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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

壊れゆく人間の様

作者: 蒼魚 圭

第2作目です。

キツめの残酷表現があるのでご注意ください。



 人は、どこまでも醜く、愚かで、そして脆い。心だってそうだし、身体もそうだ。

 人間は醜い。ソレは人類の歴史が全て証明している。ただ生きるために獣を狩っていた時代から一変。いまではほんの少しの、一部の人間の利益のためだったり、考え方の違い、肌の色、宗教、他にも多くの理由で同族同士で殺し合いをし、母なる星を穢し、自分で自分の首を絞めている事にすら気付かない、そして気付いている者の言葉に耳を傾けもしない愚かな生物。

 人間は脆い。ちょっと頭を強く打つだけ、一つの血管が詰まるだけ、そして、心に大きな傷が出来た時も、ショック死、という形で死ぬ。

 心も、同じ人間の所業によって、やりようによっては簡単に壊せてしまう。

 心の壊れた者は、心が砕けた者は、もはや人間とは言えないただの生物であり、人間は心あってのものだと断定しても、なんらおかしなことはない。

 前置きが長くなった。

 絶望と言う物をした事があるだろうか。自分の世界が、日々が壊れた事はあるだろうか。

信じていた者に裏切られた事は。今までの日々が砂の城の様に崩れ去ったことは。

 そして。

 人間の醜さを、野蛮性を、本当の残虐なる獣の姿を、直接その目で見た事はあるだろうか。


♦︎


「やっば、遅れたああぁぁぁ!」


 今、ご近所さんに迷惑そうな目で見られながら、帰り道を自転車で爆走しているのは、俺こと青葉 修司。

 俺は、近くの血縁者達全員を呼び行われる自分の誕生日パーティが有ると知っていたのだが、学校での用事、目の悪い信号機、目の前で困っているご老人の手助けという壁が立ちふさがり、盛大に遅れた結果、暗くなった道を爆走しながら急いで帰宅中だ。


「主役が大遅刻とか、洒落になんねえよォォ!」


 帰ったら即、警察官の父には『社会に出れば、遅刻なんぞ持ってのほかだぞ』とかなんとか言われながら説教され、父に習い、警察官となった兄からも同じようなことを言われ、母からは痛いのに外傷はない拳骨を落とされ、妹からはその様子をからかわれる未来がもう目に見えている。

 そうやって家族の玩具にされているところを、爺ちゃんや叔父さん達がこれ幸いと酒の肴に飲むのだろう。

けれど、そんな未来が見えてしまう程、俺はこの日常が楽しいのだろう。


「そんなこと考えてる暇はねえ!足を動かせ俺ェェ!」


 必死にペダルを漕いで荒い息を吐きながら、ようやく我が家の前に辿り着く。

 そこで俺は、違和感を覚える。

 何とも言えない不安感、この先に足を踏み入れてはいけないような恐怖感。

いつも通りの家のはずなのに、何かがおかしい。

 それ以前に……


「家の電気が、全部消えてる……」


 いくら俺が遅れたとはいえ、まだまだ寝るには早い。

 それとも俺だけ残して皆外食に行ったとかか?でも車は此処にあるしなぁ……


「ああ、もうどうでもいい、とにかく入ろう」


 そう自分に言い聞かせ、ドアノブに手をかける。

 普通に開いた。どうやら、皆何処かに行ってしまった説はないようだ。


「ただいまー」


 声にこたえる者はいない。これはもしかしたらドッキリかもしれない。

 某蛇みたいな名の潜入員の気分で暗い廊下を進んで行く。突き当り、ガラス戸で隔たれたリビングの前まで辿り着く。この雰囲気、ホラゲの世界に迷い込んだとか、そんなことないよな。

 心の中で乾いた笑いをあげる。うん、そろそろこの雰囲気に慣れて来た。

 意を決して扉を開ける。途端、本来家に有るべきではないモノが俺に襲いかかる。


「なんだ……この臭い……」


 最初に異変を感じたのは、嗅覚。濃厚な刺激臭がただよっていて、俺は顔をしかめる。

 鉄の様な強い臭いに、何かの薬品らしき、嗅ぎ慣れないツン、とした刺激臭が漂う。

 たしかこのガラス戸は完全密閉だったから、廊下に臭いが漏れなかったのも納得がいく。


 次は、聴覚。何か、この部屋に不釣り合いな音が聞こえる。不規則な、ブチブチっと言うナニカが裂ける音が聞こえるのだ。

 少なくとも、家にこんな音がする物は置いていなかったはずだ、多分。あれ?なかったよな?俺、あってるよな……少し不安になってきた。


 その次に触覚。おそらくはリビングの床中に、なにか粘性の若干高い液体が浸っている。俺の足がその液体に浸かっているのだ。おかげで、少し足を動かすだけでもチャプチャプいって正直うるさい。

