芹沢多聞
一三年前に起きた未曾有の大災害。九州全域と中国、四国地方の左半分が汚染されたヴェノムウイルスアウトブレイク。このアウトブレイクは後に、九州アウトブレイクと呼ばれることとなる。
僕は当時十歳だった。熊本県に父と母、六つ離れた姉と四人で暮らしていた。それは深夜の二時くらいだった。何かの音で僕は目を覚めた。遠くの方で何か花火が打ち上げられたような音がしてるな、と当時の僕は思った。今考えれば、あれは爆発音だった。
僕が外の景色を見ていると、姉が僕の部屋に入り込んで、僕の手を引っ張った。
「逃げるよ」
何から逃げるのか、よく分からなかった。姉に聞くと、ゾンビからだと応えた。僕に優しく、とても頼もしかった姉の手は恐怖で震えていた。姉は寒いからだと言ってたが、その時は夏だった。
一階のリビングで、父と母は鞄に何かを詰めていた。姉は「こんな時までお金なのね」と愚痴をこぼす。姉は僕を外に連れ出し、四ドアの軽自動車の後部座席に乗せる。隣に姉も座り、僕の手を握りしめ、「大丈夫。安心して」と僕をなだめる。しかし当時の僕は、一体何が起きているのかサッパリだった。少し遅れて来た父と母がそれぞれ、運転席と助手席に座ると、車を発進させた。全員寝間着の遠出だった。そしてあの家に戻ることは二度と無かった。
「どこに行くの?」
「急に起こして悪かったな。四国のおばあちゃん家に行くことになったんだ。具合が悪くなったらしい」
姉は外の景色を見せてはくれなかった。僕が車窓から顔を覗かせようとすると、手のひらを目に被せてくる。外がどんな様子だったか、今ならある程度察しが付く。子供に見せるようなものではない。姉は怖い思いを押し止めて、僕を不安がらせないように取り繕ったのだ。
車は突然、急停止した。父達はフロントガラス越しに前方の様子を見る。僕も姉の手を押し退け、車の前に立ちふさがる男女を見る。
「お願いだ。乗せてくれ!」
と若い男は言う。隣にいた同年代の女性のお腹は膨れていた。妊婦だった。「彼女は妊娠しているんだ!」と男は声を上げる。
「詰めればあと二人ぐらい乗せられる」
姉が父に掛け合った。しかし父はアクセルを踏み、加速した。車は二人を突き飛ばした。父は、二人を跳ねた。車は更に加速する。
「どうして見捨てたのよ!」
姉は激昂した。僕はリアガラス越しに後ろを見る。轢かれて地面に倒れた二人に、数人が群がる。二人の断末魔の叫びが僕達の鼓膜に、薄く響く。
「里沙、正直俺は他人がどうなろうと知ったことじゃない。お前達が無事ならそれでいい」
父が姉の質問に答える。
「あの人のお腹には赤ちゃんがいた!」
「だからなんだ。里沙お前はいい子だ。皆を助けようとするのは素晴らしいことだ。だけどな、人一人が救える数なんて限られている。精々数人が限界だ。お前に足りないのは捨てる覚悟、選ぶ覚悟だ。そんなんじゃ誰も救えないぞ」
父は良くも悪くもリアリストだった。自分の能力を過信せず、自分の力量を理解した上で、守りたい物に優先順位を付ける。父だってあの二人を殺したかったわけではない、助けられるなら助けたい。だが父は気づいていた。妊婦というこの地獄から生き残るには、あまりにも不運で非力な存在。そんな家族を守る上では、弊害しか伴わない邪魔者を父は助けなかった。間引いたのだ。
それに比べれば、姉はまだ子供だった。皆を助けたい、聞こえはいいが、そんなの体のいい言い訳だ。姉も内心気づいてはいたのだ。あの二人を乗せたところで、こちら側にはメリットなど無い、むしろ全滅するリスクが増えるだけだということに。しかし姉はそのことから目を背けた。あの二人を見殺しにした罪悪感が逃げるために、父に掛け合ったのだ。結局は自分のためだった。
