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第1章 サキュバスストーリー1


「到着っと。」


着いた頃には陽光が顔を出し、悪魔にとってはすっかりお眠な時間帯。


夜間飛行で疲れた身体を癒すべく、適当に宿を探してベッドで横たわった。


「ふっはーー、気持ちいい。」


サキュバスは昼寝を好むため、一日に二十時間眠るのだって珍しい事は無い。


横たわりながら指をパチンと鳴らすと、ステータスウィドウが表示される。


既に残りMPは赤ラインに達しているのを確認すると、再び指を鳴らしてステータスウィドウを閉じる。


「あっぶなーー」


HPが真っ黒になる事は死亡を表し、MPが真っ黒になると数日魔法が使えなくなる。


赤ラインは黒ラインとの境界線で、いつ黒くなってもおかしくないから油断は大敵だ。


ゆっくり目を閉じると、そこから先はあっという間に意識が飛んだ……。


……………………。


どれくらい眠っていただろうか。


外が暗いが騒がしい為、まだ眠りたいが様子を見てみると、


「……何あれ?」


外は大混乱だった。


中からでは良く分からないため、窓を開けて空を飛ぶ。


「これどういう状況!?」


ここは街中だと言うのに魔物が大量に押し寄せていた。


流れ込んだと言うより湧いて出た感じだが、どうしてこうなったかなどどうでもいいが、このままだと間違いなく睡眠の邪魔をされるのは想像に難くない。


何よりサキュバスの睡眠を邪魔した罪は重い。


「チッ!騎士は冒険者はボンクラですかまじで!?」


愚痴を零しながら、猛スピードで上空へ舞い上がると……


「はああっ!」


一つの魔炎をモンスターの群れに目掛けて放ち、


「爆ぜろおおおおおおおっ!」


爆破した魔炎はモンスター達を違わず目掛けて打ち燃やす。


一瞬の出来事に避難民はおろか、騎士や冒険者までもが目を開いて口をパクパクさせている。


呆れるほどあっけない幕切れに、民衆がわっ、と歓喜した。


暗闇の上空にいたため目立つ事は無かったが、これをサキュバスがやったと言っても誰も信じないだろう。


むしろ強大な力を持つだけに悪目立ちするのは避けるべきだ。


騎士は避難民の誘導を続け、冒険者は半壊した建物の再建に手一杯だ。


あまり目立ちたくない上、今日はもうがんばった。


ひとしきりタダ働き同然の仕事を終えたサキュバスは、再びMPを消費してまた眠くなった為、宿屋へとひっそり戻っていくのであった……。



……………………。


「はい。目撃情報から確認されている限り先の魔炎は《バースト・カースフル》だと……。」


「一体どこの魔術師だ。あんなものを一人で操り、複数の魔物を狩る操作力。《バースト・カースフル》はAクラス級高等魔術だぞ!?」


薄暗い会議室。そこには複数の役員の様な男達が今回の魔物の出現に関して議論していた。


「これも、上空に舞う者が目撃されています。」


「悪魔か……天使か……。将又(はたまた)舞空術を扱う魔術師か……」


「魔物の発生源に関しては?」


「人為的なもので、間違いないかと……。」


「あれだけの魔物を出現させ、たった一人の魔法で消えた。不可解ですなぁ」


「最近では魔王軍も活発化しているようですし……警備を再検討しなくてはな。」



「では、新たに情報が入り次第報告しに参ります。」


爽やかコートの青年は、そのまま一礼して会議室を去った……。



……………………。


「ふん。この一件、あのサキュバスが絡んでいるとはな。相変わらず解せない奴だ。」


爽やかコートの青年はそう呟くと、仏頂面で口の端を吊り上げて微笑んだ…………。





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