思い出す限り、リビングに通じる扉等には、全て段差がある。

 床に直結する排出口がないから、何かの液体が排出されることなく、リビングの床を埋め尽くしているのだと思う。


「ああ、もう、スイッチ何処だっけ」


 何も見えない暗闇ををじれったく感じ、俺は手探りで電気のスイッチを探す。

 途中、ドン、と天井からぶら下がっている何かにぶつかる。


「なんだコレ」


 ギシギシいって揺れているので、天井からロープか何かで吊られているのだろうか?

 触ってみると、濡れているようで、ぬらぬらとしていてあまり長時間触っていたいと思う物ではない。それに所々小さな溝の様な物がある。

 上の方を触ってみると、同じく濡れた、布の感触。本当になんだか分からない。と言うか、誰がやったんだ?刺激臭も、音も、液体も、このぶら下がっている物も、俺の誕生日プレゼントだとしたら、悪趣味極まりない。いじめか嫌がらせかよ。


「お」


 ようやくスイッチを見つけた。カチリ、と軽い音と共に、部屋に明かりが灯っていく。

 暗い世界に彩りが戻り、明るくなった部屋を見渡す。


「ひっ!?」


 目の前に映ったモノに、思わず悲鳴を上げる。

 目の前にあったぶら下がっていた物の正体は、全身を血濡れにした、叔母さんの首吊り死体。にこにこと柔らかな微笑みを浮かべていた顔は、到る所に深い切り傷が目立ち、苦悶の表情で固定されている。目は極限まで見開かれ、苦しみの声をあげたであろう口は酸素を求めたのだろうか、大きく開かれていた。しかし、そこから空気は吸われることなく、動かない。

         つまり……死んでいる。

 死してなお未だ首を絞める荒縄には何度も外そうとしたのか引っ掻いたような跡が見られる。

 余程、苦しかったのだろうか。必死に縄を外そうとしたであろう爪ははがれていて、そこからも血が滲み出ている。


「うっ……おげええぇぇ……」


 俺は吐いた。夜のごちそうを楽しもうとした、空っぽの胃からは胃液しか出なかった。

 酸っぱい味が口に広がり、不快感だけが蓄積されていく。

 吐く為に下を向くと、赤い物が床を満たしており、それが液体の正体、そして、“血”である事を遅まきながら理解すると、胃液の逆流をさらに加速させた。


 ブチッ。バシャッ。


 胃液の垂れる音ではない。先程から響いていた、何かの裂ける音と、落ちた音。

 揺らめく血の波紋が、俺の足に当たって撥ね帰る。

 嫌な、予感がした。見てはいけない、第六感とでもいうべき物が、俺に囁く。

 それでも、俺の目はそのナニカに向かう。見てはいけない、でも、見なきゃいけない、そんな感じがしたからだ。そして、俺の瞳に映るのは、映ってしまったのは、首から先がない、でも身体は見慣れていた、いつも使っている、いまは腹の部分が裂け、赤黒く染まったエプロンをつけた、



         は は お や の か ら だ だ っ た。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!」


 悲鳴を上げる。俺の身体は膝から崩れ落ち、血溜まりに四つん這いに倒れる。

血がどんどん服にしみこんできて気持ち悪い。制服が母のと同じように、赤黒く染まっていく。

 母の方を見ると首の傷口からドクドクと血が流れていた。また血溜まりに継ぎ足されて……

まて、人一人じゃリビングを水浸しにする程の量の血は出せない。と、いう事は……

 ブチッ。ブチッ。   ブチッ。

 嫌な音が、再び。


 ま さ か。


 今度は、3つ同時に落ちて来た。

 ははとおなじく、そふと、そぼと、いもうとのくびなししたい。

 みんな、てがなかったり、あしがかけてたり、ごたいまんぞくなものはひとつとしてない。


「あ……ああああ、ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ!!」


  そ……んな……

 うえをみると、ぶらさがる首、みながひとしく苦もんのひょう情をうかべていた。


 ちちと、あにと、叔じいがいのぜんいんが、このへやで死んでいる。


 はは以がい、みんなちがでてなくて血をぜんぶ抜かれてから吊るされたんだときづいた。


 つまり、おれのかぞく達をころして、こんなざん虐な事をした犯にんが居るという事。


 どいつが、誰が俺の大切な家族を殺し、誰が平和な日常を壊しやがった。


 だ れ だああああああああ!!