姉は何も言い返さなかった。自分の心が父に見透かされた気がしたからだ。
「里沙、少なくとも今だけは、他人を助けようだなんて思うな。今のお前に他人を気遣う余裕は無い。まず自分の身を守れ。そして弟を、春を守れ。お前は春だけ守ればいい」
「……分かった」
姉の理想は父の現実に負けた。
車は国道に出たが、国道は僕達と同じように避難している人々の車で渋滞になっていた。前の方に黒煙が上がっている。衝突事故が起きたのだろう。クラクションが鳴り響いているが、一向に進む気配が無い。幸い、後続車は無かったので、転回し、裏道に入ることにした。
裏道にも車はチラホラ見えるが、なんとか通ることが出来るから、国道よりはマシだ。そのためか車は法定速度を余裕で超える。これだといつ衝突事故が起きても不思議じゃ無い。
不運と言うべきか、必然というべきか、やはり事故は起きた。十字路で普通車と衝突した。そこは見通しが悪く、停止線が設けられていたが、停止線を無視した父の運転は、僕達に悲劇をもたらした。
衝撃が来る。車に乗った時に、姉にシートベルトを付けるように言われたから、多少の衝撃は緩和された。しかし衝撃が完全に消えたわけではなく、肩から腹部に、シートベルトが当たる部位に負荷が掛かる。脳が揺れ、意識が一瞬飛ぶ。
姉の叫び声が聞こえる。姉は僕の名前を呼んでいる。姉に肩を揺すられ、それで起きた。
「こっち!」
姉と一緒に車に降りた。父と母はフロントガラスに突っ込んでいた。思い返すと、二人はシートベルトを付けていなかった。二人は微動だにしなかった。
まるで人形のようだった。そして十歳の僕でも気づいた。二人は既に死んだのだと。姉はそれを確認し、父の最後の言葉に従ったのだろう。
車から離れると、車は既に火を噴いていた。ガソリンに引火するのは時間の問題だった。そしてガソリンに引火し、僕達を運んだ軽自動車は派手な爆発を起こした。衝突した普通車を巻き込み、車は炎上する。普通車に乗っていた老夫婦も体を前に投げ出していた。シートベルトを付けていなかったのだ。こちらのピクリと動かない。この一瞬で、四人の大人が、シートベルトの付け忘れというあっけない理由で死んだ。
姉は僕の手を引いて走る。僕もそれに付いていく。姉は聡明な人だから、国道には決して近づかなかった。人が密集している所にゾンビも集まる。それを知っていたのだ。しかし、女子高校生が小学生の弟を連れて生き延びるには、ここはあまりにも地獄だった。
姉はひとまず近くの建物に入ることにした。たまたま鍵が掛かっていないオフィスビルを見つけて、中に入る。階段を上り、入った部屋でひとまず床に腰を下ろす。姉の判断は正しかった。もし仮に感染区域から出ようとしても、車などの交通手段が無い今、それはあまりにも困難、不可能に近い。子供二人に出来るのは、近くの建物に身を潜める事ぐらいだった。しかし姉は最善の選択をしたのにも関わらず、運が悪かった。
「ごめんね。こんな頼りないお姉ちゃんで」
「全然、そんなこと無いよ」
僕は落ち込む姉を宥めようとする。姉は両親を見殺しにしたことがまだ頭に残っているようだ。
「ねえ。僕達どうなるのかな。父さんや母さんみたいに死んじゃうのかな?」
「大丈夫よ。春は私が守るから」
僕は姉に身を寄せ、手を握った。姉は仕事で忙しい父や、僕達どころでは無かった母に変わって僕の面倒を見てくれていた。僕にとって姉は、親代わりの存在だった。
