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後日譚 1/3

ここからは各キャラクターの後日談となります。彼女たちのこれからをご確認&お楽しみにください。

『傲慢』リズ。

 オーク都市の衣服生産を一手に担う彼女は、先鋭的なデザインの新作をバンバン発表し、オーク娘たちをお洒落にしていった。

 消費は上がり、財は還流してオークの経済は大活性。

 今日もみずからの手がけた試作品に身を包み、リズは僕の下にやって来た。


「ねえねえ、見て見てゴロウジロー! これ、秋物の試作品なのよ!」


 とリズはみずからの着ている服を誇らしげに見せびらかす。

 僕は執務の手を止めて、その服というか、服を着ているリズ込に見入った。


「今度のオークコレで発表予定なんだけど、ゴロウジローにだけ一番最初に見せたくて着てきちゃった! ……ねえねえ、見える? ここにジッパーがついてるんだけど、下ろしてみて?」


 言われた通りジッパーを下すと、驚くほど簡単にストンと衣服が落ちて、リズはパンツとブラジャーだけの下着姿になってしまった。


「この下着も新作なのよ。これまでで一番鮮やかな染色ができたからさっそく使ってみたの。……ね? ここ、ここがブラのホックよ。珍しいところにあるでしょう?」


 リズから促されて、ホックを軽く抓むと、ブラジャーもまた簡単に床に落ちた。スルリと。


「あとパンツは……、紐で結ぶ形式にしたの。これ解くと……」


 ストン。

 一番見慣れたリズが、僕の目の前にいた。


「じゃあゴロウジロー。今度はアナタしか脱がせることのできないアタシの一番奥のところを脱がせて?」


             *    *    *


『強欲』ヨーテ。

 彼女が指揮するオーク新都の開発計画は、まだまだこれからが本番だ。


「……よっしゃよっしゃ。……よっしゃよっしゃ」


 都市開発局長に就任してからのヨーテは、何故かこれが口癖になった。

 周囲からも『予言装置付きブルドーザー』などというよくわからないあだ名で呼ばれるようになる。


「……ヨーテ。今日も精力的だな」

「……おっ、ゴロやん。政治は力、力は数」


 ピトッと小さいヨーテが僕にくっ付いてきた。


「…………だから一杯数を増やそ?」


 ヨーテは都市を開発することだけでなくそこに住む人口の開発も率先して行った。


 のちに、僕の妻の中で一番多く子供を生んだのは、小柄であるヨーテになった。


             *    *    *


『暴食』ミキも、例外に漏れず僕の子供を生んだ。

 いささか意外にも、それまで食べることにしか興味を持たなかった彼女は、出産を経て、変わった。

 自分がお腹を痛めて生んだ子供に、この上ない愛情を注ぐようになった。


「はあああ……、可愛い、可愛い……」


 今日もミキは、僕との間にできた赤ちゃんを抱きあやし中。

 あれで自分や子供の食べるものを確保するために食料生産部門の総指揮をちゃんとやっていると、母親になって一番劇的に変わったのが彼女だろう。


「可愛い……! ハラショー……! ミーの娘、可愛い、可愛い……! もうあんまりにも可愛すぎて……!」


 ミキ、我が子を凝視して言う。


「食 べ ちゃ い た い ぐ ら い……!」

「ダメぇーーーーーーーーーーーーーーッッ!?」


 僕は流石に飛び込んで、ミキの手から我が子をかっさらった。

 当然ながらミキの子どもは僕の子どもでもある。


「あっ、旦那様……。何するの? ミーの子返して?」

「今の冗談だよね!? 食べたいぐらい可愛いって、一種の比喩表現だよね? もののたとえだよね!?」

「変な旦那様……。そんなの当たり前に決まってるじゃない。だから、ね? その子返して? 齧ったりしないから、ね? 絶対齧ったりしないから」

「本当だよね!? 信じてるからね僕は!!」


 そんなミキも、生涯で十人の僕の子どもを生んで、立派に育て上げることとなる。


            *    *    *


「ところで……」


 僕はまだミキのところにいた。

 彼女の仕事である食料生産部門の状況を、オーク王として視察するためだ。


「農耕物の生産量はすこぶる安定してるよ? とてもハラショーなハラショー」


  予言装置ミーミルを持ち帰ってきてから、その知恵によって農耕を始めるようになったオークは、食べ物を自分たちの手で生産し、消費するようになった。

 今日も、特別区画にできた広大な畑で、オーク娘たちが農作業に従事している。


「農作業って、自然の気まぐれで今まで育てたものが台無しになったり、とにかく大変だって聞いてたけど。そんなことないね? お日様ポカポカだし、土は栄養たっぷりだし、この分じゃ毎年豊作だよハラショー」

