2.なんでもない日常
第2話
午前中の授業を全て終え昼休みになった。俺は元々勉強がそこまで嫌いではないため授業を受けるのは苦痛ではない。どちらかというと新たな知識を得ることができて楽しい。
昼休みといえば購買のパンのために並んだり学食へと急いだりするものなのだろうが俺はマリアとともに昼食を食べるしマリアのお弁当より美味しいものはないと思っている。
俺は約束通りマリアの所属する2年A組にやってきたにだが……
『あれって副会長よね……! 私運がいいわ……』
『声かけたら迷惑かしら……?』
『きゃー! 今こっちみてニコってしてくれたわ!』
軽くパニック状態になってしまった。
「とにかく早いとこマリア見つけて生徒会室に避難しよう……。」
そう呟いた俺は早速男子生徒に声をかけた。
「突然すみません。1年A組の住野蒼です。先輩、人を探しているのですが少しよろしいでしょうか?」
「ん? あ、副会長。誰をお探しになっているんですか?」
「ええ。生徒会長なんですが……おそらくA組だと思うんですがどうもお姿が見当たらなくて……」
「ああ。会長なら先程の移動教室で勉強を教えていましたよ。物理実験室です。」
「なるほど。そうでしたか。ありがとうございます。」
「いえいえ。」
優しい先輩で助かった。俺はマリアが戻ってくるのを待つことにした。
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5分ほどしてマリアは戻ってきた。
「あら、待っていてくれたのね。お待たせ住野くん。いきましょうか」
「ええ。お荷物お持ちします会長。」
「ありがとう。本当優しいわね。」
「ありがとうございます。」
こうして俺とマリアはなんとか生徒会室に逃げ込むことができた。
「美味そ〜!」
マリアが作るお弁当は本当に綺麗で美味しい。
「ふふふ……先程までのお上品さはどこに言ったのでしょうね蒼くん。」
「っ……いいじゃんマリアしかいないんだし……。」
「そうね。」
ふふふと上品に笑いつつ食事を進めるマリアはとても絵になっていた。
「そうそう蒼くん。今日の晩御飯の買い出し頼んでもいいかしら? 宅配が届くから今日は早く帰りたいの。」
「いいよ。メモだけちょうだい」
「ありがとう」
どうやら材料からして今夜の料理は肉じゃがのようだ。肉じゃがは俺の好物ランキングトップ5には入る大好物なため今から夕食が楽しみになってきた。
いきなりだがここらで俺とマリアの馴れ初めについて語っておこう。
俺たちは家柄のこともあり幼い頃パーティー会場で出会った。人見知りでパーティーが苦手だった俺は会場の中庭でよく1人で遊んでいた。そんな時に現れたのが嶋崎マリアだったのだ。
『君が蒼くんだよね? 私は嶋崎マリア。よろしくね!』
第一印象は怖かった。ただでさえ人見知りなのにいきなり見知らぬ美少女に声をかけられなぜか自分の名前を知っている。
『よろ……しく……』
『ふふふ。怖がらなくていいのよ? お姉さんは怖い人じゃなくて蒼くんと仲良くしたいの。』
『仲良く……?』
『そう。お友達になりたいの。』
『お友達……!』
当時5歳の俺は公立の幼稚園に通っており性格や家柄のこともあり友達と言えるような相手はいなかった。
ありきたりだがこれが俺とマリアのファーストコンタクトだっった。