「姉ちゃん。これからもずっと一緒だよ?」
「ええ、そうね」
突然、奥の方で物音が聞こえた。電気が通っていなかったため、照明が付かず、奥の様子を確認することは出来なかった。それと何か、この部屋には変なにおいが充満していた。
「誰かいるの?」
姉が呼びかけるが、返答は無い。だが足音は聞こえる。何かがいるのは確かだ。
何かが近づいてくる。僕達は立ち上がり、奥の方を見る。何かが立っているのは分かるが、それが何なのかは皆目見当が付かない。
すると突然、隣の建物が爆発を起こした。原因は分からない。おそらく充満したガスか何かが引火したのだろう。その衝撃はすさまじく、僕達のいたビルにまで被害が及んだ。爆風で窓ガラスが吹き飛ぶ。姉は咄嗟に身を伏せ、奥にいる何かから目を逸らす。しかし僕はそのまま棒立ちで見ていた、隣で炎上するビルの炎に照らされたその姿を。
体中から異臭を放っていたその顔は、腐敗し、血の気が通っていないのか、死者のように青ざめていた。口からは血が混じった涎を垂らし、目は焦点が合っていない。その形相は正に、ゾンビそのものだった。
「姉ちゃん!」
今度は僕が姉の手を取り、ゾンビから距離を取る。姉もゾンビに気づいたらしい。僕の前に出て、様子を伺う。ゾンビは口をあんぐりと開け、唸り声を上げながら、こちらに走り寄ってきた。
襲いかかるゾンビ、映画でしか見たことの無い架空のモンスターと僕は目が合う。僕達を狙っているのだ。
体が動かなかった。怖かったからじゃない。僕は今、夢の世界にいるのではないかと思ったからだ。たった数十分で色々なことがあった。父が二人を跳ね、父と母が死に、逃げ込んだ建物にはゾンビがいた。まるで悪夢だ。
僕は目を閉じる。もうどうでもよくなった。夢ならさっさと覚めてほしい。こんな悪夢はたくさんだ。早く僕を殺してくれ。
僕の顔に液体がかかる。生暖かい。目を開け、手で顔を拭う。手に付いた液体は赤い、血だ。僕のものかと思ったが、どこからも痛みは感じない、どうやら僕の血ではないらしい。この血の主は、姉だった。
姉は咄嗟に僕の前に出て、襲われた僕の身代わりになったのだ。ゾンビは姉の首元に食いついている。大抵の生物が持っている、歯という鈍い刃が何本も、姉の頸動脈を切り裂き、姉の首からは夥しい量の血が噴き出していた。
僕は姉が死ぬという恐ろしさで、思わず腰を抜かしてしまった。足が震えている。認めたくなかった、姉が死ぬことを。
姉は致命傷を負っているにも関わらず、まず見たのは、自分の傷口でも、自分を食っているゾンビでもなかった。姉は僕の方を凝視し、声を上げる。
「春……、にげ…………」
ゾンビの刃は姉の喉に突き刺さっていた。そのため姉の声は掠れてもう喋れる状態なんかじゃない。吐血も酷い。
そしてゾンビは姉の首元を食い千切る。首元を抉られた姉は力無く倒れる。僕は姉に寄り添う。
「姉ちゃん!」
姉の傷は酷いなんてものじゃなかった。首元の肉は頸動脈ごと食い千切られていた。頸動脈が切れたことで、脳に酸素が供給されず、姉の意識は朦朧とし、顔色はひどく青ざめていた。
姉は僕の声に応えない。こんなにも弱々しい姉を見たことがあっただろうか。
ゾンビは瀕死の姉には目もくれず、再度僕を攻撃の目標とした。ゾンビはゆっくりと、近づいてくる。僕は逃げ出すこともできず、そのまま腰を下ろし、迫り来る脅威から目を逸らし、夢から覚めることを祈る。しかし薄々気づいていた。これは夢ではなく、現実なのだと。
