プロローグ
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ひたすら画面を眺めているこの俺は安田守。
ファンと空調がごうごうと鳴り響いているサーバルームで定期的に行っているシステムの保守作業を行っている。
とはいえ、慣れてしまった作業だ。緊張感なんてものなんて無い。
あるとすれば、この有り余った待ち時間を何に使うか……という贅沢な悩みだ。
そこで俺は普段、カメラ機能が搭載されていないモデルのスマートフォンで暇つぶしをしている。
メッセージ機能を使えば、離れた友達と雑談することもできるし、ゲームもそれなりに遊べる。
本来は非常事態が起こったときの連絡用に持っているものなのだが、別に私物だし怒られることはない。
つまり、インターネットの世界へと入り浸っているのだ。
「ゲームでもやるか?って、今メンテナンス中か……動画とかはギガめちゃくちゃ使うからなあ……あ、そうだ!」
最近、オンライン小説なるものにハマっている。
誰でもネット上に自作の小説を公開することができて、執筆するのも閲覧するのも利用するのは無料だ。
しかも画面の情報は動画と違って、データが少ないのが嬉しいポイントだ。
俺はすかさずマイページにログインし、お気に入りの読みかけ小説を読み進めていく。
「……あー、もうこの作品終わっちまったのか?結構面白かったのになぁ……って、もう更新が止まって3年以上経っていたのか……」
俺は大きくため息をつくと、スマートフォンをポケットにしまった。
「……っつっても、あと1時間くらいはここで暇なんだよな。ゲームもメンテ中、こんな時間だから暇つぶしに雑談する相手もいないし……」
時刻はまもなく0時を回ろうとしていた。
「メッセージを送っても誰も反応なし……あぁ暇すぎるぞ……」
こういう時はたいてい空想に浸るのが定番だ。
なにせ俺はネット小説を読み漁っているヘビーユーザーだ。妄想世界やご都合主義の展開なんて100や200は読み漁ってきているんだ。
「やっぱり異世界に行くなら強い武器とか魔法とかバンバン使ってみてえよなあ……いや、ここは逆に現実世界にダンジョンが出現する方向性も捨てがたいんだよなあ……美人の上司はいないんだけどな……」
妄想にふけっていたその矢先――――。
サーバルームの電気が一斉に消えた。
その次の瞬間、けたたましい音と同時に足元がグラグラと動き出す。
「な、なんだっこれっ!?地震なのか!?」
ポケットのスマートフォンに手をやるが、感触がない。
ふと目をやると、3メートルほど向こう側へいつのまにか転がっていた。
地震のような揺れのなか、サーバラックが軋む音が鳴り響く部屋の中で、着信音がかすかに聞こえてくる。
スマートフォンから光が上がっている。
目をやり、その画面を見る。
――――ヴィト。
誰だ?と思うまもなく、そのスマートフォンは手を触れないにもかかわらず通話状態になった。
「あーあー、聞こえるかね?って言葉が通じるとは限らないか。まあいい、とにかく今から君をこちら側に呼び込む。詳しい話は後でする。」
「おいちょっと待て!一方的に―――」
「ん?言葉が通じるのか。なら、早めに頼むぞー。」
間抜けな女の声で返事が聞こえてきたと同時に、地面にへたりこんでいた俺の足元は急にはしごを外されたかのような勢いで落下した。
深い深い、闇のそこまで飲み込まれていく感覚を最後に――――
俺の意識は途切れた。
勢いで投下することにしました!
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