「…………」


 ミキの説明を受けつつ、僕はここのところ何回か見る夢のことを思い出していた。

 僕だって眠っている間は夢を見る。

 その夢の中で、例の大地の擬人化とか自称するガイアが現れるのだが……。以前も、僕の夢だか何だかに出てきたアイツ。

 そのガイアって大地の擬人化と言うだけあって、女の子の姿をしてるんだけど……。


 夢で会うたび夢の中でエッチしている。


 そして夢が覚める間際「アナタの精をもらって私のツヤツヤだわ」とか言いながら去っていくのだ。

 …………。

 もしかして、こうして大地が毎年豊作確実なぐらい生命力に満ち溢れているのって……!?


            *    *    *


『色欲』レリス。

 元々は天界の潜入者で、種族も違う彼女は、他のオーク娘たちと同じ時期に僕の種を受け入れながらも、まだお腹は大きかった。


「あら……、ゴロウジロー様、いらっしゃいませ」


 妊娠六ヶ月という立派なお腹で、オーク宰相の椅子に座るレリス。

 各部署から上がってくる報告や訴状などテキパキ処理するのは、まさに彼女ならではの手腕だ。


「随分お腹が大きくなったなあ。……ライレイたちは種付けした二ヶ月後にはそんな感じだったけど……」

「オークは妊娠出産までの期間が特別に短いのです。私は……、今でこそ外見は女オークのそれですが、やはり中身はヴァルキリーのようですね。妊娠期間は標準的な生物のそれと同じ、十月十日かかります」


 と言いながらも、レリスは書類の処理をする手を休めない。

 ただのお色気エロヴァルキリーと思いきや、仕事を任せたらこんなに几帳面真面目になるのか……!


「そういえば、母さんも妹たちをお腹に入れてた時そんな感じだったしなあ」

「でしょう? あんなハイペースでポコポコ生めるオークの方が異常という……」

「で、そう、今日はレリスに会わせたい人がいるんだよね」

「え?」


 いきなり話題を変えるけれども、それが本題なんだからしょうがない。

 レリスに会わせたいその人を、既に部屋の外に待たせているわけだしね。

 で、入室いただきます。


「ジャーン! 僕の母さんです!!」


 ここで宰相室の扉から、僕の母さんフリッカを召喚!

 母さんは元々天界軍最強の戦士で『七神徳』の『正義』を司るヴァルキリーだ。

 同じく『愛』を司る『七神徳』だったレリスと面識あるかな? と思って探りを入れてみたんだけど……。


「フ、フリッカ!? アナタ何故ここに!?」


 何か目に見えて慌てだすレリス。

 オーク新都建設も軌道に乗って、僕の両親家族を呼び寄せるって話レリスにはしてなかったっけ?

 飛空艇で迎えに行って、帰ってきたその足でここ宰相府まで来たんだが……。


「お姉様! お久しぶりです!」


 と声を弾ませる我が母。レリスを見て。

 お姉様?


「そうだとも我が息子よ。レリスお姉様と私は、かつて同じ『七神徳』として肩を並べて共に戦った仲! 火のプラントで生産されたのはレリスお姉様の方が先だったから、私は『お姉様』と呼んで慕ったものだ」


 えええええ……。

 レリスってウチの母さんより年上だったの?

 そりゃヴァルキリーって長いこと若さを保って年齢不詳なところがあるけど。


 僕はどんだけ年上を孕ませてしまったのか?

 母親と同年代の恋人か……、アリだな。


「うぎゃああああーーーッ!? フリッカ! フリッカいいでしょうもうその話はしないで!! ゴロウジロー様の私を見る目がどんどん変わっていく!!」

「レリス……、今度『お母さん』って呼びながらエッチしていい?」

「ダメに決まってるでしょうが! 危ない道に入り込まないでくださいゴロウジロー様!?」

「私はこれからレリスお姉様のことを『嫁姉様』と呼べばいいのか?」

「知るか!! ああもうこの親子は揃って天然かァーーーッ!?」


             *    *    *


 そして『嫉妬』を司るアナコ。

 彼女は一人、僕の政体に入ることを拒否して下野。

 一人、詩人としての立場から自由民権運動なるものを起こした。


「『嫉妬』の心は!!」

「「「「「「母心!!」」」」」

「押せば命の泉湧く!!」

「「「「「見よ!!」」」」」


「嫉妬魂は暑苦しいまでに燃えている!!」


 今日もアナコは、自分の考えに賛同する同志(当然全員女オーク)を集めて、集会を開いていた。

 そこでノリノリのアジ演説をぶつ。


「ゴロさんの愛情は、一部の特権階級によって独占されている! オーク女王ライレイ! かつての『七凄悪』!! ソイツらばかりがゴロさんからたくさんエッチしてもらって! 名もなき一般女オークには一回お手がついただけであとは用済み! そんなことがあっていいのか!? いやない!!」