姉も死んで僕も死ぬ。文字通りの最悪。姉は僕のせいで死んだ。僕が現実から目を逸らさなければ、姉が死ぬことはなかったのかもしれない。姉を殺したのはゾンビなんかじゃない、現実から逃げた僕の心だ。
僕の手元に何かが落ちているのが分かる。それを触り、何なのか確かめる。ハサミだ。僕はハサミを掴み、ゾンビに目を向ける。もう逃げない。そう決めたのだ。
僕は立ち上がり、迫り来るゾンビに刃物を向ける。こんなカミを切るぐらいしか用途の無い刃物なんかで、化物なんか倒せるわけが無い。しかし重要なのは倒すことじゃない、倒す勇気を持つことだ。
僕は迫り来るゾンビの頭部にハサミを突き刺す。しかし頭蓋骨というのは決して脆い物なんかじゃない。人間の動作の司令塔である脳を守る頭蓋骨は、十歳の子供の軟弱な腕力で突き刺すには、あまりにも堅すぎた。
ハサミはゾンビの頭に少し突き刺さるが、ゾンビの活動停止には到底なり得ない。ゾンビは頭部から出血する。常人なら泣き叫ぶほどの激痛に違いないが、痛覚が存在しないゾンビは出血を気にすることなく、僕の肩を掴み、噛み付いてくる。
「姉ちゃん、ごめん」
これが僕の最後の言葉になるはずだった。
突然扉が開く。そして目が眩むほどのフラッシュライトが僕達を包み込む。僕はあまりの眩しさに目を瞑る。すると何かの破裂音が部屋中に響き渡る。ゾンビは叫び声を上げながら力無く倒れていった。
僕は生ける屍の亡骸を見る。それはあまりにも酷いものだった。体中が腐敗した体、そして頭部には新しい穴が出来ており、そこからは血が湯水のように溢れていた。なぜこのような、体中が欠損した肉体が勝手に動くことが出来るのか、それが不思議だった。
「誰かいるのか?」
僕の命を救った何者かが、僕に歩み寄ってきた。手元には小銃、おそらくこれでゾンビの頭を撃ち抜いたのだろう。
「助けてください、姉ちゃんが!」
覆面を被った二人組は僕と、正に虫の息の姉を一瞥する。そしてその内の一人が僕に銃口を向ける。
「悪いな坊主」
僕は何が何だが分からなかった。僕を助けてくれたのは、どうやらいい人では無かったらしい。たまたまの偶然。そして僕は殺される理由も分からずに、殺されようとしている。
男が引き金を引こうとした瞬間、もう一人の男が仲間であるはずの男のこめかみを撃ち抜いた。仲間割れなのだろうか。そして仲間を撃ち殺した男が姉に近寄り、今度は姉の眉間に銃口を向ける。そのまま流れるように引き金を引いた。ほんの十秒も満たない出来事である。
「姉ちゃん!」
僕は姉に近寄る。姉は眉間を撃ち抜かれており、既に死んでいた。
「なんで、なんで姉ちゃんを!」
姉を撃った男に殴りかかった。しかし男は僕の拳を掴むと、そのまま突き飛ばした。僕は床に叩きつけられる。痛む背中をさすりながら、何とか体を起こす。
「お前の姉は瀕死の重傷。はっきり言って助かる状態じゃなかった。それにもう感染していた。たとえ助かったとしても、ゾンビになって人を食って、撃ち殺されるのがオチだ」
「で……でも」
「見てみろ。姉の顔を」
僕は姉の方を見た瞬間、思わず目を逸らしてしまった。姉は眼球を剥き出しながら、大きく口を開け、青ざめた肌の腐敗が進行していた。その形相は正に先程のゾンビそのものだった。
僕は返す言葉が無かった。ヴェノムウイルス感染者に噛まれたらもう助からない。それは学校でも、家でも、テレビ番組でも口を酸っぱく言っていたことだ。僕を庇った時点で、姉はもう助からない運命だったのだ。