「やあ。誕生日プレゼントは気にいって貰えたかな。君だけ居なくて探したんだよ。でもよかった。存分に(くる)しんでくれたようだね」


 寝室からの扉を開けて出てきたのは、俺が見知った人。父の同僚の、でも数年前から見かけなくなった……


「誰だって顔してるね。君も会った事あると思うけど。まあいいや、今ぐらいは覚えてくれよ。福田 隼人っていうんだ、僕。思い出した?」


 福田、そう名乗った奴が、笑顔を浮かべて俺に近付いてくる。

 だが、今はそんな事は関係ない。状況証拠から明らかなのだが、でも、一応、確認しておく。

 万が一を考える、警察官の父の癖が移ってしまったのだろうか。


「そんな事はどうでもいい。お前がやったのか。この惨状を」

「ああ、そうだよ」


 奴がそう軽々しく答えた途端に、俺の視界が怒りで真っ赤に染まる。

 目の前のコイツを、すぐさまグチャグチャにしてぶっ殺してやりたい程に怒りが荒れ狂う。


「キイィィサァァアァマァァァアアアッ!」

「まあ落ちつけよ。僕だってなんの恨みも理由もなしにこんな事する筈ないじゃないか。

話をまず聞こうか」


 そういって、福田は俺を羽交い絞めにし、手慣れた手つきで俺を荒縄で手足と胴体を椅子に縛り付けた。

 動けない。外れそうな気配も無い。かろうじて、首が少々動く程度。


「まずは、そうだな。これを見てもらおうか」


 福田がパソコンにポケットから取り出したUSBメモリを挿し、俺に見せる。

 それは、 凄惨な、拷問だった。


♦︎


『ほーらほら、早く縄を外さないと死んじゃうよ?くるしい?くるしいよね?俺がやられた苦しみはその程度じゃねえんだよ!』


 記憶の中にある温和な笑みではなく、目を爛々と輝かせ、肉食獣のような笑みを張り付けた福田が天井に吊り下げられた母さんの腰を蹴飛ばす。


『ひぐうっ』


 揺られて、より深く縄が首に食い込み、さらに母さんの顔が青くなる。


『ハハハハハハっ。もっと苦しめえっ!てめえの旦那がやったことは、罪深いんだ!一族全員、その命で償えェェッ!』


 福田は懐からナイフを取り出すと、母さんの腹に何度も何度も同じ所に付きさし、抉る。


『てめえもこいつらみたいにグッチャぐちゃにしてやんよォ、ヒャハハハハハ!!』


 狂った笑い声をあげる福田がカメラを向ける先には、乱雑に解体された、兄と叔父の遺体。唯一判別出来るのが、頭だけ。

 あとは全部、ばらばらにされて、赤く染まった骨が倒れた祖父母や妹の身体の所々に突き刺さっている。 側頭部に肋骨がねじ込まれ、掌に鋭く尖らせたのか、大腿骨と思われる太い骨が掌を床に縫いとめている。二つに割れた骨盤が鎖骨と首の骨の間の辺りに斜めに刺さり、首がおかしな方向へと曲がってしまっている。


『ア゛ァ゛っぐま゛メエェ゛……』


 母さんは苦しみながらも福田に憎しみの視線を送り、怨嗟の声を吐き出し、これが最期の抵抗、とでもいうように身体を大きく揺らし、縄がきつくなるのも構わずに福田に蹴りを入れる。


『ッ。いてえなあ。あのクソ野郎が俺になにしたか、もう一度言ってやろうか?

あいつはなあ、今までの自分がしていた犯罪を、全部俺になすりつけやがったんだよ!

強盗、殺人、強姦、暴行、窃盗、恐喝、詐欺、麻薬売買、密輸、誘拐、人身売買、産業スパイ、機密情報の横流し、他にも国にばれそうになった自分が関わっていた事全部俺に押しつけて、上は賄賂か何かされたのか俺の話を聞かずに拘束しやがって、そのまま牢で2年間!協力者のおかげで脱獄は出来た物の、二度と表社会には戻れねえ!あいつは俺の人生を壊しやがった!俺の家族も悪魔を生み出した一族だっていう世間の非難に耐えきれず自殺して......ふっざけんじゃねえ!悪魔はてめえらだ、人の人生壊しても平気な顔して今ものうのうと生きてる。それが許せねえ!だからてめえらも一緒に死ね!苦しんで苦しんで、死んであの世で俺の家族に詫びてこい!死ね、死ね、しね、シネエェェェェェッッ!』


