一日目 前半
ジョニーは着替えの入った鞄を片手に、ベックとチャップマンと共に港へと来ていた。
「ここが集合場所か?」ジョニーがそう言った。
「そうだ」ベックが答える。
「なんだ、知らなかったのか!」チャップマンが笑いながらそう言った。
「忘れてたんだ、済まないなジョニー」ベックが謝る。
「まあ、良いけどよ」
しばらく歩くと、潜水艦の前に小柄な男性が立っていのが見えた。
三人が潜水艦に近付くと、ベックが女性に声をかけた。
「こんにちは、オルフィス製薬の調査船はこちらであってますか?」
「はい、そうです。あなた方は」
「護衛のイーサン・ベックです」ベックが割り込むようにそう言った。
「同じく護衛のニコラス・チャップマンです」次にチャップマンが。
「ジョニー・アシュフォードです」
最後にジョニーが自己紹介した。
彼は手に持っている端末に目を落として何か操作をする。
彼は顔を上げると、「はい、確認しました。ようこそアルゴ号へ」そう言って三人を艦内に連れて行く。
広いスペースに出ると、彼は三人にここで待っているように告げてまた元の場所に戻って行った。
「思ったより中は広いんだな」
「何でも最新鋭の潜水艦らしい。広くて安心かい?ジョニー」
「そうだな、ジョニーは狭い所が苦手だからな」
「そんなんじゃ無い!」
彼らが騒いでいると、奥から制服を着た女性が出てきた。
「あなた達が護衛の三人?」
「そうです、自己紹介は」
「大丈夫、後でクルー全員でやるから」
そう言うと彼女はソファーに腰をおろすように三人に促した。
三人は従い、ソファーに腰をおろす。
暫く四人が待っていると、一人、また一人と人が増えて行く。
やがて先ほど潜水艦の前にいた女性が入って来ると、制服姿の女性が、「クルーが全員揃いました、ミーティングを始めます」と言った。
「まずは自己紹介から。私はアリス・リコ、この船の船長を務めさせていただきます」
最初は制服姿の女性が。
「俺はリック・エバンス、副船長だ。リコのサポートをしている」
続いてアリスの横にいたコート姿のガタイの良い男が。
「僕はナギサ・シノミヤ、同じく副船長です」
続いて船の前にいた彼が。
「私は研究員のニア・ドレイクです。どうぞよろしくお願いいたします」
続いて整った顔立ちの背の高い男が。
「僕は研究員のウィリアム・プラット。よろしく」
続いてボサボサ髪の眼鏡の男が。
「自分は船医のアルバート・アスクレスだ。いつでも頼ってくれ」
続いて白衣を着ていて、髪を後ろに撫で付けた男が
「機関士のエライアス・フォスターだ」
続いてニットキャップを被った大柄な男が。
「コックのミカエラ・フォスターよ」
続いてモデルのような美女が。
「イーサン・ベック。護衛として来ました」
続いてベック。
「ニコラス・チャップマンだ。同じく護衛だ」
チャップマン。
「ジョニー・アシュフォード。護衛です」
最後にジョニーが自己紹介をした。
全員の自己紹介が終わると、アリスがリックとナギサを除いた全員に腕輪型の端末を配った。
「この端末は?」ベックが質問し、アリスがそれに答える。
「はい、その端末は部屋のキーと、船内マップの役割の二つの機能を備えた端末です。無くさないようにお願いします」
「なるほど」
「それでは皆さん、各自端末に表示された部屋で待機しててください、一時間後に出港します」
そうして、各自が自らの部屋に荷物を置いてから一時間後、何事も無くアルゴ号は出港した。