 聴衆から万雷の拍手が飛ぶ。

 アナコは意外と人心掌握が巧みだ。


「立ち上がれ市民よ! 労働階級が特権階級を打倒するのだ! 定められた枠組みなどブチ壊し、すべての女がゴロさんの愛を分かち合える共産体制を今ここに」

「革命運動に精が出るねー」

「ゴロさんーーーーッッ!?」


 革命家たちの集いに、オーク王である僕登場。

 アナコが立っているのと同じ壇上に降り立つと、戸惑い慌てるアナコから有無を言わさず唇を奪う。


「むふぅーーーーーーーーーッッ!?」


 僕とアナコの熱烈なキスは、当然ながら聴衆たちの一斉の注目を浴びた。


「キャー! チューしたわ!」

「書記長が、ゴロ様とチューしたわ!」

「平等なんて綺麗言語っておいて! やっぱり書記長もオーク王様とねんごろなんじゃない!」


 僕は、アナコの体をギュッと抱きしめつつ、演説を代わる。


「皆さん、僕がオーク王ゴロウジローです。忙しさにかまけ、皆さんに寂しい一人寝をさせたこと。みずからの不甲斐なさを痛感しております」


 小脇に抱えたアナコのおっぱいを揉み揉みしながら言う。


「その穴埋めと言っては何ですが、今日はここに集った皆さん全員とセックスしていくつもりです。一人も逃がしませんから覚悟してください」

「「「「「え?」」」」」

「「「「「えぇぇーーーーーーーーーッッ!?」」」」」


 その宣言の瞬間、聴衆から色艶たっぷりの歓声が上がった。

 オーク新都にいる妊娠可能な女オークの人口は、約二十八万人。

 対して男は僕一人。

 普通で考えれば一対二十八万で全員に種付けするなんて実際不可能であり、いくら僕が万能無敵のオーク王でも、全員を愛するにはどうしてもムラが出てきてしまう。


 そんな時に役立つのが、『嫉妬』アナコの自由民権運動だ。

 久しく僕から相手をしてもらえなくなって、不満の募った女オークたちがアナコの下に集まる。

 そこへ僕が襲撃して、全員とにゃんにゃんすれば不満は解消、お肌はツヤツヤ。おまけに新たなオーク国民人口増も約束されるというわけで。


 アナコの反政府運動は、新オーク国家の土台を支えるためにも欠くべからざるものになっていた。

 ちなみにその日、アナコも全身ツヤツヤになってスキップしながら帰ることになるのだが。


「あぁん、勘違いしないでね! アナコだってゴロさんのこと大好きなんだから!!」


            *    *    *


 そしていよいよ『七凄悪』の最後。『怠惰』のスズモン。

 彼女は、新オーク王国の法律を審議するための立法府に着任し、その長となってもらった。


 今日も彼女の下に、たくさんの案件が舞い込んでくる。


「立法府長! 本日は四つの新法制定について審議する予定となっております! どの案件から審議していきましょう!?」

「ううむ……! どれもこれも重要で、早急な施行が必要であるな。こちらの道路構成法案は、新しい道路を作るために早く整えろとヨーテ殿からせっつかれておるし、あちらの衛生基準法改正案は、食物流通のために絶対必要だとミキ殿から要請だ。オシャレ奨励法はリズ殿からのたっての願いであるし、国内の女オーク全員に親方様とのセックス許可状を配るというアナコ殿からの案も審議ずる必要がある……!」


 そしてスズモンは頭を抱える。


「どれも大事で……! 今すぐ取り掛かるべき法案だ。これに優先順位をつけるなど、拙者としてはどうすべきか……! よしそうだ! ここはまず、これらをどの順番で審議するかを審議するため……! 現 状 維 持 !!」


 その日たまたま視察に訪れていた僕は、スズモンの後頭部をスパンと叩いた。

 それからスズモンは、僕とセックスするために結局一日現状維持になったとさ。


            *    *    *


 以上が、いずれ劣らぬ個性的なオーク娘たちの後日談だ。

 次は、オークの都に居ついてしまったヴァルキリーたちについて。

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