 狂い叫び、母さんの身体を思いっきり引っ張り、縄ごとちぎってから顔面に向かって執拗にナイフをつき出す。


『はあ、はあ。ああクソ、無駄な体力使っちまった。まだ仕上げが残っているのによ』



 場面が切り替わり、カメラが写すのは父の書斎、その机の上に、多くの書類が並べられている。


『さあ、これがクソ野郎の犯罪の証だ。誰が見てるか分かんねえがな、ハハハハッ』


 一つ一つ、ゆっくりと写され、中には、俺の見たことのある、父が“警察で調べている麻薬取引の書類だ、あまり見ないでくれ、”と言い、隠した物もあった。

 

 全ての書類には、皆筆跡の違う、父の名前。だが、父がよく書いていた筆跡も多く含まれている。それに、あれは俺の癖で、あっちは母さんの、それにこっちは叔父さんの筆跡。まさか本当に、


♦︎


 パソコンが元の画面に戻る。


「これで分かったかな?僕がこんな事をした理由と僕が言ってた君の父親の罪が全部本当だってことが。それと、君もターゲットだってことが」


 何時の間にか手に握っていたまだ新しい、ぬらりとした血のこびりついたナイフが顔面向けて迫る。

 とっさに、頭をずらす。ゴキッ、と嫌な音がして、首に痛みはあるもののこちらの方がよっぽどマシだ。

無理矢理に避けたお陰で、ナイフは俺の頭を貫く代わりに、椅子に深々と突き刺さった。


「よけんなよ。せっかくお前は面倒くせえから楽に殺してやろうと思ったのに。じゃあもういいや、てめえが望んだ事だからなぁ、避けたってことはこれよりもっと苦しみたいんだろ。てめえは、もっともっと苦しんで死ねえ!」


 今度は、避けられない太腿に新しく抜かれたナイフが振り下ろされる。

 刹那、傷口が熱くなったと思ったら膨大な痛覚信号が脳内を埋め尽くす。


「アガッ!?あっぐウゥッ」


 痛い、けど、まだギリギリ耐えれる痛みだ……


「我慢しなくていいよ。確認したがここは完全防音。近所迷惑にはならないからなァ!

泣け、叫べ、喚け!俺に最っ高の悲鳴を聞かせてくれよォ!」


 つまり中の異常に気付いて、助けが来る事は無い、言外にそのような意味を込めた、焦点の安定しない福田の言葉を聞き流しながら、我慢する。


「じゃあもう一度ッ」


 今度は同じ所にまた勢いよくナイフが振り下ろされる。


「ぎゃああああああああああああっ!」


 部屋に俺の悲鳴が響く。痛みを少しでも和らげようと、逃れようと、縛られたまま暴れまわる。


「ああ、痛い、痛いよねえ、それが僕の求めていた悲鳴だよ、何度聞いても素晴らしい、

憎き者の悲鳴ってのはなんてこうも甘美なものなのだろうか。アハハハハハハハッ」

「痛い、痛い、いたいいいいいい!」


 身体全体が熱くて、痛くて、いっそのこと楽になりたい、だが、コイツはそれを許さないだろう、死なない程度に痛めつけると簡単に推測出来る。出来てしまう。短時間ながら、俺が把握した奴の性格だ。


「お前の、兄か、妹か、まあどちらでもいいか、解体した奴の骨を目の前で鋭く削って、それを各所にぶッ刺してやったらな、すげえ声出したんだよ、『ぐぎゃああ』ってな、それを見た母親が顔青ざめさせてよ、ぶるぶる震えてたんだよ、親なのに子供には目もくれず、自分の心配ばかりでな、人間やっぱ自分が可愛いんだな、って思ったよ、あ?なんでこの話したんだっけか。まあいいや、苦しめばいいんだからよお!ひゃははははははははっ!!」


 急に、頭に靄が掛かって、痛みも、何も感じなくなってきて……


「その解体した奴もよ、しっかりと止血しながらやったから、少なくとも失血死はしない様にしてたんだよ。そうだな、あれはちょうど脚から大腿骨を抜いた時だったか、隣の奴を指差してな、『もうやめて下さい、叔父ならいくらでも骨を抜いたり痛めつけたりして良いです、だからもう痛いのはやめて下さいィィィ!』ってな、必死に俺に懇願してな、そいつの要望通り、叔父の方を解体してからそいつの骨で解体してやったんだよ、その時の顔!

