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コーラ厨独り

作者: 葉内朗夜

仕事から帰りダウナーな心理に押しつぶされそうなとき、食後一服してすこし経ったころに

口元から脳へと走る苛立ちの信号

かき消したくて、スマホを引っつかんでマイフェイバリットな曲をひたすら当たる。指を滑らせ気に入ってるフレーズのところを繰り返し流して、

赤信号が青へと変わるまでじっとじっと待つ。


でも耳元がうるさくなるのも嫌になるとき、

酔っ払ってしまいたくも無いとき、

久々に会ったとき俯きぎみのまま、食いも話もなくひたすら飲み物を注文していた友人、思って声をかけたときの、

邪魔するなとの一瞬の無表情。

部屋へと篭もりPCを起動して音を消す。ブラウザを開きキーボードを叩く


もうマウスなんて使ってられない年頃になってしまった。HomeCtrl++TabPageDown..

RSSからショートカット、周回するウェブページをリストアップ

机の端っこに昔買った薄手軽めで容量200mlの磁器カップと氷

1.5lペットボトルのコーラを飲む。最初は常温だ。


子供のころに愛してた冷え切った炭酸の強い刺激

もう500mlを含めれば百何十本飲んだろう深い琥珀色の粘液に求めるのは

刺激ではなく逃避だ。


甘い液と香る泡と炭酸の喉ごしがチクチク痛んで炎症している心に肉体を同調させていく。

胃液と攪拌し血糖値を上げて、香料の薦めるがまま、一杯を一口二口で飲んでしまう。


またパソコンに向かう。ネットの深い沼を掘って地面(画面)に湧き上がる感動・情熱・欠如、

もはや検索上位も当てにならない。もはや些細な情報を金にしようと伸びる魔の手。

下位の結果はキーワードとは少しズレていて。結局真ん中らへんをキャッシュの仮面で牽制することになる。

フェイクニュースとはよく言ったもの。金のために嘘を平気で書き残す、


後のことなど知らんとばかりに。電脳の空間では善意も悪意も皆仮面を被ってしまっている。


アルコールの酔いとは違う陶酔に、背もたれに体を沈めて乾いた目を瞬かせる。血中に広がったカフェインとカラメルが体を周り

顎から食道を通って胸元、そしてキーボードを操作する両手、指先をピクピク震えさせる


ペットボトルを見るとラベルの上どころか下まで透けていた。飲んだ量はカップで5杯ぶんか

打ち込みを止めて、左手を右手の上にすり合わせ、冷えた手の甲を温める。


温もりはネット上にはない。

人と人との交わりの間から苦労してひねくり出さなければ、

失われたままなこと、そんなことを思う。

未だに逃れられないのは、自分の性根が交わりに耐えられるほど澄んでいないからだろう。


コーラ。

カクテルにもしにくく、水で薄めることも、ミルクやソーダとの相性も悪く

氷も封を開けて抜けた炭酸の刺激を温度でごまかすため

やがて本質が抜けてただの甘いカラメルシロップになる

震えは残るが耳元まで昇っていた苛立ちはもういない

ありがとうコーラ

私は体を起こし壁にかけたヘッドホンを手に取った

コーラは本当に良くできた飲み物だと思います。

飲みすぎには注意してください。糖尿病になりますよ。

1.5lペットボトルはみんなで飲むものであって、

一人でがぶ飲みするもんじゃあ ありません。

甘い香りがカラメルと相まって飲め飲めと囃し立てます。

この香りはスポーツドリンクやお茶などの他の飲料水では許されないでしょう。

お読みいただきありがとうございました。

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