この男はそれにいち早く気づき、姉が醜いモンスターに変貌を遂げる前に止めを刺してあげたのだ。
男は膝を付き、姉の額に手を被せる。男は姉の瞼を閉じ、顎が外れんばかりに空いた口を閉める。これでいくらか見栄えはマシになった。
「お前が弱いから、姉は死んだんだ」
それは十歳の少年には、あまりにも重すぎる言葉だった。確かに僕は力も無いし、勇気も無かった。だから姉は死んだんだ。
僕はいつの間にか涙を零していた。姉が死んだのが悲しかったのもあるが、僕があまりにも無力だったから、僕に誰かを守る力が無かったのが悔しかったから出た涙でもあった。
男は肩に提げていた鞄から何かを取り出し、設置する。それが何であるのかは、数分後に分かった。作業を終えた男は、
「付いてこい。一応安全な所までは連れてってやる」
と男は僕の手を取り、外に出た。そして外に駐車してあった軍用車に僕を乗せ、何かのボタンを押す。するとビル全体が爆発し、跡形も無く崩れた。姉の死体は瓦礫に中に埋まってしまった。そして男はそれを見届けると、車を発進させた。
「何で撃ったの?」
助手席に座っていた僕は、車内の沈黙に耐えられなくて、変に深追いするべきではない質問をしてしまった。あれは失態だったと今でも思う。
「お前の姉はウイルスに感染していたんだ。だから……」
「そっちじゃなくてさ、もう一人のほうだよ」
「ああ、あいつのことか」
「仲間なんじゃなかったの?」
「一応はな。だけど個人的にはあいつのことは嫌いだったし、向こうもそうだった。立場上対立関係だったしな」
「だからって人を殺していい理由にはならない」
「そうかもな。だけど、人を殺しちゃ駄目っていう明確なルールなんてものもない。ただ法律という決まり事がそう言っているだけに過ぎない。結局はやる気の問題だ」
「そんなこと……」
「なんでお前の姉はゾンビを倒さなかったと思う。身近な物を使えば、ゾンビの一体ぐらいなら女の子の腕力でも意外と闘えるものだ。だけどあの子はそれをしなかった。臆したんだ。弟が死ぬ寸前だったにも関わらず、ギリギリまで体は動かなかった。動いたところであの様さ。あの子は所詮その程度の人間だったのさ。お前はどっちだ?」
僕はこの恩人を殴り付けたいところだったが、理性がそれを止めた。僕はこの男には敵わない。それは体格差や彼が銃を持っていたからとかではない。僕自身も分からない、全く別の何かだった。
途中、道が瓦礫や横転した車で通れなくなり、何度も遠回りをしたが、僕達は無事に避難所に指定されている警察署に辿り着くことが出来た。避難所に警察署が指定されている主な理由は、所内にはヴェノムウイルス感染者との戦闘に適した武器と、それの扱いに長けた警察官がいるからだ。そのため彼らが死守している砦に逃げ込めば、とりあえずは安全が保障される。
「着いたぞ。ここからは中の人に何とかしてもらえ」
「名前、聞いていいですか?」
「なんだ、姉ちゃんを馬鹿にされたのがそんなに気にくわなかったか」
男は覆面を脱ぎ、「芹沢多聞だ」
「忘れません」
僕はそう言うと、車から出ようとした瞬間、
「待て」
と芹沢多聞が僕を呼び止めた。
「これを」
そうして僕に渡したのは、白い手作りのお守り袋だった。中にはBB弾程の小さな球が一つ入っているが、これが何なのか皆目見当も付かない。
「これを持っていれば、いつか、必ず俺と会うことが出来る。それまで持っててくれ。そしてもしそれを俺に返すことがあったなら、その時はお前の姉の非礼を詫びよう」
芹沢の言葉は、本当だった。