今でも思い出し嗤いが止まらねえよォ!!」


 ああ、何だろう。


「てめえのクソ親父を嬲ってるとよォ、こんな事を言ったんだ。

『すみませんすみません、人生壊してごめんなさい、他の人も濡れ衣を着せてごめんなさい、裁きは受けます。どんな罰でもうけます、だからころさないで下さいお願いします。』

だってよ、それも子供と同じ涙と鼻水でグチャグチャになった顔でな、笑えるだろ?ひゃはははははははは!!!。それで俺がな、『なら今、死んで罪を償え』って、言ったらな、バッカみたいな顔して必死に逃げようとし始めたんだ、もう遅いのになあ。最高に嗤えるよなァ!」


 コイツの汚い笑い声と、父のやった悪行を聞いていると、何だか、


「ああ、反応が無くなったなァ。もう痛みに慣れちまったか、壊れちまったか。つまんねえなあ」


 こんな悪魔達を生み出した、人間全部を、殺したくなる。


 信じていた父に裏切られ、家族を虐殺され、今も狂人に甚振られ、ああ、もう、


     人間は、なんて醜く、愚かで、薄汚い。


 俺の中で飛躍し過ぎた考えが生まれる。

 それは最後に僅かだけ残っていた俺の良心とでも言うべき心を侵食し、新たな"俺"となっていく。

 さながらそれは、今まで描いてきたたった一つの緻密な絵画にたった一色。真っ黒な絵の具を垂らし、作品を壊していくかのように。


♦︎


「チッ。ホンットにつまんねえ....。殺すか」


 福田は舌打ちをすると、傷口を抉っていた凶器を再び構えて俺の心臓へ狙いをつける。


「じゃあ、死ね」


 ナイフが突き出される。俺は強引に身体全体を動かし、ナイフを避け、福田の首元へ噛みつき、食いちぎる。


「あ゛あ゛あ゛ア゛ア゛ア゛ァァァ!!」


 間欠泉のように勢いよく吹き出す血液。福田はナイフを投げ捨て、必死に出血を抑えようと手で傷口を覆っているが、血は止まらず、刻一刻と死の時は近づいてくる。


「やめっ、と、止めろォ!この血を止めてくれえ!まだ俺の復讐は終わってねえ!俺はまだ死ねねえんだ!頼む、助けてくれ、いや、下さい!」

「さんざん人の家族をを痛めつけ、嬲り殺したお前に、俺の楽しかった日常をぶっ壊して、てめえの恨む俺の親父と同じ事したお前を、生かすと思うか?ソレに......」


 俺は今まで一度たりともした事がない、狂気を孕んだ笑みを浮かべる。


「お前のその醜く命乞いをする姿、非常に滑稽で笑えてくるよ」


 まぁ、椅子に縛られたまま嗤う俺が言えることでは無いが。


「じゃあ、死ね」


 つい先程の奴の言葉に声質とトーンを似せ、反動をつけて椅子ごと飛びあがる。

 回転して福田の体勢を崩し、転ばせ倒した後にもう一度ジャンプ。狙いはもちろん、頭蓋骨。

 ゴリッ。と鈍い音を響かせ、福田の頭蓋骨を破壊、脳髄をグチャグチャに潰す。


 ああ、愉快。喜悦と歓喜が脳内を埋め尽くし、その味わったこと無い麻薬のような甘美なる感覚に身を委ね、暫しの間それに浸る。このような感覚を、福田は味わっていたのか。

 あの狂いっぷりも、今なら少しは分かる気がする。

 恍惚とした表情を浮かべ、かえり血で真っ赤な笑顔を浮かべていると、ふと自分がまだ縛られたままだったことを思い出す。

 落ちていたナイフをなんとか足で跳ね上げて、上手く後ろ側の利き手に送り、掴む。

 慎重に、ゆっくり、ゆっくりと、今更ながら手を切らない様に縄を切る。


 まだ痛む太腿には、念の為薬を塗り、その上からしっかりと包帯を巻き、ついでに鎮痛剤も飲んでおく。 即効性の為、数分もすればすうっと痛みが引いていく。


 ああそうだ、良い事思いついた。これなら、人間の絶望した表情をたっぷりと真近で見れるだろう。よし、それなら明日は早い、とっとと寝るとしよう。


 血なまぐさいリビングを抜け、寝室へ向かう。ゴポッ、と部屋にたまっていた血液が、一斉に流れ出す。 部屋に向かう前に、反対側のクソ親父の寝室を見ると、クソ親父は釘で磔にされ、血文字で、“罪人”と書かれていた。こればかりは、福田の野郎を評価してもいいかもしれない。


