賞を楽しみ日が変わる前に一緒のベッドで眠りについた。