後日譚 3/3
今日もオークの都での一日が過ぎ去ろうとしていた。
我が都に招き入れた両親家族との団欒も終わり、今は王の寝室に引っ込み、王妃とその子どもたち家族の時間を過ごしている。
ライレイはクロウシローにお乳を与え、その間僕はお姉ちゃんであるミライをあやしていた。
「……綺麗だな、ライレイは」
授乳の姿を見て心底そう思う。
「いやですわゴロウジロー様ったら、もう三人目をご所望なのですか?」
軽くいなしたつもりだろうが、しっかり赤面しているところが可愛い。
ミライが「お母さんの方がいい」とむずがりやがるので、仕方なくライレイにパスした。まだお父さん大好きでいてくれてもいいだろうに……。
「ご家族との対面が無事済んで、ようございましたわ。心配事も一つずつ減っていきますわね」
ライレイの言う通りだった。
天界軍を滅ぼし終わり、オークの都を新設し、愛すべきオーク娘たちの生活も軌道に乗った。
唯一の不安要素である竜の動向も、こないだ「神を倒したんなら『竜玉』返せ」と襲ってきた二、三匹をサクッと殺し終えたし、当面は問題ないだろう。
そして今日ついにオヤジと母さんと妹たちを迎え、我が都はどんどん完璧になっていく。
「ゴロウジロー様……」
「ん?」
「これからオークはどうなっていくのでしょう?」
それは難しい質問だった。
オークが、種としての曲がり角に立っていることはたしかだ。
従来ならばオスしか生まれず、生存競争に敗北することによってメス化するオーク。
しかしハーフオークたる僕によって一度全オークが女体化し、唯一の僕の遺伝子によって生まれてきた次世代たちは、その性別がまちまちだった。
実際、僕とライレイの間に生まれたのが初子、女、次子、男ということでも証明されているが。
他にも顔つきが、女の子は皆母親に似てキレイカワイイのは当然としても、息子たちが僕の遺伝子による影響なのか、あんまりブタっぽくないのが気になるところだ。
オークは、僕を起点としてまったく新しい種族に生まれ変わろうとしているのかもしれない。
少なくとも暴力を至上とし、レイプなどを行うオークは、金輪際生まれないことだろう。
天界によってオーク以外のすべての種が一度滅んでしまった今、世界そのものがオークと共に最初から作り直されていくのかもしれない。
「ここから、すべてが始まっていくのか……!」
生まれたてのオークの都市。
生まれたての子どもたち。
僕たちは生まれたての様々なものと共に新しい道を歩んでいく。
「ゴロウジロー様……、愛しております」
「僕もだ。キミと、キミと僕の子どもたちと、この都に住むすべてのオークたちを……!」
夜が更けていく。
明日には早速元気な妹たちに街を案内してやらなければ。
あの子たちが凶悪なオークにレイプされてはと、その前にすべてのオークを根絶やしにしてやろうと旅立ったのがすべての始まりだった。
そして結果得たものは、さらに大事な者たち。
僕の大事なものたちよ、共に末永く繁栄に浴していこう。
後日譚 完