「良い気味だ」


 吐き捨てるように言うと、自分の部屋へ向かう。



 幸か不幸か、俺の部屋は荒らされていなかったようで、今朝起きた状態のままだった。

 そしてそれは、暗に誰もリビングから一番近いこの部屋にすら逃げ込めなかった事を意味する。

 クソ、殺す前に、どうやってリビングから誰ひとり出さずにあの様な蛮行を行えたのか、聴き出しとけばよかった。もし、二度目が有るのなら、助けられたかもしれない。


 ……そんな幻想を抱いていてもしょうがないか。現実で起こった事は変えられない、昔から分かっている事なのに、何故こんな理想を思ってしまうのか。


 ああ、ああ、ああ。どうしてこうも人間はおぞましく、醜く、残酷なのか。

どうして、平然と同種を殺す事が出来るのか、平和だった日常を、壊す事が出来るのか。


 ......人間と言う種に罪を全てなすりつけている俺も俺だ。俺も同種を殺しただろうが。

 再び、リビングへ戻る。視界に映るのは......血の海に力なく倒れ、到る所が傷つけられた、四つの首なし死体。ばらばらに解体され、拷問道具の一つにされた二つの身体の散らばる死体。

 天井からぶら下がり、苦悶の表情を張り付けている、四つの首。

 皆、皆、少し前までは生きていたんだ。俺の帰りを待って、料理を作って、会場を作って、親族全員で俺の誕生日を祝ってくれようとしていたんだ。

 ポツリ、と一滴の雫が落ち、血の海に波紋を作る。やがて、ソレは何滴も落ちてきて、

 ようやく、自分が泣いている事に気付いた。


「なんで、なんでなんだよ......」


 俺の人としての最後の一晩は、涙の夜に終わった。


♦︎


「う......」


 朝日で目を覚ます。

 どうやら、昨晩は泣いて、泣き尽して過ぎた様だ。正直、覚えていない。だが、いい。俺はもう......

 そんな事を考えながらも、支度をする。昨日の血が染みた制服は、洗って干して置いて、予備の物へと袖を通す。

 台所に行き、朝食を作る。さっさと作ってさっさと食べて、時間をかけず、本命の支度をしなければ。


 玄関の鏡で、自分の恰好を確認する。

 いつもの服に、いつもとは少々違う荷物。少しばかり、学校に必要のない物が混ざっているが、学校では優等生だった俺の、些細な反抗期という事で。


「行ってきます」


 "いってらっしゃい"

 もう二度と帰って来ない送り出しの言葉を脳内で思い浮かべながら、庭の自転車に乗り、学校へ向かう。少し道を行けば、同じ制服を着たひとがちらほらと見えてくる。

 その姿に、俺は少し、黒い炎を心中で燃やし、いつも通りに、いつも俺が使っている駐輪場に自転車を止め、教室へ。


 少し早い登校だったのか、教室に居る人は少ない。

 ぼうっと教室一帯を見まわしながら、HRまで待つ。


「おう、青葉、今日も元気......じゃなさそうだな、大丈夫か?」

見慣れ、会い慣れたゆうじ......ん? が声を掛けてくる。こいつは......ダレ......だっけ......

「お、おい、ほんとにダイジョウブカ?」


声が、ひとの声が、聞き取りずらくなって、

きが、とおくなって、


「オーイ、ミンナアツマッタカ?コレカラホームルームヲハジメ......」


たんにんきょうしのこえ。ああ、今からか、やっと、いまから、みんな、みんなみんな、

 

ぎゃくさつできるのか


プツッ。何かが、きれた。


♦︎


 すっと、青葉は席を立つ。


「おい、どうした青葉?具合でも......」


 担任がその行動について、聞き終える前に、青葉は行動を開始していた。


 机にかけてあったバックから、血のべったりと付いたナイフ、しっかりとしたつくりのノコギリ、使い込まれた鉈、少し錆びた、それでも切れ味は衰えていないと一目で分かる手斧、等等等。

 人を簡単に死に至らしめる事が可能な刃物を続々と取り出し、突然の事に呆けている隣の男子に鉈を叩き込み、身体能力が高いと思われる者達、武器の扱いに心得を持つ、もしくは持っていそうな者達に、十分な重量を持つ手斧を投擲する。

 皆、等しく頭部に一つの大きな傷。一撃で死んだ。

 人間、急激な環境の変化には弱い。その事態を把握するのに、数秒の時間を要した。

 やがて、目の前で起こった事を認識し始める。


「きゃああああああああああああ!!」

「うわああああああああっ!?」

「あ、青葉!お前、何を......ぎゃッ」


 教室内に悲鳴が木霊し、担任教師は、またも言い終える前に、今度は命を失って、その口を閉じた。


「先生!」


 唯一頼れるはずだった大人の死亡に、クラス全員、いや、青葉を除く全員の顔が蒼白に染まる。


「青葉ッてめえ!!」


 クラスメイト達が青葉の方へ振り向き、睨めつけようとする。しかし、出来なかった。

 青葉は笑っていたのだ。笑い声一つなく、ただ、口角のみが攣りあがり、肩を震わせていた。しかし、その瞳には何も移さず、空虚な瞳で何処かを見つめている。


「ヒッ!?」


 その異様さと、佇まいに、男子の一人がたまらず悲鳴を上げる。

 ぐるっと、その男子には目もくれていなかった青葉が、突如顔をそちらへ向け、さらに口角を攣りあげながら、鉈を引き抜き、かつ、かつ、と一歩一歩踏みしめながら男子に近付く。


「い、嫌だ、死にたくない!くるな、来るなバケモノ!」

 

 鉈を引き抜いた瞬間に、零れ落ちた赤黒く染まった脳髄と、血に濡れた少し赤黒い鉈を目にした男子は、恐怖心がピークに達し腰が抜け、尻もちをつきながらも必死に後ずさる。


「 」


 不意に、青葉は地を蹴り、高速の踏み込みを持って、男子に襲いかかり、寸分違わずその首をいとも容易く断ち切る。

 ごろり、と鮮血と共に教室の床に転がる首。恐怖に歪んだソレは、他のクラスメイトの恐怖心を煽る十分な材料となる。


『ひいい嫌ぁあああああッ!』


 悲鳴の合唱と共に、青葉から極力遠ざかろうとするクラスメイト。中には教室から出ようとする者の姿もあったが、そのカギはいつの間にやら閉ざされていて、かつ、万が一にも脱出されない様、丁重に、外れない様正確に、破壊してあった。


「ギャアアアアアッ!」


 又一人、バールによって頭をかち割られ、死んだ。


「たっ助けt、ぐべっ」


 さらに一人、杭にて喉を貫かれ、死ぬ。

 次から次へと、様々な道具で様々な殺され方をし、やがて、教室内には青葉以外に立つ者はいなくなった。


「つ......ぎ......」


 かすれた声で、青葉が呟く。


「お、おい。声が聞こえなくなったぞ......」


扉越しに小声でつぶやかれた音も聞き逃さず、青葉はバールと杭を両手に持ち、足音を殺して扉に近付く。


「おい、どうする。扉も開かねえし、中に居る生徒たちの声も悲鳴も聞こえなくなっちまったし、一旦戻るか?」

「悲鳴が聞こえるからしっかり調べてこいって言われたんだぞ。扉が開きませんでした、で帰る訳にはいかねえだろ」

「でも案外、虫かなんかなんじゃねぇの?」

「知るか、そんなの」


 次の獲物目掛け、青葉は両手の武器を大きく振りかぶり、


 『うぎぃやっ』


 扉ごと、職員を貫く。無残に破壊された扉の隙間からは、それぞれ胸、腹を貫かれた二人の男性職員がおり、双方ともに致命傷。

 わずかに息のあった一人が最期に見たのは、嗤い、血まみれの制服を纏った青年が、杭とバールを振りかぶった姿だった。



 正午、とある学校の前は、物々しい雰囲気に包まれていた。

 校内から数多の悲鳴が響き、校内に凶悪な殺人犯が立てこもっているとの通報を聞いて、警察が、約50人の機動隊を動員したのだ。何度か、メガホンで犯人に呼びかけても反応は無く、膠着状態が続いていた。


「......おいっ。犯人から、何か反応は無いのか!」

「いえ、何も。通報者の悪戯かってくらい校内から何も反応はありません」

「だが、悪戯なら生徒、少なくとも教師がでてくるはず、何もないのはおかしい、そういうことだな?」

「ええ、そうなります」


 このようなやり取りが、あちらこちらで行われていた。

 司令部でも、このまま膠着状態を続けるか、突撃か、議論が行われている。

 どうすべきか、一人の警官が、そう考え込んだ時だった。


「おい!なんだあれ!」


 外が騒がしくなる。不審に思い、群衆が指差す先を見てみると......


 人が、吊るされていた。学校の生徒四人の身体が、窓から吊るされていた。


 群衆は悲鳴を上げ、死体を見慣れた警察でさえ、その姿に、驚愕を隠せない。

 一人は腹部をずたずたに引き裂かれ、顔にも数多の残酷な傷が有る。もはや誰であったのかは、その顔からは確認出来ない。

 一人は、両手をねじ切られ、顔がこちら側を向いているのに、身体は背を向けていた。

 その顔は、痛みと、苦しみと、そして何より、恐怖に染まっていた。

理不尽な者への、喜々として自らを傷つける者への恐怖に。

 一人は、両足が引きちぎられ、到る所に、赤い、骨の様な物が突き刺さっていた。

 手のひら、引きちぎられた脚の切断面、眼球、胸、腹。それら全てを、赤く染まった骨が壁に縫いとめていた。

 最後の一人は...首は無く、四肢に杭が穿たれ、そこから縄をかけていて、何よりも、わざわざ止血までして、無理やり着せられたと思われる白い貫頭衣には、大きく、赤く、「罪深き者達」と書かれていた。

 「罪深き者達」、周囲の人々は、吊るされた彼らがその、「罪深き者達」なのだと解釈する。そしてその解釈は、すぐに違うと証明される。


“ザザッザァッザザザザザ”


 と、荒いノイズが校内から発せられる。群衆は、警察は、犯人からのメッセージである事に、遅まきながら気付く。


「罪深き者達は、この者等だけではない、俺も含めた、人間全てだ!

そして俺は、罪深き者達、全てを断罪する!」


 ノイズ混じりの放送は、はっきりと、ただそれだけの一言を残し、また、沈黙した。

これに対しての反応は、大きく二つに分けられる。


 一つは、その言葉に、何かしらの恐怖を覚え足をもたつかせながら逃げて行く者。大多数の民衆が、これを占める。そして、


「これは犯人からの犯行予告だ! 断罪、つまり殺す事が、犯人の目的と推定。これ以上の犠牲をださない為にも、迅速な対応が求められる。犯人は、極めて危険だと思われる。最悪の手段として、射殺を許可する!」


 警察の、校舎への突入だ。


「突入!」


 ワアアアアアァァァァァ!

 指揮官の一言に、隊員一人ひとりが答え、学校は、一気に怒号の飛び交う戦場となった。



 機動隊員達は、四人一組でそれぞれの背中を守り、警戒しながら校舎内を探索する。

 皆、片手で盾を持ち、開いたもう片方の手で、いつでも銃を貫けるよう構えている。

 だが、それも、狂った青葉には無意味。


 不意に一人の隊員のすぐ隣にあった扉が勢いよく開き、盾を強打。そのはずみで、手で軽く持っていただけの盾が手からすっぽ抜ける。

 急に青葉が出て来た事に隊員達は驚き、陣形が崩れる。その隙を見逃さず、飛び出した青葉が警官の腰から拳銃を奪い、セーフティが外してあるのを即座に確認し、装弾数五発の内、四発発砲。

 全て隊員の頭に命中し、ドサリドサリと力なく倒れて行く。青葉は、他の三人からも、拳銃を抜きとり、反動により痛む腕を抑えながら、急いでその場から立ち去る。

 そして、やってきた他の隊を、同じような手段で殺害。このようなヒット&アウェイを繰り返していた。

 全て、四発で殺し切っている青葉は、一つの隊当たり、約三丁の銃と、16発の弾を手に入れていた。その所為で、万が一かわされたとしても、別の銃を取り出し、即座に追撃が可能な状態になっていた。

 しかし、そんな無理のある戦法はすぐに破綻する。

 一回失敗したら、そのままデットエンドなのだ。


 青葉は計5組の隊を相手にし、全員を殺して武器を奪っていた。

 次が6組目。同じ戦法で青葉は奇襲を仕掛けるが、3人を殺し、あと少しと言う所で、ついにその戦法が敗れた。


 パアン、と一発の銃声。それは青葉が放った物、ではなく、反撃で撃たれた物。

 見事命中し、青葉は太腿に負傷を負い、機動力が大きくそがれた。


 隊員にとっては幸運なことに、青葉にとっては不運な事に、そこは昨日福田によって刺された所だった。ぶり返す痛みに青葉は呻き、その場に倒れる。


「やっとだ、よくも仲間や、罪も無い人々を虐殺してくれたな、悪魔」

「悪魔は人間そのものさ。人間が行った残虐非道な行い、俺はそれをここで再現しただけにすぎない」

「うるさい、これで終わりだ、殺人鬼め」


 パアン、と先程と全く同じ銃声が、青葉の脳を撃ち抜いた。


「は、は、は、は。おろかな、自分がしたことにもきづいていないのか。

おまえは、これでおまえのさげすんだおれとおなじ、“殺人者”だ!」


 わずかに損傷せずにいた言語中枢、そして青葉の最期の意地から放たれた言葉。そして命を奪った銃声は、一人の機動隊員の運命を狂わせる音となった。


 とある学校の、生徒、職員含め約300人、機動隊員27名を短時間で的確に殺し尽くした

最悪の殺人鬼は、あっけなく死んだ。

 しかし、事後捜査の途中で、もうひとつの大きな一家惨殺事件が発見されたのは、また、別の話である。



青葉は本来、正真正銘サイコパス要素0の一般人です。

しかし、狂気を目の前にしたことと極限状態から、二重人格的な状態になり、そいつがサイコパスです。


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